プロローグ
俺、佐藤 洋太(28)は今日も仕事まみれだった。
忙しすぎて親友の田中 壮介(27)ともあまり会社で喋らなくなった。
田中壮介は学生時代からよく遊んでいた大の親友だ。
忙しい日々だが今日は会社で飲み会がある。
「はぁ、面倒だな。だけど壮介も飲みに行くらしいし久々に俺も行こうかな。」
会社の飲み会は相変わらず仕事の話に上司のパワハラばっかりだった。
ただ同じことを考えたのか壮介もつらそうにしていたので隣りにいることにした。
「よう、壮介」
「なんだよ、洋太か。」
「悪いか?」
「いやぁ違うよ。上司が来たのかと思ってね。」
少し壮介の表情が明るくなったように見えた。
話すのは久々だったが変わってなくてよかった。
そんな感じで話していると、
「盛り上がってるところすまないが佐藤くん、ちょっといいかね。」
上司に呼ばれてしまった。
「はい。わかりました。…すまんまた後でな。」
「おう、また後でな。」
結局のところ壮介と再び話すことは飲み会の最後までなかった。
「壮介、久々にブラブラしながら帰ろうぜ。」
「おっいいな、そうするか。」
俺等は挨拶をして帰ることにした。
「じゃあ私達はお先に失礼します。」
「気をつけろよ。」
おっと、上司が久々に上機嫌のようだな。
そんなことはどうでもいいか。
さっさと居酒屋を出て話しながら帰るか。
「どっか行くか?」
「話しながら考えればいいだろ。」
「それもそうだな。」
店を出た俺達は喋りながら帰った。
そのせいだろう。
帰り道の途中でそれは起こった。
「洋太っっ」
壮介の声とともに大きなブレーキの音がした。
俺は話していて前を見ないでいたので、いつの間にか道路に出てしまっていたのだ。
そして、横を見たときにはもう遅かった。
トラックがすぐそこまできていたのだ。
ぶつかる!!
俺は目を閉じて動けなくなってしまった。
ドン
ぶつかった。そう思ったが
「壮介!」
俺は壮介が押してくれたおかげでトラックのまえからは逃げることができた。
そう、俺は。
その代わりに壮介がトラックの前に来てしまったのだ。
バンッ
トラックにあたった壮介が目の前で飛ばされた。
俺も壮介に押されて逃げれはしたがバランスを崩してしまった。
そして俺は不幸なことに水路の角で頭をうって意識は暗闇の中に沈んでいった。
そうして俺達の前世の人生はあっさりと幕を閉じた。