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8話
王都から少し離れた場所にある、なだらかな傾斜が続く小高い丘の頂に、その不思議な建物は佇んでいました。
王都で見られる家屋といえば、急勾配の屋根に重厚なレンガ造り、複雑に入り組んだ石造りの煙突が特徴的な造りです。
しかしそこにあるのは、まるで巨大なサイコロのような、潔いまでに真四角な箱型の建物だったのです。
建物の周囲は頑丈な石造りの円形の塀でぐるりと囲われており、夜間に襲いくる魔物の脅威を退ける、堅固な要塞としての側面も持ち合わせています。
敷地内の一角では、数頭の馬が雨音を聞きながら静かに喉を鳴らして休んでおり、その隣の小屋では鶏たちが身を寄せ合って眠りについています。
そして最も大きな建物の窓からは、暖かな琥珀色の光が漏れ、屋上付近からは夕餉の支度を知らせる細い煙が立ち上っています。
奇妙ではありますが、そこには落ち着いた生活感が確かに感じられました。
「父上ーー! クリスです! クリスが参りました! 客人も一緒です!」
大雨が支配する深い闇を切り裂くようなその大声は、周囲の木々を震わせるほどに響き渡りました。
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