2話 腐女子ですが、なにか? (2) ~美留目線~
「お、なんか向こうがにぎやかだな。
行ってみよーぜ♪」
ウサがにこにこしながら、言う。
チシャはこくんと一回だけうなずき、
私とウサで無理やり連れてきた
フード付きの黒いマントのようなものをはおっている
蒼くんは、フードを深くかぶり、黙ったままだ。
「あ、ホントだ!あの声って、
楓ちゃん達じゃない?
あ、英斗くんの怒鳴り声も聞こえてる!」
この二人って、微妙に似てるな・・・
と思いつつ、私も返事をする。
とゆーか、ここは廊下だから
よく声が響くのに、楓ちゃん達
おかまいなしに騒いでいるな・・・
何かあったのかな?
楽しそうに声の方向へと向かうウサ。
・・・もともとは「白ウサギ」ってあだ名だけど、
長いから「ウサ」と呼ばれてる。
チシャもそうだ。もとは「チシャ猫」だが、
略して「チシャ」と呼んでる。
私は「アリス」のままだが。
チシャ以外は、みんなこのあだ名で呼んでいる。
チシャになぜあだ名で呼ばないのか
前に一度聞いたが、あだ名なのに長いし、
しかもそれを略すし・・・略すくらいなら、
名前で呼んだほうが早い、とのことだ。
まあ、正論といえば、正論なのだが。
すると、呆れた顔をしている英斗くんが見えてきた。
実六くんは私たちに気づいて、
ペコリと礼をした。
「何だよー、何か楽しそうじゃん!
何かあったのかよ?」
「あー、実は、実六くんの声が
見かけによらずエr「わあああっ!やめて下さいっ・・・」
ウサの問いかけに答えようとする
楓ちゃんの言葉を、実六くんが
半泣きになりながら、止めている。
一方、祐美ちゃんは実六くんを見て、
ヤバい、男の娘っぽい・・・とか、
つぶやいている。
・・・一見、普通に見えるけれど、
違う。私はチシャの目線に気づいた。
また見ている・・・なぜ、みんなは
気づかないのだろう?
チシャの想いに・・・・・
私は複雑な気持ちの中、
この関係が壊れないように、と
強く願った。