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特陸道長は勇者か?

この作品はヘブンズワールドと繋がっています

あらかじめご了承ください

 私の名前は特陸道長とくりくみちなが


 私はとある会社の営業部の部長をしている


 今日は取引先の相手とゴルフで接待だ


「さすがです、岡崎様」

「ハハハ、そんなことないよ」


 そんな中私の後輩がやらかしてくれた


「はあ!?」


 ホールインワンを


「何なんだね!?あの若造は!!」

「ぐ、偶然ですよ、な!雄輔」

「あ、は、はい」

「ちょっとこい」

「なんでしょう?」


 こいつは江堂雄輔えどうゆうすけ

 私の後輩であり部下だ


「今日は接待だ、適当にやっとけばいい、本気を出す必要はない、寧ろそうしたら相手に対して失礼だ」

「適当ですよ?」

「何!?」


 適当であのショットだと!?

 確かにこいつは運動神経がいいが


「まあいい、とにかく手加減しなさい」

「分かりました」


 そしてこいつはまたやらかすのだった


「何なんだね!! ふざけてるのかね!? 彼は」

「すいません、すいません」


 こいつは片手だけで適当に打ったのだ


「もういい!帰る!!」


 これは終わったな


「おい!!! 雄輔!!!!」

「はい?」

「もう少しちゃんとしろ」

「手加減しろって言ったの部長ですよ」

「だからって片手で打つ必要はないだろう」

「はあ」


 ダメだこいつは

 こんな接待ができないようじゃ昇進なんてできないだろう


「今回の責任は私が負うことになってるんだ!」

「はあ」

「それが分かってるのか!?」

「次からは気をつけます」


 ったく最近の若者は接待なんて知らんのかね?









 取引先との商談だが

 失敗に終わった

 理由は明白である

 雄輔がへまをやらかしたせいだ

 それで取引先の相手を怒らせてしまった


「君は部下にどういう教育をしているのだね?」

「すいません、すいません」


 私は社長に叱られた

 教育はさせてるつもりなのだがなかなか上手くいかない







「はあ……」


 私は家に帰った後

 酒をがぶ飲みした

 今日は災難だった

 飲んでないとやってられない


 こういうときそばで慰めてくれる妻がいれば……

 独り身は辛いぜ


「ううう、ヒック」


 酔いが回ってきたのか俺はそのまま意識を失った












「ここは……どこだ……?」


 俺はどこか神殿みたいなところにいた


「あなたはこれから勇者になるわ」


 その声が聞こえたとたん

 目の前に少女が現れた


 透き通った茶髪に

 肩まで伸びたウェーブがかった髪

 首にぶら下がっている花のペンダント

 そして少女は白いワンピースを来ていた


 少女は幼いが美人な顔つきをしていて

 俺はしばらく見とれていた


「私が……勇者?」

「ええ」



 勇者かあ

 子供の頃憧れていた

 あのときの私は純粋だったなあ

 しかし、いつ頃だろうか

 仕事に追われ

 そんなことなどすっかり忘れていた


「それよりここはどこだね?夢じゃないのか?」

「夢じゃないわ、ここは神殿よ、名前はないわ」

「もう一度聞くが私は勇者なんだよね?」

「これから……ね……」


 少女は含みのある言い方をしていた

 私が勇者かあ

 悪くない

 私は子供の時のような気持ちになっていた

 勇者にはヒロインがつきものだ

 彼女がヒロインなのだろうか?


「よし!それじゃあ世界平和のために頑張るぞ!!」


 私は生き生きとした様子で答えた


「その前に」


 少女は間を置いたあとこう言い放った


「一つ目の試練よ」


 少女がそう言ったとたん

 彼女の隣に木で出来た人形が出てきた

 手には木刀を持っている

 次の瞬間

 その人形が私に向かって最接近してきた

 剣を振り下ろしてくる

 私は思わず目を瞑った


「あれ?」


 私は目を開いた

 私の目の前には木刀が寸止めされていた


「どうしたの?早くその木刀でこの人形と戦って」


 右手に感触がある

 私は木刀を持っていた


「え?」

「言ったでしょ一つ目の試練だって」

「わ、分かった」


 私は人形と戦った

 しかし、戦っているうちに怖くなってきた

 足払いされては喉元に木刀を突きつけられるし

 吹き飛ばされたりもしたのだ


「もういい!」

「どうしたの」

「もういい!私は勇者にならない!!」

「あなたは勇者になりたかったんじゃないの?」

「ああ、なりたいさ、でも怖いんだ」

「そう、それじゃあ諦めるのね」

「そうなる」

「分かったわ」


 少女はそう言った途端

 木で出来た人形が消えた

 少女が私に近づき額に手を置く

 その瞬間、私の意識が遠のいた












「はっ!」


 朝になっていた


「変な夢を見たなあ」


 しかし、あの夢妙にリアル感があった

 まあいい、私が勇者になんてなれるわけないし


 私は今日もスーツに着替え

 仕事に赴くのだった



















 特陸道長

「勇 者 失 格」

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