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十一時四十五分

 牧場へ向かう道に到着した。ここで佐橋さんと義男くんとは別行動になるので、黒川先生がその二人に声を掛ける。


「二人とも無理しなくていいからね。後から村長さんと清くんが来ることになっているから」


 その言葉に、佐橋さんは返事をするが、義男くんは頷くだけだった。


「捜索の仕方は勇くんに任せる。ああ、それと屋敷でも言ったけど、蒸し風呂の男湯の方も頼んだよ」


 黒川先生がそう言い残して、二人と別れた。


 義男くんの華奢きゃしゃな後ろ姿を見送りながら美千代は思った。弟のサトルとは一つ違いということだが、雰囲気が大人と子供くらい違うように思える。


 ちゃんと食べているのだろうか? 島民の生活を見ると、栄養失調ということもなさそうである。単純に義男くんも伊月ちゃんも小柄というだけかもしれない。今のところ同じ身体つきをしているけど、そのうち義男くんの方が大きくなるだろうな、などと想像するのだった。


 ふと、屋敷の奥さまの顔が浮かんだ。三姉妹の一人を首なし死体にされても、氷のような表情は一切変わらなかった。わが娘が変わり果てた姿で発見されたにも拘らず……。


 ん? わが娘? そういえばそんな話は一度も聞いていなかった。勝手に屋敷のお嬢さまと思い込んでいるだけで、三姉妹の出生については何も知らないではないか。果たして、あの世にも美しい三姉妹は、どこから来て、どこへ行ったというのか? そんな疑問を持つ美千代だった。


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