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11話 幽霊事件 (2) ~拓目線~


「オレにする、なんて

 ウソだろ?目が本気じゃなかった。」


「鋭いのね。あなた。」


「それはどーも。で、何の用?」


 自分にすると言った事は嘘だと

 わかったが、どうしてわざわざ

 人気ひとけのない所まで連れて来たのか

 まではわからなかった。


「いや・・・その、あくまで私の

 推測なんだけど・・・」


 相手はキョロキョロして、周りに

 人がいない事を確認し、


「ちょ・・・耳、かして。」


 オレは素直に従った。

 すると相手はオレの耳もとで

 コソコソとありえない事を言った。


 オレはバレている事に驚き、

 思わず後ずさる。


 すると相手はにこっと笑って、


「あ、言わないから。そーいう

 悪シュミ、無いし。」


「・・・なんでわかった?」


「いや・・・見てわかるし。」


 オレはそんなにわかりやすいヤツ

 だったのかと、少し悲しくなる。


「まあ別に誰にも言わないけどさぁ、

 あの子を責めるようなコトは

 しないであげてよね。」


「・・・あの子?」


 何の事だ?

 てか、誰の事?


「アリス・・・だっけ?のコトよ。」


「え・・・美留?それって、

 もしかして・・・」


「そ。アリスちゃん、自分をかなり

 責めてるわよ。あのまま自分を責め続けてたら、

 最悪、自殺するわよ?アリスちゃん。」


 ・・・やはりな。

 だが、美留には死んでほしくないと思う反面、

 とっとと自殺すればいいのに、と思ってる

 自分がいる。


「でも、結局報われないのはアリスちゃんの

 方なんだからね?」


「は?それってどーいう意味?」


「あんた、男だからそーゆーの鈍いからわかんないんでしょーけど、

 女には大体わかんだよね。女のカンっての?」


 何の事を言ってんのかは

 大体わかるが、誰の事を言ってるかまでは

 わからない。


 オレは聞こうと思って

 口を開きかけた時、相手が

 察した様にしゃべり始めた。


「あ、ゴメン。詳しくは言えないなー

 私は女だから、女の子の方の味方をするし?

 でも、まあそのうちわかるから。」


「あ・・・ああ・・・?」


 ワケわかんないなぁ・・・


 すると相手が少し

 深刻な顔つきで、


「そーいえば、あの、セミロングの女の子って、何者なの?」


「え・・・楓の事?別に、

 ちょい重症な腐女子ってとこ以外は

 あまり特徴のない、普通の女子高校生だけど・・・」


 何でそんな事聞くんだ?


 すると、相手は考え込んでから、


「あの人には気をつけたほうが

 いいと思うよ。そのうち、大変なコトに

 なるかもしれないから。」


「え・・・?何で・・・?」


「ま、いーや!あと最後に、

 あんたの想いに免じて、

 成仏してあげるから!」


「えっ!?ちょっと!!」


 すると霊はにっこりと笑い、

 その瞬間、蒼は倒れた。


 そして、しばらくして、蒼は起き上がった。


「あ・・・成仏、したんだ・・・」


 蒼は前髪を元のように

 前に戻す。


「なあ・・・蒼。」


「・・・・何?」


「霊って、人の心とか

 読めんのか?」


「ん・・・いや・・・

 それはわかんない・・・」


「・・・そうか。わかった。」


 やはり、あの霊はオレの気持ちを

 勘で読み取ったのか・・・?


 ていうかあの霊、

 キスしたかった筈なのに、

 自分から成仏した・・・

 てか、自分から成仏ってできるんだな。


 蒼がフラフラと歩き始めた。


「おい・・・大丈夫か!?肩、

 貸してやろうか?」


「ん・・・そうしてもらえると・・・

 助かる・・・」


 蒼って、何気に偉いよな。

 自分がフラフラになってでも

 霊を成仏させてあげんだもんな・・・


「あ・・・あのさ、チシャ・・・・

 前から聞きたかったんだけど・・・」


「何だ?」


 蒼は少し躊躇ってから、

 決心した様に

 オレの目を真っ直ぐに見て、


「チシャって・・・

 好きな人、いるの?」


「はあっ!!??」


 あまりの驚きに、つい

 ガラにもない大声を上げてしまう。


「ななな何で・・・?」


「いや、何となく・・・」


 やっぱり、オレってそんなにわかりやすいヤツ!?


「だ、誰のことを好きだと

 思ってんの?」


「え・・・あ・・・アリス・・・?」


「いやいやいや!ない!!」


「なんでそこまで

 否定するの・・・?」


 何なんだよ・・・コイツ・・・


 つか、オレ、キャラ崩壊

 してんじゃん・・・


「いや、だって

 美留じゃないし・・・」


「ふーん・・・じゃあ、他の人なんだ・・・」


「え!いや!!」


 ヤバっ・・・つい・・・


「誰なの・・・?中山くん?高畑くん?

 ウサ?楓ちゃん?祐美ちゃん?」


「何故男子がいる・・・」


「いや・・・だって、ノンケとは

 限んないし・・・」


 なんでそんな言葉、知ってんだよ・・・

 つか、使い方、間違ってるし。


「あ・・・まさか、僕はないよね・・・」


「アホか・・・たとえ天変地異が起ころうが、

 オレは男は好きにならない。」


 オレは、もう答えるのも面倒になり、

 肩を貸しながら、教室まで歩くまでの間、

 向こうが他に色々聞いてきても

 何も答えなかった。


「あ~~~~っ!!蒼くんー!!

 心配したよ~・・・」


 教室に入るなり、美留が

 蒼にかけ寄る。


「オイ・・・オレはどーした

 オレは。」


「え?どーせキスされなかったんでしょ?」


「何故わかる・・・!」


「いやいや・・・

 何となくだから。」


 横で、心配かけてごめんなさい、と

 あやまる蒼を見て、オレは蒼に、

 ごめんな・・・と心の中であやまった。


 オレは、蒼にさっき、嘘を

 ついてしまった。

 蒼は気づいてないみたいだが・・・


 蒼は誰が好きかわかりやすいな

 と、思いつつ、オレは素直な

 蒼を羨ましく思った。



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