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リバースサイドオブリバースサイド  作者: 粋人
さよならクラスメート
2/21

異常出現

「おはぃよー」


高校生になってから早3ヶ月。

気づけば7月下旬だ。


間の抜けた声で挨拶してきたこいつは僕の友達の路木と言う。


勉強は出来て運動もそこそこ出来る。

さらには学級委員と、もうなんかあのいつものやつですねありがとうございます。


「どうしたんだ?眠そうだが?」


その路木の隣で呑気にスマホを弄りながら路木に話しかけているのは同じく友達の相宮だ。


「いやー、ついつい夜中までゲームしちゃってねー。止まらんくなったわ!」


なんでこのゲーム野郎が僕よりも頭が良いんだ。ちょっと苛つく。


「ふーん、へー」


相宮がこう言う時はスマホに集中している時だ。八割話を聞いていない。


しかし、それにさして気にした風もなく、路木は席に座る。


「おはよー!路木ちゃん!早速で悪いんだけど、宿題見せてー!」


路木のとなりに座って居るのがこのクラスのマドンナ的存在である、愛沢さんである。


「駄目だよ。自分でやんないと。ほら、まだ間に合うって」


「もう無理だよー!助けて!直樹君!」


「自分でやるんだな。路木の言う通りだよ」


ちなみに相宮と愛沢さんは付き合っているらしい。二人で愛愛カップルという訳だ。(相宮は字が違うけど)


侮るなかれ、相宮はイケメン野郎。美男美女カップルである。


つまり、この何気ない会話をしているこのメンバーが実はクラスの中心グループである。


え?僕はどうだって?


しがない一般人です。どうぞ宜しく。


中学生の時友達だった二人、まあ一人は路木なんだけど、色んな人と話す話す。そのおかげで今の有様である。まあ、恨みとかはなく楽しいからいいけど、時々感じるこの劣等感は一体…。


もう一人の中学からの友達である翔人って友達が唯一僕と同じような人種、いわば一般ピーホーなんだけど今日はまだ来ていない。朝みんなで集まる集合場所に指定時間までに来なかったので休みかもしれない。某有名メッセージアプリにも返信はなかった。


そんなこんなで僕を含めて路木、翔人、相宮、愛沢さん、後もう一人の万年寝坊人間の合計6人でつるんでいる。


「そろそろ座ってみんな!」


学級委員である路木がみんなを座らせる。こういう所が変に真面目で、愛想もいいのでクラス内での好感度も高い。


「流石だなー、憧れるわ」


「何がだ?」


「い、いや!なんでもない」


相宮に独り言が聞こえてたみたいだ。

路木を尊敬しているなんて恥ずかしくて聞かれたくもない。路木から視線を離す。


「…っ……?」


なんだ?急に目眩がした。僕も眠たくなってるのかな?


と、そこで、ガラガラと扉を開けて先生が入ってきた。カツカツとハイヒールの音が響きながらゆっくりと歩いてくる。


「はい、皆さん。おはようございます」


挨拶を終えた瞬間。みんなが異変に気がついた。


「あんた…、誰だよ」


そう、今教卓に立っている人は僕らの教師でもなんでもなかった。


教室中がざわめき出す。


「はいはい!静かに!当然の反応ですが、私の話を聞いてください」


とても美人な女の先生だ。


「あなた方に拒否権は有りません。単刀直入に言います。今から一週間!あなた方にはとあるゲームをしてもらいます。勝てば釈放。負ければクラス全員で死んでもらいます」


一瞬の静寂の後、再びクラスがうるさくなる。


「あっはっはっは!誰だか知らないがおもしれー人だな!ゲーム?死ぬ?あっはっはっは!」


「そうだ!そうだ!」


「出てけー!」


クラスから野次が飛ぶ。

相宮もどさくさに紛れて野次を飛ばしていた。おい、なにやってんだ。


「はあ、まあ、こうなるのは目に見えてます。ちなみにこの学校にはあなた方の他に私しかいません。さらに、学校外には出られません。避難信号も届かないようになっています。後は…そうですね。わかりました。では私が本気だという証拠を見せましょう」


そう言ってその女の人は扉に手を向け、すっと横に動かす。


それを見て、クラスのどよめきが止む。


「こんな感じですかね。もちろん逆も可能ですよ」


そう言って、今度は何もせずに、目を向けただけで()()()()()()()()()()()()()()を元に戻した。


「と言うわけで説明は十分後に全てします。ああ、後私に何かしても無駄です。何も出来ません。というか意味ないです」


「それでは、心の準備でもしておいて下さい」


そう言って教室から出て行った。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


少しして、勢いよく扉が開いた。


「睡魔ッセーーン!遅れましたぁ!ゲホッゴホッ!いや、先生!これには深〜い理由がですね!ってあれ?先生は?」


扉が勢いよく開いたのでなにが来るのかと思ったらあの女の人じゃなかった。


「驚かすんじゃねぇよ!」


教室からそんな声が出る。


「あ、いや、ご、ごめんなさい」


てとてととこちらに歩いてくる。


「おはよーみんな。早いね」


「相変わらずだね、志帆ちゃん」


「お前が遅すぎるんだ。その体質どうにかならんのか?」


相宮がスマホをいじりながら言う。


今愛沢から志帆と呼ばれたこの子は宮内という。普通にハイテンションだけど、怒られると急に弱気になる。また、朝が死ぬ程弱いらしいので一週間に一回は遅刻する。成績に大いに関わりそうだけど、本人曰く、「許可を得ている」と言ってた。誰のなんですか?


