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俺とニート生活  作者: KAI
2/6

生活二日目

生活二日目


空は青く、風は強く、大地を駆け巡る。 キミはさまざまな敵を倒すことが出来るか???


・・・・・・・・


だるい。


体がだるいのに加え、腹痛、とどめの頭痛だ。


昨日・・・いや今日の朝八時まで戦っていた。


最後のモンスターが異様にてこずった。


正直、今日は寝ていたい。


昨日の腐ったおにぎりが原因かもな。


だがな、こんなことで負ける俺じゃねえぜ?


大会が迫ってんだ。


大会というのはもちろん「デストロイ・オンライン」での大会だ。


ここでこのゲームについて詳しく説明しよう。


「デストロイ・オンライン」は全国でプレイヤー数、230万人、モンスターと戦い、プレイヤーと戦ういわば神ゲ―。


基本5人のパーティで行動する。


もちろん、2人、3人でパーティとしてるやつもいれば、一匹狼で行動してるやつもいる。


他にも大人数のパーティで行動するやつらも多い。


だが一匹狼で行動してもリスクが大きすぎる。


この「デストロイ・オンライン」では、一度プレイヤーが死ぬと、その時、所持しているアイテム、武器、装備品がすべて消える。


意外とハードなゲームなのだ。


だが、スリルを求めて戦うプレイヤーも多い。


大会では、リスクを背負うものの、優勝すれば、レアアイテム、強力な武器、装備品が手に入る。


と・・・こんな感じのゲームだ。


今は夕方の三時。


おやつの時間か。


昨日おにぎりも食べてしまったし、どこを探しても食べ物が見つからない。


仕方ない、買いに行こう。


俺も極力外には出たくない。


でもまあ、人間食べなければ死ぬ。


今の状況といえば太平洋戦争で空腹で苦しんだ人のような感じだ。


とりあえず、千円をポケットに入れ、ゴミのような部屋の中を歩き、玄関を目指す。


ドアを開けると、まぶしい光が照らされていた。


「うっっ・・・」


正直、日差しは嫌いだ。


暑いからな。


現在八月中旬。


腐ってやがる。


一歩一歩歩くたびに腐っていきそうだ。


セミの鳴き声がうるせえ。


だから夏は嫌いなんだ。


外にはこんな暑いのにもかかわらず元気よく遊ぶ子供たちがいた。


なにやら空き地で野球でもしている。


くだらない。


気にしても仕方ない。


歩こう。


徒歩五分のところにあるコンビニに入ってしばし、落ち着く。


「ゼェ、ゼェ」


外を歩いただけなのにこんなに疲れるとはな。


まったく情けない。


千円で何が買えるか。


またこんなところに来たくない。


出来るだけ節約してこないようにしたいところだ。


80円のおにぎり5個とお茶、煙草を買う。


まだ外には出ず、この涼しい空間をもう少し満喫しよう。


少年雑誌を取り出し立ち読みを始める。


少年雑誌か・・・読むのも久しぶりだ。


いろんなマンガを読んでいるうちにふと笑ってしまった。


そこまで大きくなかった笑いだったが、今は真夏。


コンビニに涼みに来る人なんて山ほどいる。


笑ってしまった。きづけば、周囲の人が俺の方を向いていやな視線を向ける。


「うっっ」


急いでコンビニを飛び出し走る。


なにも考えずに。


クソッッこれだからリアルは嫌いなんだ。


単なる負け犬でしかない。


走っていたらすぐに自宅に到着した。


「クソッッ、クソッッ」


煙草を吸って心を落ち着かせよう。


シュボッッ


「ふー」


落ち着いた。


さてゲームをやろう。


こんな世界嫌だ。


リアルなんて滅んでしまえ。


ゲームにログインし、自室に入る。


「ん?」


メールが届いている。


パーティの仲間からだ。


さっき練習試合の申し出があったらしい。


明日は大会。このゲームにも大会がある。一般的にはパーティでモンスターを狩るのが基本だが、半年に一度、大会が行われ、プレイヤー同士で戦うということが出来る。


