アーベルの日記 4
色の月 1番目の命の日
父さんとエイナが生きていた!
今日、やってきたアランさんの手紙は、父さんが僕らと叔父さんに託したものだった。
何故そうなったのか、全くわからないけど、エイナがさらわれて、父さんはエイナを追っていると言う。その途中で出逢ったのが、アランさん一家だと言う。
やっと、手紙を託せそうな人と出逢ったこと、自分たちが一応は無事だと言う連絡がやっとできること、そして、アランさん達を住まわせて、自分が帰るまで、家の手伝いをして貰えと言うことだった。
エイナが何故連れ去られるようなことになったのか、あの流血の中、2人は怪我などしていないだろうかと、心配は尽きない。
でも、2人は生きていてくれた!
もう、嬉しくて今日は眠れそうにない。
それでも、今日だけでいろいろなことがこの村に起こった。北山の噴火の心配、《禁忌の森》で見つかった謎の男。そして、エルナがアルヴィース様なのか、そうでないのかを叔父さんと叔母さんたちに話した。
それぞれ、静かで珍しいことが起きないこの僻地の村で、1日でこれだけのことが起きるのは、本当に異例のことだろう。
正直、疲れた。
でも、今日、最期の知らせは、その疲れが吹き飛ぶような良い知らせだった。
僕の人生で、最も嬉しい知らせだと思う。
父さんのエイナが生きていた。