前へ目次 次へ 34/65 三時十五分 屋敷へ向かう道の上にいた。美千代とサトルは旅館を出て走ってきたが、ここにきて雨脚が早くなったせいか、二人ともに足が止まってしまった。傘を差しながらでは、さすがに思うように走ることができないのである。それでも早歩きで屋敷へ向かうのだった。 見通しが悪く、疲労はピークに達していたが、それでも周囲の観察は怠らなかった。足元を見て歩いているわけではないので、人影(じんえい)を見落とす、などということはない。ここまでは誰とも遭遇していないということだ。