大会はリスクを背負うが勝った時のあの感覚はわすれられなくなる。


もちろん、死ねば賞金なしで装備、アイテムはすべて消える。


大会に向けて練習も悪くないな。


自室でアイテムを整理し、必要なものを持って武器と装備品を選択。


パーティルームへ。


パーティルームには一人、待機しているユーザーがいた。


BRACK PEACEさんだ。


この人は、駿とパーティを組んでからすぐ入団申し出がきてからずっと一緒に戦っている。


ちなみに俺のユーザーネームはKEI。


敬介からとった名前だ。


BRACK PEACE 「こん^^」


KEI 「ちわ~」


BRACK PEACE 「練習試合どうする?」


KEI 「暇だし、やる?」


BRACK PEACE 「いいよぉ」


今のパーティでは二人しかいないため、何をやるにしても不利である。しかし、俺は完全なる廃人。この二人でも十分戦える。


BRACK PEACEさんも廃人だかどうかは明らかだ。話によるとバイトをしている、いわゆるフリーターというやつだ。


ニートの俺よりはましだと思う。


ちなみに、このゲームにはキャラクター個人にレベルがある。レベルは強い人ほど高く、弱い人ほど低い。いわば、弱肉強食の世界だ。


レベルは100レベルまであり、俺は71レベ、BRACK PEACEさんは57レベだ。


100レベに到達するものは廃人を超えた存在であり、神だ。


もう四六時中このゲームをしていても到達できないほどのレベル・・・。


71レベの俺は自分で言うのもなんだがかなり強い。


サイトで調べてみると五年間やっても70レベに到達できるか怪しいくらいだ。


それほどの廃人なのである。


BRACK PEACEさんはフリーターで50レベまでに到達できるのは正直センスの問題だろう。


いわば、ゲームはセンスが大事になってくる。


厳しいことを言うのもなんだが、オンラインゲームはセンスを感じとれないなら辞めた方がいい。


駿や他のパーティメンバーも平均50レベだ。


俺ほど強い人間がこのパーティにいるのも他者からみれば不思議かもしれない。


駿とは話も合うし、親友と呼べる人だからこそ一緒にいたいと思う。


BRACK PEACEさんや他のメンバーも個性的で楽しいから俺はこのパーティは好きで所属している。


何度か強いパーティに誘われたこともあったが断ってきた。


自分が自分らしくいられる場所が心地がいいからな。


さて、練習試合にでも行くとしよう。


試合会場に行き、試合届けに申請する。


相手のパーティはもちろん五人、平均40レベの人たちだ。


対してこちらは二人。まあ俺がいるから心配ない。


最強の武器と装備を使っては大人げないと思ったので軽装備で戦うことにする。


「よろしくおねがいします」


「よろ」


「よろぴく^^」


「よろしくです」


挨拶を済まし、対戦スタート。


対戦ステージは、「惑星アルトリア」


広大な自然に囲まれた高原のステージ。よく弱者が木陰に隠れたりしながら遠距離攻撃を仕掛けてくる場所だ。


スタート直後に俺は魔法を発動する。


「ブレイブファイア!!!」


杖からステージ半分を覆い隠すほどの炎が一気に炸裂する。


これだけの大技を前に相手チームのメンバーたちは一気に唖然とする。


「あんなのありかよw」


「無理無理w」


相手のチャットなど無視し相手チーム全員に大ダメージを与える。


燃えさかる炎は高原を火の海にし木陰や芝生もろとも焼きつくす。


隠れながら戦うキャラクターにとってはチートだ。


だが一発で死ぬほど相手チームもやわじゃない。


だが、これで一人一人に半分以上のダメージを与えた。


あきらめんとばかりに散らばる相手チーム。


そこから一気に間合いを詰めるようにして四人のキャラクターは俺に攻撃を仕掛けてくる。


ここでもう一度魔法を使用する。


「エレクトリアシールド」


