夢の中の少女。
あるところに一人の少女がいました。
少女は眠ることが大好きで、
いつも夢を見ていました。
毎日たくさんの夢をみて、たくさんの物語を体験しました。
すると、少女は夢が欲しくなりました。
与えられる夢ではなくて、自分で夢をつくりたくなりました。
少女は毎日ベットで暮らし、昼は見たい夢の本を読み、夜になるとその夢を望みました。
しかし、夢は思うとおりになりません。
お話はいつも想像を離れて、少女は振り回されました。
でも、だんだんとお話が続くようになりました。
少女は楽しくなって、自分でつくった夢の世界でくらしました。
もう、現実より夢の世界にいることが多くなっていました。
少女は生活を忘れ、体は今にも折れそうで、肌は不健康に真っ白でした。
髪も整えず伸びっぱなしの状態で浮き世離れした姿に、
現実は少女を拒みました。
少女は現実で恋をしました。
しかし現実は少女を拒みました。
少女は現実へいこうとしました。
しかし現実は少女を拒みました。
少女はとうとう追いつめられて、その夜夢を見ました。
夢の世界とのお別れをするために。
夢の中で少女は言いました。
"この世界が壊れるか、この世界で私が死ぬか"
結果は少女の負けでした。
世界で一番の魔法使いに氷らされ、
世界で一番の騎士にくしざしにされて、
それぞれの世界で一番に少女はあっけなくころされました。
既に夢は少女を離れ、世界をつくっていました。
でも、夢は少女が欲しくなりました。夢は少女を愛していました。
ただ一人しかない少女をたくさんの夢が奪い合いました。
細くしなやかな腕
丸い曲線も伸びやかな胴
白く美しい脚…
最後の頭がとくに人気で、たくさんのこわしあいがおこりました。
そして、いくつもの世界がこわれてついに、一番暗い世界が頭を閉じ込めました。
頭がゆっくりと、眠れるように。こうして少女はばらばらに、夢で眠りましたとさ。
終 わ り … ?