14話
完結になります。
読んでくれた方ありがとうございました!
3日間、俺はずっと意識が戻らなかったようだ。
意識が戻ると目の前には愛しのメルが天使の笑顔で迎えてくれた。
しかし笑顔から一転、鬼のような形相になり今までの怒りをぶつけてくる。
「なんで今まで力のこと黙ってたのよ! それにエクスカリバーに聞いたわ! 私が勇者に選ばれたのは兄さんのおかげだって! それにそれに!!!」
「待て待てって! 落ち着いて。深呼吸して」
「ふぅ〜ん……はぁ〜……、ふぅ〜ん……はぁ〜……」
怒っている姿も深呼吸している姿も可愛いメル。
「それで、全部話して」
「ああ、分かったよ」
俺は今までのことを全て話した。俺の力のこと、メルを愛していること、勇者のこと、メルを愛してること、怪物のこと、常にメルに危険がないか監視していたこと、メルを愛していること。大事なことだから3回言った。途中で殴られた。
「ふーん、つまり今までずっと騙してたって訳ね」
「……すまない」
俺は心から謝る。
「別に今更謝られたって。気にしてないって言えば嘘になるけど……。でも兄さんは私のために色々してくれてたんでしょ?」
顔を少し赤く染め、上目遣いに俺を見てくるメル。ああ、可愛い。
「俺はメル、お前に幸せになって欲しかったんだ。たとえ嫌われても、キモいって言われても。お前の願いを叶えてあげたかった……」
「それは……さすがにキモいよ……」
笑いながらでも泣きながら。いつもよりも可愛らしいキモいを頂きました。
と、一瞬にして真面目な顔に戻るメル。
「でもこれからはそういうのは一切なし! 私は私の力だけでこれから頑張るから!」
「ああ、わかった。しかしその心配は無用のようだよ」
どうやら俺の体に問題が起こっているらしい。
「ルース君! 目が覚めたんですって!」
勢いよく扉を開けて入ってきたのはシャルだった。
「ちょうどいい。シャルにも聞いておいて欲しいことがある」
「なになに〜! あっ! もしかして私との結婚を考えてくれたとか?」
シャルが冗談めかしにそう言うと、メルがシャルを睨む。
「そ、それで話ってなんのなの?」
隣からさっきを向けられ、話を逸すシャルが促す。
「どうやら力が無くなっちゃってるようなんだよ、あははは」
「「なっ! なんですって〜!!!!!!」」
「てへ! さっきから体がおかしいなーって思ってたら、魔力がなーんにも感じない!」
いつも感じていた魔力の流れ、力の源泉が感じない。
今まで感じていたものがいきなり無くなるとはなんだがむず痒い感じがし、股間がムズムズする。
「えっとつまりそれは、ただの人になったということですか?」
「いや元からただの人間だわ! でも多分魔法も何も使えなくなった」
「……」
「……」
なぜか沈黙しお互いを見合うシャルと天使メル。
しかしすぐに俺の方に向き、笑顔に戻る。
「そうなの! それはなんというかお疲れ様!」
「そうね。ルース君の力が無くなったのはもったいないけど、あの力は1人が持つには強大な力でした。それにルース君みたいな優しい人が持ってたら、押しつぶされちゃうよ……」
「2人とも……」
なんか嬉しいことを言っているような気もしなくもないが。
「まぁ! 別に力が無くなったっていいか! メルがいてくれるだけで!」
「あぁ! そこは私も入れてくださいよ!」
シャルが頬を膨らませてぷんぷんさせて腕を組む。
そして3人で大きなこえで笑い合った!
こうしてメルと俺は幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
って! 私の続メルの勇者物語はないのかい!
唐突で変な終わりかたになってしまい申し訳ございません。
色々と執筆中ですが、次の作品はもう少しまともに長続きするお話を考えています。
最後までありがとうございました!
次の作品はいつになるかわかりませんが、お持ちください!