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賢者様を待っている世界で  作者: 三條聡
第1章 テグネール村 1
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ご飯の下ごしらえ

 取り残された面々は、私の話しをそれぞれの許容範囲で理解したようだ。さっきまでの重い空気はみじんもなくなった。そんなんで良いのか? 不安に思っているのは、私だけなのか?


「あのぉ〜、料理をするのに、材料は何を持ってくればいいの?」


 ブリッドの言葉に、もう1つ、大仕事が待っていたのを思い出す。


「夜はどんなモンを食わせてくれる?」

「ダニエル!」

「だってさ、すげー美味かったんだぜ。なっ、ヨエル」

「うん、僕、トーマートが好きになったよ」


 ブリッドに叱られてもダニエルはやめない。ヨエルを巻き込む。


「へぇ、それは興味深いね」


 アドニス光臨、再び! お姉さんには眩しすぎるよ、その黒い笑顔でさえも。

 このブロル少年は、なかなかのくせ者のようだ。その年で、どうやってその黒い笑顔を習得したのか、是非とも知りたいです。


「そう言えば、エルナは始めてだったっけ、こいつブロル、宿屋の息子」


 ダニエルは屈託なく笑うと、ブロルを紹介してくれた。宿屋の息子というと、またもやレギンたちの従兄弟ですか?

たしか叔母さんが宿屋にいると……。アーベルも説明に加わる。


「ニルスは又従兄弟だけど、まぁ、4人はみんな従兄弟同士なんだよ」

「ほぉ、又従兄弟! 従兄弟一杯だね」

「で、この4人が<テグーネルのアッフ>だよ」


 アーベルがそう紹介すると、4人は一斉に殴り掛かった。

 しかし、アーベルは払いのけるようにして、彼らの攻撃を笑いながら避けていった。アーベルもなかなか強いなぁ。

 しばらくふざけ合っていたが、すぐにブリッドのことを思い出したのか、私に問いかけた。


「で、エルナ、今日はどんな食材を使うのかな?」

「あっ、そうだね……小麦粉とバター、カッティーズチーズとヤケイのお肉。野菜はポテトとオニオン、ウォルテゥルとレタス、トーマートとコーンかな」

「それだけ?」


 ダニエルは、何故かラインナップに疑問を持っているようだ。もっと夕飯では材料を使うのか? と疑問が頭に浮かぶ。


「おいおい、それで本当に上手いメシになるのか?」


 えっ? 材料の数量=美味しい? なんだその思考は。ますます解らなくなるじゃないか!


「えーっと、夜のご飯は、これじゃ足りないの? アーベル」

「えっ? そんなことないと思うけど……」

「う〜ん」

「どんな献立になるのかな?」

「スープとパン、野菜でもう1品、3品のつもり」

「じゅうぶんだよ」


 それは良かった。しかし、私が品数を語っている時のアーベルの眼が、キラキラしている。これは、どんな料理なのかという好奇心からか、それとも単なる食いしん坊さんだからなのか……。

 しかし、この世界の人の素直な反応は、私にはちょっと引くくらいだ。何せ、素直で真っすぐな人にしか、今の所で会っていないのだから。あっ、テグネールのアドニス・ブロルは、黒い笑顔をしていたなぁ。


「じゃあ、それを持ってくるわ」

「いやいや、その食材は、ウチのを使えばいいよ。ブリッドだって、また行って戻るのは面倒だろ?」

「えっ、それじゃぁ悪いわアーベル」

「でも、それだけ持ってくるの面倒だしさ、良かったら今度何か作って持って来てよ」

「あっ、それはいいね」


 アーベルの案に私は賛成した。なにせ、この世界のまともな料理を初めて食べるチャンスだ。アーベルの作ったラード湯が普通とは、どうしても思いたくない。ブリッドもそれで納得をしてくれたので、そのまま料理の下ごしらえをすることになった。

