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12話

久しぶりです!

今度は少し早くできた!


 お兄ちゃん……起きてお兄ちゃん……


 メルの声が聞こえる。しかし視界は暗く何も見えない。

 しかし突然目の前に泣いているメルが現れる。分かってる、これは夢だ。だって目の前にいるメルは小さかった頃、まだ俺の後をついて回って、お兄ちゃんと言ってくれたあの頃……。

 いつ頃だっただろうか……。メルが俺のことをお兄ちゃんと言わなくなったのは……。


 場面は変わり、俺たちの家。目の前には俺が一人で立っている。たしかメルが誘拐された日だ。たしか奴隷商人に目をつけられて拐われたのだ。両親はメルを探したが、1週間以上探しても見つからんかったため諦めていた。このご時世子供がいなくなるのはそう珍しいことでもない。

 俺は諦めなかった。必死で探し、そしてある時金髪の女の子が明らかに怪しい男に連れ去られそうになっているところを目撃した。


 「うわぁぁぁぁ!!」


 子供ながら喚き散らしながらその女の子を助けようと必死怪しい男に突っ込んでいった。

 そして……普通に捕まった……。

 

 「本当にあなた何がしたかったの?」


 捕まえられてロープでぐるぐる巻きにされ、馬車の荷台に積まれた。

 金髪の女の子は呆れているようで座りながらこっちを見てくる。

 女の子はかなり高級なドレスを身に纏っている。どうやらどこぞの子爵の御令嬢だろうことがわかった。


 「でも……助けようとしてくれてありがとう……」

 「まぁ俺も理由があって捕まったんだから礼なんて言うなよ……」

 「奴隷商人にわざと捕まる理由ってなんなのかしら? あなた名前は?」

 「俺はジル。ジル・セウルスだ」

 「ジル……私はシャルっていうの……。なんだか響きが似てるわね」


 この時はシャルがまさか王女だったなんて知らなかった。

 そして馬車の荷台には子供が所狭しといる。どうやら俺もメルと同じく奴隷商人に捕まったようだ。


 馬車が止まり、小さくてボロい小屋に入れられる。そこにもすでにかなり多くの子供がいる。

 そして……


 「お兄ちゃん!!」

 「メル!!!!」


 まさかのメルとの再開。

 どうやらここは奴隷商人が集めた子供を隠しておくための小屋のようだ.


 「メル、あいつらに変なことされなかったか!?!?」

 「うん! 大丈夫だよ! お兄ちゃんも捕まっちゃったの?」

 「ああ、でもよかった……。メルに会えた……」


 パッと見てメルに怪我らしい怪我はない。

 ほんとによかった……。


 「ジルくん、あなたが捕まった理由がわかったわ」


 シャルが後ろから声をかけてくる。

 

 「ああ、この可愛い子が俺の妹のメル。ジル・メルディーだ」

 「よろしく……二人ともジルさんって呼ぶのもややこしいから、これからはセウルスくんとメルちゃんって呼ぶわね」

 「ああ、それでいい」

 「お兄ちゃん、この高価そうなドレスを着ている女の子はだーれ?」


 ジト目でシャルを見つめるメル。

 どうやら少しやきもちを焼いてるらしいい。可愛いな!


 「この子はシャルって言ってお兄ちゃんと一緒に捕まったんだ子だよ」

 「ふーん……お兄ちゃんは私のなんだから取ろうとなんて思わないでくださいね!」

 「…………」


 今度はジト目で俺を見てくるシャル。

 しかしその目は「え? 何言ってるのこの子は?」みたいな感じの意味が込められているように感じる。

 それにしてもメルは天使だな!

 すると小屋のドアが乱暴にあけられ奴隷商人であろう男が数人入ってくる。


 「おい! 全員ここから出ろ! 移動するぞ!」


 そう言われても多くの子供たちは困惑してすぐには動けない。

 

 「さっさと動け! クソガキが!」


 そう言ってドアの近くにいた男の子の手をとると、片手で軽々と持ち上げる。そして無防備になっているお腹を蹴る。


 「げほっ……げほっ!」

 「さっさと動かないと全員にこれをするぞ?」


 子供たちも怖さがわかったのかいっせいに小屋から出て行く。

 俺もメルの手をとりその波に乗っていこうとするが、メルが動こうとしない。


 「どうしたんだ? メル?」

 「大丈夫……? お兄ちゃん! この子苦しそう……」


 メルはお腹を蹴られた男の子のそばに駆け寄り、介抱しようとしている。メル……優しや……。

 しかしなかなか出てこない俺たちを奴隷商人が気になって戻ってくる。


 「おい! なにしてんだ! そいつは後で始末するんだからお前らはこっちへこい!」


 そう言われてもなかなか男の子から離れないメル。

 奴隷商人はそんなメルの近づいていくと男の子と同じように片手でメルを持ち上げる。


 「そうかぁ! お前もこいつと同じ目に会いたいようだな!」


 そう言ってメルに向けて足を振り向こうとする。

 させねぇよ。


 「はぁ?」


 俺は一瞬だけ力を解放し男の足とメルの体の間に入る。そして片手で奴隷商人の足を受け止める。


 「なっ!」


 奴隷商人の表情は驚きを隠せない。それはそうだろう、6歳そこらの子供に蹴りを止められたのだ。

 

 「このクソガキ!」


 そこは腐っても大人なのかメルを掴んでいた手を離し、そのまま俺を殴ろうとする。

 しかし力を解放した俺には止まっているように見える拳。

 男が離したことでメルが落ちていくのを黙って見ているわけはない。

 即座にメルをお姫様抱っこするとシャルの元に戻す。


 「なっ! お前! 何者だ!」

 

 さっきと全く同じリアクションをする奴隷商人。

 メルも見つかったし、適当にヅラかろうと思っていたが、どうやらそうは問屋が許さないらしい。


 「はぁ……潰すか……」


 メルを助けるついでに奴隷商人のアジトもつきとめて潰そう。



次も頑張ります!

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