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魔法少女は恋してる  作者: 壬生ヒデヤ
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第2話 学園生活スタート

一緒に落ち合う予定だったリリスとアダムだが、その道中事件が起こる。

第2話  学園生活スタート


 朝早くから、私は慌ただしくしていた。魔法を学ぶにあたって、授業に遅れをとるわけにはいかないからである。

ちなみに学長とクラスの担任は、私が日本という過去の国、時代からやってきたことを認知している。これは、私がそう話したからだ。


学校側から秘密裏に、魔法の専門書と特殊講義を受けてもらうことになっている。それは先に述べた通り、リリスにはどうしても配慮しなければならない理由があるからだ。そして、私がこうした事情のあることは、アダムを除く他のクラスメイトには秘密事項である。アダムには最初に喋ってしまっている(『第1話 その日は突然訪れた』に記載)。


リリスは、『アッシュベリー家』に住んでいて、もちろん『アッシュベリー』が姓である。この国に父と母を持っている。しかし、当の本人である私にはそれまでの記憶が存在しないのである。そのことをまだ、両親には話していない。いずれ説得力を上げるためにも学校側を絡んで、説明するつもりである。


話は戻るが、幸いにも学校が始まったばかりで、まだ4月(日本と同じく4月入学、3月卒業制度)である。それゆえに、クラブ活動や委員会、生徒会(風紀委員も含む)などをこれから決める段階である。1話にもある通り、授業は始まっている。


私は1年生でアダムと同じ『魔法戦闘科1年S組』のクラスメイトである。コースは他に、『魔法研究科』、『魔道具開発科』、『魔法医療科』、などがある。


放課後、リリスが飲み物を買いに行っているとアダムが誰かと話しているところに遭遇した。その相手は、凛とした雰囲気の漂う背の高い女子生徒であった。様子を伺っていると、その女子生徒が気がついたようで私に話しかけてきた。

「ずっと見てきているようだけど、何かようですか?」

「すみません、何話しているんだろうと思いまして、、、」

「おっ! リリスじゃないか! どうかしたのか?」

「アダム、そちらの方は...?」

「私か? 私は、生徒会会長のエリー・アクロイドだ。今、アダムを生徒会に勧誘していたところだ」

エリーは、成績トップで入学してきたアダムを生徒会として、是非とも戦力に欲しかった。そしてアダムは生徒会に入れることを嬉しく思っていた。

「あ、、そうですか」

「なんだ、リリス。羨ましいのか?」

アダムがいつも通り、私を揶揄った。無論、それを言われて悔しがった。

「誰があんたと一緒に働きたいもんですか!?」

私は精一杯反論をしたが、アダムには痛くも痒くもない様子だ。私は悔しくて顔を少し赤くしていた。

「じゃぁ、後で生徒会室へ来てくれ」

エリーはそう言って、この場を立ち去った。


「そんなに怒るなって!」

「別に怒ってなんかいませんよ!?」

「怒ってるじゃん! ほんと、お前って分かりやすくて可愛いやつだな!」

それを聞いてなおのこと、リリスは赤面した。ただこっちは、怒っているのではなくて嬉しさと恥ずかしさが混ざった紅さだった。


「そうだ! リリス、後でまた『魔法実技演習空間虚無の間』に来いよ!

また、オレ様が手取り足取り教えてやるさ」

「ふん! 行ってあげてもいいよ」

そういった私だが、内心嬉しかった。

「そう来なくっちゃ!」

アダムはいつも通りの元気な笑顔をして答えた。


放課後、アダムが生徒会での用を終えたのち、私は約束通り落ち合うために向かっていた最中に事件は起こった。突如、学校の敷地内のあちこちに現れる魔獣たちであった。誰の差金かは分からないが、私の前にも2頭の魔獣が襲いかかってきた。前方にいるのは、紫色で2足立ちの大きな獣だ。後方を塞いでいるのは、骸骨が透けて見える青い半透明の化け物であった。


紫色の獣がゴリラのように大きなその拳を拳を振るってきた。咄嗟にリリスは右腕を眉間の上ぐらいにかざし、ガードの体制に入った。その時、目の前の獣が前方へ25メートルくらい吹っ飛んだ。

リリスはその時何が起こったのか分からなかった。直後、エリーとアダムがそこにいた。エリーが25メートル先にいて、その獣をまるで磁力で引き寄せるかのようにして、一瞬のうちに私から遠ざけたのだった。

エリーは重力魔法を展開し、獣を重力で押し潰したのである。 獣の紫色の血がその場に飛び散った。リリスは呆然とそれを見ていることしかできなかった。


「そっちを頼む!」

エリーがそう叫ぶ方向を見るとアダムがいて、私の背後にいた半透明の化け物と対峙していた。アダムはアーリマンをかざし、炎でその化け物を一瞬にして焼き払った。


「おう、大丈夫だったか?」

アダムが私にそう聞いてきたので、私はたちすくみながら、こくりと頷いた。

「今、先生たちも化け物に対処している。リリスを保健室へ連れて行ってくれないか。アダム」

そうエリーに頼まれたアダムは、リリスをいわゆるお姫様抱っこで保健室へ向かった。

「ちょっと、降ろしてよ。私は大丈夫。」

「委員長の命令だ。逆らえないさ。それにお前、一歩も動けないじゃないか」

「う、、うう」

私は何も言い返せなかった。


リリスは恥ずかしがっていたが、アダムの方はというと別段、気にも留めていないようだった。

彼らが保健室前に着いた時、アダムは保健室の中から魔法が発動される波動を感じた。

「ここで待ってろ」

アダムは、リリスを床に下ろして中に入ろうとする。

けれど行こうとしたアダムの手をリリスが掴んだ。

「何か嫌なものを感じる」

「ああ、そうだろうな。ってか、お前も感じるのか?!」

「え、うん」

「なら、なおのことお前はここで待っていた方がいい」

そう言い終えたアダムは保健室へ突入した。その瞬間、ものすごい爆風が起こった。テロリストだ。自爆テロを行ったが、アダムは防御魔法壁を瞬時に展開し、それはリリスをも包み込み2人は怪我もなく済んだ。アダムはすぐに保健室内の様子を見渡し、他に巻き込まれたものがいないことを確認した。リリスは彼の背後についた。ちなみに保健室は半壊した。外部からの一定の魔法や物理攻撃には耐えられる設計になっているが、内部から起こった攻撃に関してはそこまでの設計がなされておらず、このような様になった。

「他のみんなはどこにいるんだろう?」

リリスがそう口にする。確かに先生もいない。

「とりあえず、外に出よう」

アダムとリリスはその場を後にした。


道中、保健室の先生を発見した。彼女は、魔獣退治を行なっていた。守備良い身のこなしであった。この学校の教師陣は、準1級以上の魔法師国家資格を有する者たちで構成されているため、さすがのものであった。それでもこんなに被害が及んだのは、敵の数もあるが送り込んだ首謀者は相当頭の切れる人物だったのだろう。アダムはそう考えた。



今回もご覧いただき、ありがとうございました。次回もお楽しみにしていてください。

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