 大人しそうなブリッドは、茶色の髪の毛をツインテールにし、緑色の瞳を不安げにさまよわせる。この世界で会ったの最初の女性は、大人しい少女である。


「ブリッドは、手芸が上手いんだよ」

「そうなの?」

「そんな……」

「刺繍や編み物なんかを教えてもらったら?」

「あっ、知りたいことがあった」


 私は思い出した、雑貨屋で見たあの木製のスリッカーブラシだ。

 私はその商品を説明してみた。すると、それは、ヒツジの毛の向きを揃える道具らしいのだ。2つのスリッカーブラシを重ねて、間にヒツジの毛を入れて梳くと、毛の方向が一定になって、紡ぐときに奇麗に紡げるらしい。

 ついでに、アーベルにスリッカーブラシがどうやって作られているのか聞いてみる。すると、恐ろしいことにブラシのピンと、その土台とは最初から一緒らしい。私は、木製の土台に、あのピンのようなものを作ってくっつけているのかと思った。が、まさか、くり抜きで作っているのかと尋ねると、大笑いをした後に、そーゆー樹皮を持った木があるらしいのだ。


「じゃあ、その木に頭をこすると、髪が解かせるね」


 そう私が言うと、アーベルもブリッドもお腹を抱えて笑った。そのボケが良かったのか、私とブリッドはちょっと距離を縮められたと思う。しかし、そんな樹皮を持つ木があるなんて、大反則だ!


 それからすぐに、ブリッドと料理の材料集めをした。

 今日の晩ご飯の献立は、カッティーズチーズを乗せたサラダと、クリームシチューを作るつもりだ。

 村長さんの家族は、4人分だと解った。ウチは……。家の裏でまたぞろ剣を振り回す男どもに声をかける。


「夜ご飯をうちで食べる人はいますか? レギンとアーベルとヨエル以外ですよ〜」


 私の声に、ダニエルとブロルが手を上げたが、ニルスは手を上げなかった。美味しいものに興味がないのかと思っていたけど、アーベルのお願いで理由が解った。


「エルナ、小さい鍋にニルスとエッバ婆さんの分を持たせてあげてよ」

「いいけど」

「一人で食事は寂しいからね」


 なるほど、ニルスはお婆さんと2人暮らしだから、1人で食べさせるのは忍びなかったのか。いい子だ。


「わかった!」


 あれ? いまちょっとニルスくん、微笑んだ?

 とすると、家の4人、ダニエルとブロルの2人分、ブリッドの家の3人分、ニルスとお婆さんの2人分。11人分ですか。タマネギいくつ剥けばいいのよ!


 私とブリッドは、夕飯の支度をはじめた。お昼の鐘の後の、鐘が鳴ったので午後の2時を過ぎた頃だろうか。少し早い気がするが、煮込めば煮込むほどヤケイの肉は柔らかくなるだろうし、野菜も大きく切れば、少しくらい野菜が煮くずれても大丈夫だろうと思っている。スープは、その溶けた栄養ごと摂取されるのだから。


「まずは、ポテトとオニオンとウォルテゥルを切ろうかな」

「はい」


 やたら丁寧な返事に、どう指摘をしたら良いか解らない。私より7つ位上のはずで、それは誰の眼にも明らかなのだけど、6歳の子供が13歳の子供に、『そんなに畏まらいで』は無いよね。それとも、そんなことはスルーする?


「ポテトは、長いのと丸いのはどう違うの?」

「丸いのは、あまり長く煮ていると無くなってしまうの」

「じゃあ、どんな時に使うの?」

「そうね……輪切りにして大豆油で揚げたり、茹でてすりつぶして食べたり」


 それは、フライドポテトとマッシュポテトでは? と想像する。これで、マヨネーズがあったら、ポテトサラダも出来るではないか。やはり、今日はマヨネーズを作ってみようと思う。

 ジャガイモとタマネギと、ニンジンの数を11人分そろえる。こちらの貯蔵庫に入っている野菜はどれも土がついているので、数が多いが、洗い場まで2人で持って行って洗った。


