表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者様を待っている世界で  作者: 三條聡
第1章 テグネール村 1
1/179

プロローグ

 雪が降った。数十年ぶりの積雪量だった。東京は雪や大雨には弱く、交通網は混乱気味。


 これから通勤のために、電車に乗る。いや、その前に駅まで歩いて行くのだけどね。

 天気は良いのだが、足下がかなり危なっかしい状態だと思う。ヒールを履いて歩くのだろうか? それとも会社まではスニーカーなのだろうかと思いつつ、自分は迷わずにスニーカーに足を突っ込んだ。何たって、ジーンズ出勤なのだからヒールは選択肢に入っていない。いつもこんな格好かと聞かれると、そんなことはないんだけど。


 私は、某出版社の編集の仕事をしている。

 小学校の頃、調べもので活躍した6冊とか、12冊のシリーズもので、『○○の飼い方』とか『リサイクルを考える』とかの本を見たことがあるだろうか。そんな本の編集を主にやっている。本屋ではお目にかかれないが、図書館となると、必ず閲覧することのできる本。図書館用の本とも言える。

 まぁ、そんなことはさておき、そのシリーズは、新年度に発売されるので、当然として、2月あるいは3月に印刷所への引き渡しが終わる。今年も、1年に渡る大仕事が3日前に印刷所へ納稿し終わった。

 週刊誌の締め切り間際もかなりの修羅場だが、私の本の修羅場も凄まじい。ラストの2週間は家に帰れない。関わっている人や会社や団体が100を越えるために、ゲラの最終確認をする人数がバカにならない。

 あぁ、また話しが脱線してしまった。

 で、今日は、来年に発売するシリーズを何にするのか、ちゃんとした会議第1回の為の出社である。でもね、修羅場まっただ中で、「逃避」として幾度も話題に上がっているのだ、今更な感じがする。


 そんなことを思いながら、外に出た。思ったほど寒くないが、足が冷える。

 道に出ると、やたらに腰が引けている人々が目に入る。

 私と言えば、足の裏に力を入れて歩くらいの注意でゆっくりと歩いていた。成人してから、雪道で転んだのは1度きり、それもヒールだったし。ただし、地球にエルボー食らわせた肘は無惨なことになった。


 自分が転ぶなんて思わなかった。まさか人の巻き添えで転ぶなんて思いもしなかった。

 後ろから人がぶつかってくるなんて!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