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第26話  安積皇子の死とラスボス・仲麻呂

ご覧いただきありがとうございます!

現代の極道のお嬢サツキが奈良時代の姫・光明子に転生し、チート《つぶやいたことが現実になる》で歴史をぶっ壊す物語。

ただし、チートで歴史を変えることはできません。

権力、恋、仏教、陰謀、すべてをオラオラで乗り越えます!

歴史に忠実×成り上がり×極道流処世術――どうぞ最後までお楽しみください!

――ラスボス・仲麻呂、動く――


 天平十六年、閏一月十一日。

 冷たい風が宮中を吹き抜け、今年いちばんの凶兆が落ちた。


安積親王あさかしんのうが……倒れられた!」

あたしのライバル県犬養広刀自あがたいぬかいひろとじの産んだ男児・17歳だった。


 宮廷がざわつく。

 伝令の声の端が震えていた。

 「脚気かっけの発症、恭仁京へ引き返し――わずか二日で薨去こうきょ


 いや、早すぎる。

 誰が聞いてもおかしいと思うほど、急すぎる。


「で、現場にいたのは……」

「藤原仲麻呂だって」


 その名前を聞いた瞬間、空気がざらりと変わった。


 そして――矛先は、なぜかあたしに向いてくる。

兄武智麻呂の息子、つまりあたしの甥。


「光明皇后が動いたらしいぞ」

「偽の皇后が親王を消したそうだ」

「不比等の娘ならやりかねん」


「……誰が偽よ。鏡の前で言ってみな?」


 胸の奥で何かがぷつりと切れた。

 背後で侍女が慌てて袖をつかんだが、もう遅い。


 そこへ、足音。

 まるで 舞台の主人公のようにゆっくりと――藤原仲麻呂が現れた。


 細い目。冷たい笑み。

 心の奥を覗きこむような、不快な静けさ。


「光明さま。ご機嫌斜めのようですね」


 嫌味が歩いているような男だ。


「仲麻呂。安積親王あさかしんのうの件――説明しな」

脚気かっけです。運が悪かったのでしょう」

 運、ですって?


「ふぅん。運ね。

 じゃあ偶然の運で、あんたの昇進も説明できる?」


「努力の結果です」


 即答。

 図太いにもほどがある。


「光明さまの後ろ盾のおかげです」


「…………」


 こいつ、わざとだ。

 光明子の力で昇進していると宮中に思わせるための挑発。

 あたしの立場を崩すための、露骨な心理戦。


 目が、笑っていない。

 本気で敵だ、この男。


 ――その時。


「光明子さま!! 吉報です!!」


 ろうを転げるように使者が駆け込んだ。


「東北で……金が出ました!!」


「……は?」


 一瞬、頭が真っ白になる。

 次の瞬間――爆発した。


「金!? ほんとに!? 本物!?」

「本物です!!」


「あーー!! ついにきたああ!! 大仏の光!!」


 あたしは思わず飛び跳ねた。

 その後ろで仲麻呂の目が、すうっと細くなる。


 金の発見――

 これは仲麻呂にとって 想定外の明るさ だった。

 国が沈めば力を持つのは官僚。

 国が輝けば光るのは皇族、特に皇后。


 つまり――

 金はあたしの光。仲麻呂には影。


「光明さま。……良きことですな」

「ええ。あんたの計算、狂わせちゃった?」


「……さあ」


 声が一瞬だけ濁った。

 風向きが変わったのを、仲麻呂は悟っている。


 あたしはすぐに大仏造立の現場へ向かった。


 土の匂い。

 溶けた鋳銅の熱気。

 巨大な骨組みが太陽を背負って立っている。


「光明さま……ここが、仏の胎内となります」

「……すご。こんな規模、見たことない」


 その背後で――さきほどとは違う、低い声。


「光明さま」


 また来た。ラスボス。


「仏を造るのは尊いこと。しかし――」


 仲麻呂が近づき、息が触れるほどの距離で囁く。


「皇后の座は、仏は守ってくれませぬ」


 挑発だ。


「へえ。じゃあ言っとくわ」

 あたしは真っ直ぐに睨み返す。


「名ばかりの皇后で終わらない。

 本物の皇后として、この国を立て直す。

 仲麻呂――あんたごときに崩せるあたしじゃない」


 仲麻呂の目が、初めて揺れた。


「……面白い」

「だろ?」


「では、戦いましょう。

 光明さま。

 あなたが国の母に相応しいか……見極めさせていただきます」


「上等。あたしは国の母になる。

 あんたは……ただの官僚よ」


 その日、完全に火蓋が切られた。


 やがて聖武天皇は譲位し、阿倍内親王あべのないしんのう――孝謙天皇が即位。

 仲麻呂は大納言となり、権力を掴みかけたその時。


 新しい時代が始まる。

 あたしと仲麻呂の、ガチの天下取りレース。


(来るなら来い、仲麻呂。

 この国は――あたしが守る)

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

いかがでしたか?

時代を越えても通じる女の強さ。

どんな時代でも、あたしたちは自分の信じる正義で生きていける。


そんな想いを込めて書きました。

感想をいただけるとすごく励みになります。

次回もどうぞお楽しみに!



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歴史部門:なろう日間2位 週間2位 月間2位 四半期2位 (1位はとれない)

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