「これだけの数の野菜を洗うのは、結構大変ね」

「うん」

「お祭りの時とか、誕生月の時とかは作るんだけど」

「誕生月?」

「月の最初の命の日に、その月に産まれた人を家族や親類や友人でお祝いするの」

「何か、特別なものを作るの?」

「えっーっと、お肉の固まりを焼いて、みんなで切り分けて食べたり、食後にグレッグを飲みながら、クッキーや果物を浸けたものを摘んだりするのよ」

「グレッグ?」

「ワインをお湯で割ったものよ」


 なるほど、ホットワインのことか。果物を浸けたものは、食料庫で見つけていた。陶器の壷に果物の輪切りを蜂蜜につけたものだった。レギンの家にあるものは、リンゴの輪切りのようなもので、匂いもリンゴそのものだった。そして、シトロンと言う名のレモンの蜂蜜漬けもあった。

 大家族では、毎月始めの命の日は、誰かの誕生月なので大変らしい。

 あれ? 確か今日は命の日だったよね。それも一番目の命の日って言っていたような……。


「あっ!」


 隣でジャガイモを洗っていたブリッドが叫んだので、思わずビクっとしてしまった。大人しい顔に似合わず、結構大きな声だった。

 はしたないと思ったのか、ブリッドは体を小さくして、口を押さえた。


「どっ、どうしたの?」

「アーベルの誕生月なのを忘れていたわ」

「なっ、なんと!」

「そして、今日は一番目の命の日です」

「そ、そうだよね」

「私、近頃スサンとお母さんのことで頭が一杯で……」

「し、仕方ないよ。でも、プレゼントとかしないといけないのかな?」

「ぷれぜんととは、何ですか?」

「何か物を送ったりするの?」

「そうですね、男の子の場合は、ナイフや靴なんかを送ります。女の子には、手芸の道具とか……マフラーや手袋も送ったりします」

「うわぁ、すぐに手に入るものじゃないよね…ブリッドは、どうするの?」

「……私、アーベルにマフラーを贈ろうと思って、作りました」

「じゃぁ、それを取りにいけばいいね。でも、さっき家族とか親戚の人とか集まるって言ったよね」

「えぇ、毎年私の家と、イーダ叔母さんの家の人、ノアも来ると思います」

「ちょ、ちょっと待って! それって何人なの? どれくらいの量を作るの?」


 なんと、ブリッドの言う所では、レギンのお父さんミケーレさんは、3人兄弟の長男で、弟であるダーヴィッド村長と妹である宿屋へ嫁いだイーダさんがいるらしい。その家族だけで12人、その他にもミケーレさんの両親の兄弟の子供たちや、アーベルの友人などが来るだろうから、25食くらいあれば大丈夫らしい。それでも、みんなは家の中に誕生月の人がいる場合も多いので、夕飯を食べてから来るのが普通なので、それほど気にしなくていいと言う。

 その上、アーベルへの贈り物はどうしよう……アーベルを思い浮かべると、最初に思いつくのは『美味しいもの』だった。晩ご飯も美味しいものを作るつもりだけど、これは、何か1品を特別に作った方がいいだろう。その前に、怪しまれても食料庫の食材が何なのか、早急に確認をしようと決心をする。

 私は、野菜を洗い終えると、ブリッドを伴って食料庫に入った。


「何があるのか、解らないので教えてください」

「えっ?」

「いろいろ、漬けたものとかあるんだけど……」

「ああ、保存食ね」


 保存食という単語があるんだ。最初っから言ってよ。

 結局、私が新たに見いだした食材は、ニンニクと生姜があった。ニンニクはそれほど変わらないのだけど、生姜はただのやせたごぼうの先、切って捨ててしまうよな細い根っこだった。豆が数種類あり、色も白、黒、緑、クリーム色などがあり、大きさは空豆大のものから3ミリくらいのものだった。他に豆はないかと探している時に、アーモンドを発見した。まさしくアーモンドがあった。

 野菜は、新たにキュウリを発見した。日本で言うところのキュウリではなく、瓶詰めで売られているピクルスと呼ばれる酢漬けで、ガーキンスと呼ばれるキュウリだ。名前はキュウリだったけど。

 後、驚いたのはシトロン。フランス語でレモンで、まさにレモンの味。形はライム、またはかぼすのように見え、大きさは、グレープフルーツくらいの大きさ。が、これが不思議食物だった。