この子はとにかくスポーツが出来る。しかも種目問わずにだ。野球、サッカー、テニス、バスケ、卓球、剣道、柔道、なんでもござれ。そのくせ部活は吹奏楽部に入っている。

さらに音楽は苦手らしい。もうわけわかんない。


そして宮内が来た時を見計らったようにあの女の人が入ってきた。


「それではみなさん席に。これで全員集合しましたね。それでは、細かく話していきましょう」


「すみません。まだ二人来ていない人がいるんですけど」


路木が尋ねる。うん、僕もそこが気になった。


「ああ、月夜見くんと、立梨くんはお休みするそうです。ですのでこのゲームには参加しません」


路木もそこでまた質問があるような顔をしたが、大人しく、「わかりました」といって黙った。


「今みたいな質問は後でまとめてして頂けると嬉しいです。それでは話します」


「あなた方は今からあなた方と縁もゆかりもない同い年の高校生が集まる一クラスとゲームをしてもらいます。もちろん、人数も調整してあります。向こうもこちらと同じ状況です。場所はこの校舎、もしくは向こうの校舎で行います。ゲーム内容は当日発表。一日一回計七回のゲームを行い、より多く勝利したクラスが生存権が、負けたクラスは死が待っています」


「時間は毎回午前10時から午後2時。休憩を二時間挟んで午後4時から午後8時までの合計十時間のゲームとなります。お昼に休憩時間を合わせられなくて申し訳ないです。それ以外の時間は好きに使って下さい。尚、欲しい物が有りましたらなんでも私に申し付けてください。可能な限り用意致します」


ここまでで一呼吸。


「そして、みなさんには全員ゲームを盛り上げるための特殊能力を渡しました。これから配布するカードで自分の能力を確認出来ます。ああ、他の人には見れないような仕組みになっているのでご安心を。でも、あなた方は仲間ですのでそんな必要はありませんでしたかね。まあ構いません。能力は全部で10種類です。後はご自分たちでどんな能力があるか確かめて下さい」


「そして最後に」


女の人は言う。


「私はあなた方の敵ではありません。あなた方が敗北すれば私も死にます。そのためルールに違反していなければ可能な限り手伝いたいと思ってします。私は職員室にいますので、いつでも」


「では、一週間。よろしくお願いします」


そう言って深々と頭を下げた。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


机の中を見て下さい。

そう言って、女の人は教室から出ていった。


全員が机の中を見る。中には一枚のカードが

入っていた。急いで出して確認する。


すると、文字が浮かび上がってきた。

辺りを見ると、ほとんどの人が同じ行動をとっていた。しかし、他の人のカードには文字が浮かび上がる様子が見えないとなると、成る程あの人が言っていた事は本当らしい。


ここで路木が立ち上がって、みんなの方を向く。


「ごめん、みんな。ちょっと聞いてほしい。僕はこんな変な話はないと思っているけど状況が状況だ。職員室に行って色々と確認してみる。帰ってきたら、話をまとめたいから付き合ってほしい」


この状況であっさり動くのがすごいと思う。

周りにもその気持ちが伝わったのだろう。ほとんどの人が頷いていた。


「ありがとう。じゃ、ちょっと行ってくる」


そう言い残して、路木もいなくなった。


そのうち、教室が話し声で満たされるようになった。


僕達もまとまって話をする。


「ねね、どういうこと?」


唯一話を読み込めてない宮内に事のあらましを説明する。


「そっか。そんな事があったんだね」


意外と驚かなかった。朝だからだろうか。


「それにしてもどうすればいいと思う?相宮?みんなもどう思う?」


とりあえずみんなの意見を聞きたい。


「あたしとしても直樹君の意見が聞きたいな。何かいい案でもある?」


愛沢も気にしているみたい。


「知らん。そんなの全部路木に任せればいいだろう。帰ってきたらみんなで話せばいい。その時まで特に言うことはない」


スマホを置いてカバンに手を入れる。充電が切れていた。


「そっかー。直樹君はそう思うのか。わかった。じゃああたしもそうするよ!」


本当に付き合ってるのか?この二人。それにしては相宮はちょっと冷たい気もするけど。

元来こんなやつだから変わんないのかな?


「それはそうと愛ちゃん!宿題見せて!」


「お前もやって来てないのかよ」


いつもの会話に戻って話すこと数十分、路木が帰ってきた。


「おまたせ。じゃあこれからどうするかみんなで決めよう」


そう言って黒板の前に立って、話し始めた。

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