5話 それぞれの想い (1) ~拓目線~
なかなか更新できなかった分、
たくさん更新!!
オレは、美留がオレの想いに気づいてる、
という事に気づいている。
そしてもう一つ。
オレが美留の想いに気づいてる
ということに、美留は気づいているだろう。
少々ややこしくなったが、
簡単に言うと、美留とオレは
お互いの好きな人に気づいてるということだ。
オレは、ずっと前からアイツが好きだった。
そして、中3の終わりに告白された。
オレも好きだったと言った。
だが、付き合いはしなかった。
なぜならアイツの告白は、
ずっと好きだったオレをさっぱり諦めるための、
告白だったからだ。
アイツは一度決めた事は曲げない。
だから、両思いだったけれど、
付き合いはしない。
そう、それで諦めるハズだった。
だが、オレはいまだに諦め切れなかった。
学校ではクールぶっているが、本当は
独占欲が強く、目的のためなら手段を選ばない。
だから、その時の別れ際に
わざわざ相手の心に残るような事をした。
そう・・・本当のオレは、すごく卑怯なのだ。
心に残るようなことをすれば、
いつか相手がもう一度オレを見てくれるようになるかもしれないと・・・
だからオレはアイツに・・・
キスしたんだ。
相手は驚き、逃げてしまった。
いや、相手が逃げてなかったら、
絶対にそれ以上のこともしていたと思う。
・・・オレは寝たフリをして、美留のほうを見た。
いつもの様に、寄って来る動物を可愛がってる。
そして、思った。
ああ、オレは歪んでいるな、と。
オレは一瞬、ほんの一瞬だけ、
美留がいなければ・・・・・と、思ってしまったんだ・・・。