 緑色の時に収穫すると、味はレモンなのだが、黄色になる頃に収穫するとオレンジの味らしいのだ。黄色の時に蜂蜜漬けにされたものを食べてみたのだけど、オレンジの味がしっかりした。1つで2つの使い道がある果物だった。

 ブリッドの家には、もっと色々な保存食があるということなので、後日、お宅訪問を約束した。


 実は、食料や調味料のことばかりではなく、炉の近辺にあった用途不明の道具たちがあった。

 料理をする炉の近くに、大きな桶が2つあった。1つは、今朝、レギンたちとこの桶の中に、食器を入れて洗いに行ったので、洗い桶と命名した。その洗い桶より一回り小さいものがあるのだが、今回はそれが何なのか判明した。

 私はお肉を切り、ブリッドは野菜の皮を剥く仕事と分担をした。その時、ブリッドは何のためらいもなく、炉の近くにあったその桶を椅子の近くに持ってくると、剥いた皮をその中に捨て始めた。と言うか、切りながら、皮をその桶に入れるのだ。私の知る台所の三角コーナーみたいなものらしい。このゴミたちが、どう処理されるか確認せねば……。

まぁ、ブリッドのお陰で、食材や道具の謎があらかた判明したな。


 予定になかったアーベルの誕生月のお祝いなので、もの凄い量の野菜とお肉を切った。献立も否応無く変更することとなった。まずはクリームシチューとパン、サラダは量のみが変更となった。そして、肉料理として、唐揚げを作ることにした。これなら、簡単に出来るし、手軽につまめると思ったからだ。

 そして、アーベルのプレゼントとして、プリンを作ることにした。卵も牛乳も沢山あるし、プリンを作るのにはことかかない。その上、誕生月のお祝いなので、砂糖を使っても大丈夫だろうと思うが、レギンにちょっと確認をするために、皆が集う場所へ足を運んだ。ブリッドは、イーダ叔母さんとスサンが心配なので、今晩の誕生月の宴には来れないので、今のうちにアーベルに渡すつもりだったマフラーを取りに帰った。

 レギンのいる場所では、今はアーベルとニルスの打ち合い(?)を、みんなで見ていた。レギンに歩み寄ると、私はレギンの袖を引っぱってしゃがませて、耳元でこっそりと尋ねた。


「今日は、アーベルの誕生月のお祝いでしょ? お砂糖を少し多めに使ってもいい?」

「ああ、いいよ」


 私の問いに、レギンはにっこり笑って頷いた。そして、立ち上がると私の頭を撫でた。

 レギンの様子から、レギンはアーベルの誕生月のお祝いを忘れてはいないようだ。ちょっと安心。


 早速、砂糖と水でカラメルを作り、先ほど食料庫でブリッドと物色していた時に見つけた、耐熱用の陶器2つに(この時代ではこんな名称ではないと思う)に、カラメルを入れた。その後に、牛乳、砂糖、卵をまぜたプリンの素を流し込み、昼に使った底のある金属のパットに水を入れて、釜に投入した。ときどき確認をしながら、蒸し焼きにするのだ。

 実は、私も楽しみなのだ。プリンなんて何日ぶりだろうか。つい、釜の前でニヤニヤして鼻歌などを歌ってしまった。


「ご機嫌だね、エルナ」

「ひゃ!」

「あははは、なんでそんなに驚いているんだよ」

「もう、急にビックリさせないで!」


 アーベルは、先ほどの冷たくて甘い牛乳が欲しかったらしい。牛乳は、新たにアーベルが洗い場の近くで冷やしているということなので、人数分のコップに少しずつ砂糖を入れて、2人で持って行った。

 みんな一息いれていたが、アーベルと私がコップを持って登場すると、待ってましたとばかりに、ダニエルとヨエルが牛乳を取りに行った。

 普段は、水を飲むのが普通らしい。牛乳は、そのまま朝のご飯の時や、寝る前に暖めて飲むことはあるようだが、冷やして甘くして飲むことは無かったらしい。当分、これは彼らのブームになりそうだが、砂糖はそんなに安くないんだけどね。これは、早急に運動の後の経口保水飲料を考えないといけない。


