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8話 楓の正体? ~祐美目線~



「おはよー・・・。」


「あ、祐美!

 おはよー!!」


 ひらひらと楓が

 手を振る。

 もう片方の手には

 ゲームを持っている。


「あれ、楓、新しいゲームでも

 買ったの?どんなのー?」


「えーもちろん

 BLゲームだよー

 やってみる?」


「うん!

 ありがとー。」


 朝っぱらからBLゲームをやる

 女子高校生はなかなかいないだろう。


 しばらく黙々とやってから、

 私は口を開いた。


「てゆーかこのゲームさ、

 主人公に言い寄ってくる

 男が10人もいるとか

 どんだけー!?まさに

 ハーレムjy・・・」


 私ははっとして

 言葉を切った。


「どしたの?祐美?」


「そーいえばさ、男一人に

 言い寄ってくる男がたくさんて、

 何ていうのかな?」


「あ~・・・確かに。

 男一人に女の人たくさんは

 『ハーレム』だし、女一人に

 男の人たくさんは『逆ハーレム』

 だけどね・・・」


「性別の壁超えちゃってるからなぁ・・・

 どーなんだろー?」


 そして、私はまた

 思いつき、言う。


「そーいえば楓、

 チシャとアリスって絶対

 両思いだよねっ!!」


「え・・・チシャとアリス?」


「うん!あと、ウサも絶対に

 アリスのコト好きだよね!!」


「・・・・・。」


 楓は黙り込んでしまった。


「あれ・・・違うの?

 おかしいなー。楓なら

 知ってると思ったのに。だって、

 楓は─────・・・」


 その時、ガラッとドアが開いた。


「おはよー。楓ちゃん、祐美ちゃん。」


「はよー!!」


「・・・おはよ。」


 ずいぶん温度差の激しいあいさつと共に、

 アリスとウサとチシャが来た。

 うっかり言いそうになって

 内心ドキドキしながらも

 私たちも返事をする。


「あ・・・おはよ。」


「おはよー。」


 そしてその時、またドアが開いた。

 だが、クラスの人ではなく、

 スーツ姿のおじさんだった。

 手にはスーツケースを持ってる。

 スーツケースの中身はお金だろう。

 それも、そうとうな額の。


 お、来た来たと、私と楓は

 顔を見合わせる。


 楓はすかさず、アリスとウサとチシャの

 注意を私とおじさんからそらすため、3人と

 話し始める。


 そして注意がそれた隙に、

 私はおじさんの所へと向かう。


「あなたがこの前連絡をくださった

 雪田さんですね?

 私が栗原 楓です。」


 すると相手は驚いたように、


「指定した場所が

 学校だったからまさかとは

 思いましたけど・・・高校生

 だったんですね・・・。」


「ええ。高校生は忙しいので、

 学校に言ってるときに来てもらうしか

 なくて・・・」


 そして私はポケットから

 小さな巾着袋を取り出し、

 中から『雪田さん』と書かれた

 ラベルが貼ってあるUSBメモリを

 数あるUSBメモリの中から取り出し、渡す。


「ハイ、これです。」


「ああ、じゃあこれが一千万です。」


 今回は一千万かぁと思いつつ、

 一千万の入ったスーツケースを受け取る。


「そういえば・・・

 他の生徒や先生に気づかれたりしないのですか?」


 相手はひと目を気にするように、

 キョロキョロしながら言った。


「ああ・・・それなら大丈夫です。ここは

 他のクラスの生徒や先生などは近づきませんし、

 ウチのクラスの人なら、私の仲間の

 祐美が引きつけといてますから。」


 ちらっと楓を見ながら言う。


「でも、ごめんなさい。こんな所で

 取引なんて・・・でも、今は

 警察もバカじゃないですから、

 コソコソするとバレるんですよねー。だったら

 あえて堂々としたほうがいいんじゃないかと

 思いまして。学校ココ、簡単に入れたでしょう?」


 私はにこにこしながら言う。


「あ・・・そういえば、ですね。」


「まあ、私が裏から手を回せば

 簡単ですよ。この学校は

 私の手の中ですから。」


「え・・・あ、じゃあ、失礼します。」


 まだにこにこしている私に

 ゾッとしたように、相手は

 逃げるように帰った。


 そして私は楓の所へ行った。


「楓ー!!また、だよ。」


 スーツケースを持ち上げながら、言う。


「あー、もしかしてまた楓ん家の

 使用人?楓、忘れ物多いねー。」


 アリスはすっかり前に行った

 ウソを信じ、笑いながら言う。


「うん、多分そうー。ありがと、

 祐美!いつもいつも。」


 アリスも含め、他の人たちには

 使用人が楓に忘れ物を

 届けに来た、というコトに毎回してる。


「ううん、いいよ。みんな毎回

 私が楓だと思ってて、おもしろいし。」


 こそっと楓に言う。


「だよね・・・バカだよねぇー

 人って。」


 くすくすと楓が笑う。


 こういう時だけ、楓は

 人格が変わったように

 顔つきが変わり、

 もう一つの楓の顔が

 現れる。


 そんな楓にゾッとしながらも、

 私は楓にあこがれる。


 楓の正体を見破れないなんて、

 人ってホントにバカなのかも、と

 思いつつ、楓に

 スーツケースを渡した。



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