全員の攻撃は無効化され一斉に散らばる。


散らばった瞬間そこのわずかな隙間をねらって俊足の如く、剣の一撃が放たれた。


BRACK PEACEさんだ。


BRACK PEACEさんの一撃で一人のキャラクターは戦闘不能。


もう三人はかろうじて体力メーターが残っている。


・・・・・・・「ん???」


相手チーム三人が少しずつではあるが回復してきている。


「やられたな」


五人のうちの一人が後ろで回復を援護していた。


しかし、この距離から、後ろの奴を殺るには遠すぎる。


やつを狙えば、その時間の間にこの三人は回復する。


今回の装備は魔法攻撃中心なので、ブレイブファイヤとエレクトリアシールドを使ったためにMPがかなり消費している。


「ちっっ」


なるほどな。


その時、一瞬の閃光が光を放った。


まぶしいくらいの光の一閃が後ろにいるプレイヤーの体を貫く。その一閃の隙に俺が攻撃。


・・・・・・・・・・


タラリララ~ 勝利のBGMが流れる。


「ふう・・・」


「ありがとうございました」


「お疲れさまでした」


「死ねやチート野郎どもwww」


「チート乙www」


またか。


別にチートを使っているわけではない。レベルの違いでチート扱いされるのも腹立たしいが、ここで暴言を吐いてもらちが明かない。


「またよろしくおねがいします」そういって対戦は終了し、賞金をもらってパーティルームに帰還した。


BRACK PEACE「いやあ、あぶなかったねえwww」


KEI 「だなwww キミのおかげだわw」


BRACK PEACE 「まあね、俺も正直MP危なかったw」


KEI「まじかw まあいい練習になったね。」


BRACK PEACE 「そだね」


KEI「暇だなあ、何する?」


BRACK PEACE 「暇だねうん。 あ、でもそろそろバイトだから落ちるね」


KEI「はいよ~ バイトがんば!」


BRACK PEACE 「ありがと~ じゃあ八時くらいにまたインするからじゃね~」


KEI 「ばいば~い」


一戦を終えた。


一人だと暇だなあ・・・


仕方ない、皆がログインする時間まで寝るか・・・


・・・・・・・・・・・


夜、八時すぎ起床。


今日は朝までやりこむつもりだ。毎日のことだが・・・


パーティルームに行くと俺を除く四人が集まっていた。


須具流「ようKEI」


KEI「おはよう」


BRACK PEACE 「今日、どうする???」


JANET 「試合行く???」 


だぶるじぇい「賛成w」


須具流というのはもちろん駿のことだ。


俺と同様、名前から取ったんだろうと思われる。


JANETさんは自称会社員で47歳だと言っていた。 まあ昼間はログインしていないし、たぶんホントのことだろう。 


だぶるじぇいさんは自称女でキャラクターも女に設定している。ネカマのつもりだろうが俺には男だとわかる。


オンラインの中でも女のキャラクターは少なくない、可愛くはないが、自分好みに設定できるからな。


俺にとって女とは三次元であろうと二次元であろうと好きではないため、男のキャラクターだ。


明日は大会。


無駄にモンスターを狩るより練習試合をした方が自分の力になるのはもっともだ。


かくして俺達は対戦ルームに行って朝まで対戦を続けた。


大会で大暴れしてまた頂点を取ろう。


・・・・・・・・・


いったい何になるのだろうか。


無駄に時間と金をかけて。


このご時世で何をやっているんだろうか。


薄々自分の気持ちに偽りがあると感じていた。


だが、そんな気持ちは心の底の底の気持ち。


その気持ちがあらわになることはこれからないだろうと考えていた。









「デストロイ・オンライン」は3DのモンハンとFFが入り混じったようなゲームというようにご想像してもらえるとありがたいです。

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