空色
「うわあー!綺麗なブルーだー!!」
彼女はそう言って笑いながら空に手を伸ばした。彼女の小さな体の半分が宙に浮き片手で体を支える状態となった。落ちそうだと不安になったがきっと彼女は僕より身軽だから大丈夫だろう。
「うん、そうだね。」
僕は答えた。本当はそんなこと思っても無かった、綺麗なんて思える感情は僕の中から消え去っていたから。だけど、それを否定するなんてこと、今の僕に出来ると思う?否定なんてものは自分に自信がある奴にしかできないんだよ。そして自信なんて愚かしくも羨ましい「モノ」は大切なものすら守れなかった僕が持つべきモノではない。
僕の全ての感情はあの時から死んだんだから・・・・・・
「殺したの間違いなのかな、潤?」
空に向けて問うても返事はない。そりゃそうだ。幽霊なんて想像力の副産物だなんて思った。
だけど返事はあった。
「コウくん、まだお姉ちゃんのこと気にしてるの?大丈夫だって!何回も言うけどお姉ちゃんを殺したのはコウくんじゃないよ。」
そう言ってポンポンと彼女は僕の背中を叩いて笑ってくれた。2歳も年下なのに僕よりずっとしっかりしてる。これは君が死んでから唯一の発見だ。
だけど、ふとしたときに思う。彼女がしっかりしているのは、しっかりしなければいけないのは僕のせいじゃないかって。
「ごめん。」
きっとたぶん僕がしっかりするのは無理だから心の中で謝っておく。彼女に伝えるのはもう少ししっかり出来てからだ。
「んー、いいよ。全然気にしてないしー。コウくんが甘えてくれるのは嬉しいし。」
どうやら本当に口に出してしまっていたみたいだ。彼女に言われた事といい少し恥ずかしくなった。
「あははっ、耳赤いよー!」
慌てて耳に触れると彼女はもっと笑った。
「コウくん可愛いー!さっきの嘘だよ!」
「なっ・・
急に彼女は真面目な顔になっていう。
「ねっ、ちゃんと怒れるじゃん。コウくんの心はまだ死んでないよ。なんてねっ。」
その瞳の奥があまりにも澄んでいて目の前の空とそっくりだったから、
僕は君が死んでから初めて綺麗だと感じたんだ。
でもそれは、もう少し「君」には内緒にする。
「空、きれいだな。」
そう呟くと目の前の「君」が満面の笑顔で笑っていた。
冬弥の初めての物語です。読みにくかったらすみません。僕と空の物語。空は好きなのでよくテーマで使います。




