表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/18

9話 今日の議論 ~英斗目線~


「はよー・・・」


「お!来た来た!」


 朝、教室に入るなり、

 楓と祐美がオレの所へ来る。


 手にはいくつかのライトノベルを

 持っていて、当然、表紙は

 男二人がイチャイチャ(?)している

 イラストだった。


「何?オレに何か用?」


 嫌な予感がして

 冷たく言い放った。


「いやー・・・あのね・・・

 実は、このライトノベルの

 攻め役の男を英斗くんに

 演じてもらえたr「絶対イヤ。」


 きっぱりと断ったオレに、

 悲しそうな目をした二人の

 視線が注ぎ込まれる。


 その圧力にオレは

 耐えられなくなった。


「あ゛~~~・・・

 わかったよ!!やれば

 いいんだろ?やれば!」


「わー!!やったぁ~!ありがと~!」


「じゃ、早速やってもらおーか!えーと・・・

 じゃあ、まず相手をキスしながら

 壁に追いつめるシーンから!!」


「いやいやいや、いきなりそれは

 ムリだろ。絶対ムリ。」


「「え、なんで?」」


 本当に不思議そうな二人。

 しかも、またいつもの様にハモってる。


「いや、でもさぁ、相手の受け役の人を

 見たら、やりたいと思うよ?」


「うんうん、絶対に

 ヤリたいと思うよ!!」


 なんか、カタカナが聞こえた気が

 するんですけど・・・・


「はあ?相手もいんの?誰?」


 そんな話、聞いてない。

 それに、この二人の事だから

 相手は男だろう。

 という事は・・・・・


「じゃじゃーん!!なんと、いとしの

 実六くんでぇーす!」


 ・・・やはり。

 あの腰抜け野郎だ。


いとしのって言葉、撤回しろ。」


「え?イヤだ~♪それより、

 早速、二人で演じてみてよ!」


「コイツとは絶対嫌だ。」


「え、じゃあ誰がいーの?」


 どこかで聞いたよーなセリフ・・・


 だから、そーゆー問題じゃねーんだよ・・・

 アホか?コイツら。

 学習機能ないのか?


 すると、祐美が思いついた様に、


「んー・・・じゃーさ、

 今日のウチらの議論に

 付き合ってくれたらいーよ?」


「お、祐美、ナイスアイデア!!」


 楓が人差し指をたてる。


 議論?

 それならいーかも・・・


「じゃあ、議論に参加する。それで

 いーだろ?」


「じゃ、じゃあ・・・僕も参加で・・・」


 さっきまで黙って見てた腰抜けが、

 か細い声で言う。


「よし!決っまりぃ~!じゃあ、

 今日の議論のお題は─────・・・」


 楓がノートにペンでさらさらと

 素早く、丁寧に何かを書く。


「これでーす!」


 楓がそう言って見せた

 ノートには、

 『ウチのクラスの男子のCPは!?』

 と、書いてある。

 CPシーピーって・・・なんだ?


「おおー!いいね、いいねぇ!

 まあ、1つは決まってるけどー」


 祐美が嬉しそうな顔をする。

 祐美は意味がわかってるようだ。


 とりあえず、聞いてみよう。


「なあ、あのさあ・・・

 CPシーピーって、なn「まず1つは英斗くんと実六くんだよね!」


 ・・・は?

 オレと腰抜け?


 ちょっと待て!マジで、CPシーピーって

 どーいう意味!?

 オレとアイツの名前を並べられただけで

 イラッとくる。


「ちょ!楓、祐美!

 マジで、CPシーピーってなn「んで問題はさー、

 ウサとチシャと蒼くんだよね・・・」


 人の話を聞け!!


 しょうがないから、二人の話が

 落ち着くまで待ってることにした。


 つか、議論なのに、オレが

 喋らせてもらえないなんて・・・

 もはや議論でも何でもねーだろ。コレ。


 だが、そんなの考えてないみたいで、

 祐美が楓と話し始める。


「やっぱさ、ウサとチシャっしょ!」


「まあ・・・確かに。でも、

 受けと攻めは?」


 祐美の意見に楓が

 それに対する言葉と次の

 疑問を言う。


 ちゃんと議論にはなってるようだ。

 まあ、他の人のことは考えてないみたいだが。


「うーん・・・攻めはウサでしょ。だって、

 行動力とかあるしぃー。」


「んー・・・でも、チシャの性格が・・・」


 そう言って楓がくるっとこちらを向く。


「ねえ・・・英斗くん。チシャの性格、

 言ってみて?」


「・・・はっ!?」


 いきなり声をかけられ、少し驚く。


 楓はニコニコとこちらを見ている。

 オレは少し違和感を感じた。

 なんか、いつもの楓じゃないよーな・・・

 だが、オレが瞬きをした間に

 楓の表情はいつもの様に戻っていた。


「チシャの性格・・・?そりゃあ、

 冷静で落ち着いてて、クールで・・・とか?」


 そしてオレは楓の表情を見て、

 一瞬ドキリとした。


 楓は無表情だった。

 でも、嘲笑ってるようにも、

 悲しそうにも見えた。

 だが、やはり無表情だった。


「・・・・・・・大外れ。」


「え?」


 楓が何かボソリと言ったような気がしたが、

 よく聞こえなかった。


「ま、いーや。じゃあ、蒼くんは?」


「蒼くんは藤田先生とくっつけちゃって

 禁断の恋ってのもいーけど・・・

 蒼くんて髪が長くて女に見えるから

 女装させて男の娘にしちゃうのもよくない?」


「あ~・・・でも、

 男の娘にするなら、

 実六くんが一番いいんじゃない?」


 向こうはまた盛り上がり始めて、

 オレは結局逃げた。


 それを見た腰抜けは

 自分も・・・と、席へ戻る。


 はあとオレはため息をつき、


CPシーピーって・・・結局何なんだよ・・・」


 その時、目の前に誰かが

 ひょこっと現れた。


 その人は髪が長くて、すごく、

 容姿端麗と眉目秀麗という言葉が合いそうな・・・

 男子だった。


 あれ、こんなイケメン、ウチのクラスにいたっけ?と、

 首をかしげてると、


CPシーピーってのは、カップリングのコトですよ♪」


 とだけ言った。


 あれ?この声・・・

 蓮城・・・蒼?


 キャラ変わってる────!!??


 よく見ると、長い前髪を

 横へどかしてる。

 前髪のせいで顔を見たことが

 なかったけど・・・

 あんなにイケメンだったとは。

 周りの女子がほっとかなそうだな。


 なんでキャラが変わってるのか

 気になったが、二人の女子に

 振り回された疲れと、

 眠気がオレを襲い、オレはフラフラと

 席へ戻り、机につっ伏せ、

 寝始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