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第18話  政敵・長屋王は謀られて自死した

ご覧いただきありがとうございます!

現代の極道のお嬢サツキが奈良時代の姫・光明子に転生し、チート《つぶやいたことが現実になる》で歴史をぶっ壊す物語。

ただし、チートで歴史を変えることはできません。

権力、恋、仏教、陰謀、すべてをオラオラで乗り越えます!

歴史に忠実×成り上がり×極道流処世術――どうぞ最後までお楽しみください!

春が過ぎ、都の空気は不穏だった。

基皇子もといおうじを失った悲しみから、ようやく立ち上がったばかりのあたしの前に――新しい嵐が、音もなく近づいていた。


――長屋王。


あの常識のかたまり。正義を名乗り、道を外さぬ男。

でも、あの人が守ろうとした正しさが、この国を縛っているのかもしれないと、今のあたしは思う。

兄・武智麻呂が、夜、殿にやってきた。

灯の下で、低く言う。

「光明子、時が来た」

「……何の時?」

「長屋王を討つ」


あたしは息を呑んだ。

空気が一瞬、凍りつく。

「兄上……冗談でしょ?」

「本気だ。長屋王は行基の活動を理由に、陛下の政を批判している。

 そればかりか、藤原氏が天皇を操っていると噂を流している」

心臓がドクンと鳴った。

「操ってる……?」

「我らが陛下の信を失わせようとしている。

 それは陛下だけでなく、おまえ自身を否定することだ」


兄の目が燃えていた。

その瞳を見て、あたしは悟った。――もう止められない。

その夜、殿の奥で聖武天皇が黙って巻物を見ていた。

長屋王の邸の地図。

周囲を囲む兵の配置。


すべて、もう決まっていた。

「……あなたも、賛成なの?」

あたしの声は、かすれていた。

「長屋王は聡明だ。だが、時代が違う」

聖武天皇は目を伏せた。


「私は民のための国を作りたい。

 けれど彼は、血縁と格式でしか国を見ない。

 それが争いを生むなら……私は前へ進むしかない」


まあ、あたしが皇族でないから皇后になるのを反対しているのは長屋王だけど、だからといって討つってなに?!



翌朝、都の空は暗かった。

風が強く、砂塵が巻き上がる。

鼓の音が、どこか遠くで響いていた。

「長屋王が、基皇子を呪術を使って呪い殺したという。

ふたりの男がそれを証言している」


――そんな報せが流れた。

二人の証人がその証拠だと言う長屋王直筆の「大般若経」の写経を持参した。

それは、歴代天皇の冥福を祈るという意味をもっていたなら、皇族ではないあたし・光明氏に対抗する行為だと誤解されなくもない状況だった。


そして、長屋王が協力者として選んだ僧道滋(どうじ)武智麻呂むちまろよりの藤原ファミリーであったため、長屋王の思想が藤原氏の家臣にもれ、武智麻呂が知り、聖武天皇が知ったという、なんだかなあ~な展開。


「長屋王が、基皇子を呪術を使って呪い殺した」


誰もが知っている。

それが口実であることを。



あたしは縁側から空を見上げた。

「……兄上たちは、やるつもりね」


午後、長屋王邸は兵に囲まれた。

王は逃げなかった。

妻の吉備内親王と子らと共に屋内に籠もったいう。


やがて知らせが届いた。

長屋王とその妻子が自ら命を絶ったと。


胸の奥がざわめいた。

怒りでも悲しみでもない。

もっと深い、冷たいもの。

ダーリン・聖武天皇は膝の上で手を組んだまま、動かなかった。


「……これで、道は開けた」

その声は低く、かすかに震えていた。

あたしはそっと彼の手を握った。


「あなたの道が血で染まるなら、

 その血を洗う寺を建てましょう」

「寺を……?」

「ええ。民も、王も、すべての魂が救われる場所を」

ダーリンは静かにうなずいた。


外では、桜が散っていた。

風のあおられ、花びらがくるくると舞い落ちる。

その中で、あたしはひとり、呟いた。



――長屋王、あなたの死を聞いてほっとしている。

だけど、それは、間違っているとわかる。


それからあたしは街へ出た。

そして、長屋王の邸が焼け落ちる光景を見た

焦げた匂いが鼻を突く。

藤原の兵士。

上手く逃がした藤原の縁者の泣き声。

死んだ子供の遺体が運ばれる様子。


あたしとしたことが……

反する意見の者の死を望んでしまった。

今さらながら、恥ずかしい!!


きっと償います。民のためになることで。




最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

いかがでしたか?

時代を越えても通じる女の強さ。

どんな時代でも、あたしたちは自分の信じる正義で生きていける。


そんな想いを込めて書きました。

感想をいただけるとすごく励みになります。

次回もどうぞお楽しみに!



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