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賢者様を待っている世界で  作者: 三條聡
第6章 テグネール村 4
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アーベルの日記5

色の月 2番目の火の日


エルナは凄い!

ヒツジがベルの音を聞いただけで戻って来た。話しを聞いた時には疑っていたけど、エルナの言った通りだった。

エルナも凄いけど、ヒツジって凄い!


色の月 2番目の風の日


アッフたちの出し物を何にするのか、エルナが今日見せてくれた。

魔法が使えるとか言うから、驚いたけど……箱に仕掛けがあるだけだった。

エルナは、アルヴィース様かもしれない。でも、人が突然消える怖さがまだ解らないようだ。この国には、いろいろな噂がある。突然、村ごと人が居なくなると言う話も聞いた。

その消えた人は、どうなているんだろう。

人は死ぬと、ソール神とノート神が作った世界へ行くと言う。そこは、素敵な所で、病気や怪我なんてないし、お腹も空かない奇麗な場所なのだ。僕の母さんもそこに居て、僕がずーっとすーっと歳をとって死んだとき、その世界で母さんに会えるんだって、お爺さんが話してくれた。母さんがそんな素敵な所にいるのだとしたら、嬉しいなと思った。だから、僕はそれを信じようと思った。

でも、消えてしまった人たちは、どうなったのだろう? それは解らないから怖いと思う。


そう言えば、エルナは人に耳や尻尾が生える話をしたら、凄く複雑そうな顔をしていた。もしかしたら、エルナにとってはその方が良く理解できないのかもしれない。

僕も動物の尻尾や耳を持っている人に出逢ったことはない。でも、この世界のどこかには、そう言う人がいると言われている。そんな人たちは、神殿で神官になることになっている。だって、動物は、四大神が作った生き物で、その生き物たちは四大神のお使いなのだ。だから、動物の尻尾や耳の人が生まれると、その神様のお使いが生まれたと、村や町では大騒ぎになるんだ。


エルナはこことは違う世界から来たと言っていた。

きっと、エルナの世界では信じられないことなんだと思う。

エルナの世界のことは、あまり聞かないことにしているから、僕らの世界とどれくらい違うのか解らないけど、きっと驚くようなことがあるんだと思う。

本当は、色々聞きたくてたまらないけど、兄さんがエルナが寂しがるから……と言って、あまり尋ねないように言われているんだ。


いつか、エルナに聞いてはみたいと思う。


色の月 2番目の地の日


《禁忌の森》で遭難した人が目覚めたらしい……僕にも解らないけど、何だが嫌な感じだ。


色の月 2番目の水の日


叔父さんが面倒なことを持って来た。否……オリアンのディック町長が原因か……。


エルナの頭の中はどうなっているのかな。地面の下に厩を作るなんて、ヒントをもらっても思いつかないよ。

エルナの世界には、そういった建物があるのかもしれない。


エルナの面白い厩に、兄さんが関心を示していた。

その気持ちは良くわかる。《禁忌の森》から、アッフが襲ってくれば、最初にヒツジたちが危ない。ヒツジたちは、ボーやグンのような牙もない。


それでも、アッフからヒツジを守るのは難しいと思う。早く東側に壁を作らないと……。


色の月 2番目の闇の日


今日、蒸し器と言うものを使ってエルナが料理を作った。それぞれの野菜がどんな味なのかなんて、考えたこともない。でも、今日のオンヤサイとか言うものは、野菜を蒸しただけだったから、いろいろな野菜にそれぞれ違う味があるのだと解った。

オンヤサイの中で、僕はオニオンの味が好きなのだと感じた。オニオンはいつも料理に使っていたのに……そんな風に思ったことは一度もなかった。

面白よね、いつも当たり前のことだったのに、色々なことを確かめてみたり、ちゃんと考えてみると、違った方に感じたりするんだ。


エルナは、タマネギも季節によって味が違うかもしれないと言った。それは、その他の野菜も同じで、一番美味しい時があると言うのだ。


僕は色々なことを考えることが癖になっているって、ノエルに良く言われる。でも、もっともっと考えると、もっともっと知らない世界があるんじゃないかと思う。


エルナといると、もっとワクワクすることがあるんだろうな!

ここで、次の章になります。

次は15日頃にアップです。

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