 一息ついたアーベルに、お手伝いを頼んだ。これから作るマヨネーズは、私一人の力では無理だと思っていた。


「何を作るんだい?」

「アーベルは、野菜を生で食べたりする?」

「あまり好きじゃないんだけど、野菜を食べないと体が痒くなったり、風邪になりやすいって言うんだけどさ、食べにくいよね」

「普通は、どうやって食べるの?」

「簡単さ、野菜を切って塩をかける」

「それだけ?」

「それだけだよ。何か美味しい食べ方があるの?」


 私はニッコリと微笑んだ。それにつられるようにアーベルも微笑む。

 フォークを3本もって、卵にオリーブオイルを少しずつませて、塩と酢を入れグルグルと混ぜた。

 グルグルグルグル、グルグルグル。

 2人で交代したりして、これでもか! と言うくらいにグルグルした。最後には腕が上がらなくなりそうだった。私は、プリンの様子を見なければならないし、プリンの存在をアーベルから秘匿しなければならないし、結構大変であったが、まぁ、それなりのマヨネーズが出来たと思う。


「すごいなぁ、卵とオリーブオイルだけだったのに……」

「疲れたね」

「そうだね」

「味見してみる?」


 フォークについているマヨネーズを、アーベルの口元に突き出した。ちょっと恐る恐るとそれを口に入れたアーベルは、驚いた顔をした。その表情は、想像通りだった。驚くよね、卵と油で、こんなものが出来るなんてね。


「何これ?」

「これを野菜につけて食べるとおいしいよ」

「?」


 そこまで、味の想像がついていないのか、アーベルはきょとんとした。

 私は、食料庫からカパと呼ばれるキュウリを持ち出た。さっきは説明しなかったが、ピクルスになるキュウリ、ガーキンスはキュウリと呼ばれ、私たちが良く知るキュウリはカパと呼ばれている。ややこしい!

 で、そのカパを水瓶の水で洗って、そこにマヨネーズをつけて、再びアーベルの口元に突き出した。


「おいしい!」

「ただの塩でも美味しいけど、マヨネーズも美味しいよね」

「やっぱり、エルナは凄いよ」

「あんまり食べたらダメよ」

「夜のごはんがなくなっちゃうね」

「あっ、ずりぃ〜!」


 振り返るとダニエルが叫んでいた。見つかってしまったよ、なおかつ大声出すから、皆が何事かと集まってきたではないか。

 夜のお楽しみだと、黙らせるのに苦労したが、今、ここでアッフたちに食べられたら、夜のサラダに使うマヨネーズがなくなってしまう。慌てて、アーベルと陶器に移して蓋をする。


 レギンとアーベルが、敷地に放しているウシやウマを小屋に入れるために、アッフたちを連れ出してくれたので事無きを得た。

 みんなを見送りつつ、私は引き続き、釜の中のプリンの様子を伺い、奇跡の悪戯の賜物である、酵母菌を入れたパンの種が、ちょうど良く膨らんでいるのを確認する。プリンが出来たら、パンを焼こう!

 次に、油を入れた鍋を火にかけて、唐揚げ用に肉を切り、塩と胡椒ふりかけ、小麦粉をまぶして油で揚げた。

 シチューは、ブリッドが帰る前に、鍋に入れて煮込んでいる。後は、ブリッドが戻って来たら、いよいよ、ホワイトソースを作るだけだ。

《エルナ 心のメモ》

・宿屋の息子、ブロルは、レギン、ダニエルの従兄弟。

・ブリッドは金髪ツインテールの緑の瞳の手芸の得意な娘さん。多分、年はアーベルと同じくらい

・ブラシのような樹皮を持つ木があるらしい

・誕生月のお祝いなるものがある。産まれた月の1番目の命の日に家族や親戚、友達が集まって宴になるらしい。

・キュウリと呼ばれる野菜は、ピクルス用のガーキンスで、私の知っているキュウリはカパと言う

・ニンニク、アーモンドは同じものがある。生姜はごぼうの先の捨てるような部位

・ここでのサラダは、塩をかける

・冷たくて甘い牛乳の他に、経口保水飲料をかんがえなければ……

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