第一話 秘密
「ジリリリリ・・・」目覚ましが鳴り響く。目覚ましを止め、眠い目をこすりながら、朝の支度をする。今日から、新学期が始まり、高校二年生になる。僕が通っている学校は、ごく普通の田舎の公立校だ。しかし、今年から隣町の高校と合併になり、それに伴いクラス替えがある。僕は、身支度を済ませると、新しい環境の変化に少し胸を踊らせながら学校へと向かった。
「よう、晴馬」
学校へ着くなり、僕の名前を呼ぶ大男が目に入る。
「おはよう、暁斗」
こいつは、俺の昔からの友達、「藤原暁斗」身長は高い方で、昔から野球をやってるせいか、運動神経が良く、クラスの中では目立つ方だった。それに比べて僕はというと、どちらかといえば室内を好む子供だった。しかし、小学校の頃、席が隣になったのをきっかけに、次第に仲良くなっていき、その頃からから僕は段々と明るい性格になっていった。そのおかげもあり、これまで人間関係で困ったことはない。
「なぁ、新しいクラス表見たか?」
「いや、まだ見てないけど」
「じゃあ、今から見に行こうぜ」
僕は、暁斗と一緒に掲示板に貼ってあるクラス表を見に行った。掲示板の周りには既に人だかりができていた。僕は、平均より身長が低いせいかクラス表がよく見えなかった。そんなこんなしている内に、暁斗が騒ぎ出す。
「おお、見ろよ晴馬!また俺と一緒のクラスだぜ!」
「なんだ、またかよ。」
僕は悪態をつきながら内心、ホッとしていた。すると続けて暁斗が僕の耳元で、さっきより小さめの声で話す。
「良かったな、高橋も同じクラスだぜ」
僕は、無言で暁斗の脇腹をつつく。正直、今にもニヤけてしまいそうになるほど嬉しかった。
「おはよう!今年も一緒のクラスだね!」
後ろからまた馴染みのある声が聞こえる。
「えー、またお前と同じクラスかよー」
暁斗がわざとらしく嫌な顔をして、悪態をつく。
「おはよう、奈津美」
この子の名前は、「本田奈津美」暁斗と同じ、小学校からの腐れ縁だ。奈津美とは家も隣だったこともあり、家族ぐるみの付き合いも多かった。
「何よ暁斗、あんたには言ってないわよ、私は晴馬に言ったんだから。」
「嘘だって(笑)悪い悪い、そんな怒んなって」
「ほら晴馬もなんとか言ってくれよ」
そんなくだらない会話をしているうちに始業のチャイムが鳴った。
「やべ、俺たちも早く教室に入ろうぜ。」
「もう!あんたがくだらないこと言ってるから」
僕たち三人は足早に教室へ向かった。
教室へ入ると、黒板に席順が貼ってあった。
「えーっと、俺の席は・・・」
僕は確認を終えると、自分の席へと向かった。そこで僕は気づいた。隣の席があの高橋さんだということに。暁斗の方を見ると、なかなかにムカつく顔でこちらを見ていた。僕は、静かに深呼吸をして、席へとついた。高橋さんは、僕が中学の頃からずっと片思いしている女の子だ。高橋さんは、眉目秀麗、成績優秀、人格者という、物語の登場人物のような人だ。勿論、学校では男女ともに人気で、男の子からのアピールもすごかっただろう。しかし、一度も彼女のそういった話は聞いたことはない。僕はそんな彼女に5年間も思いを寄せている。僕は、席についたあとも、しばらく緊張していた。しかし、それを悟られてはいけないと、必死に冷静を演じていた。すると、右から僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「斎藤くん・・・だよね?」
僕は不思議に思った。なぜなら、今僕の右隣の席は、あの憧れの高橋さんだから。まさかそんな高橋さんから僕に話しかけてくれるなんて。俺は、あくまで冷静を装い、声が聞こえる方へ振り返った。そして一言。
「いや誰だよ。」
放課後になり、誰も居なくなった教室で、僕と暁斗と奈津美で話していた。
「ハハハ!まさか高橋さんだと思って振り返ったら先生だったなんて(笑)」
「それにしても、いや誰だよはないだろ、先生びっくりしてたぞ(笑)」暁斗が朝のことでずっと笑っている。「しょうがないだろ、俺だって緊張してたんだよ。五年だぞ、五年。」
「もうやめなよ暁斗、晴馬が可愛そうじゃない。」
「そんなこと言ったって、お前だってあのとき笑ってたじゃねか」
「だってそれは先生の顔が面白かったから。」
「もういいよ奈津美、俺が悪いから」
「そう、分かったわ」
奈津美は、少し不満そうに返事をした。
「あ、ごめん、俺そろそろ帰んないと」
「お、じゃあ、久しぶりに3人で一緒に帰ろうぜ」
「ちょっと、暁斗」
「なんだよ奈津美、あ、今日は冬木の・・・」
「そんな気使わなくていいって、そんなの冬木も望んでないだろうし」
「それじゃ、二人ともまた明日!」
「う、うん、またね」
奈津美はぎこちない笑顔で、俺を見送った。
「そっか、冬木がなくなってからもう3年か」
「あいつら兄弟、仲良かったもんなぁ」
晴馬は一人、山奥にある墓地へと向かった。そして、沢山あるお墓の内の一つの前で立ち止まった。そのお墓には「斎藤冬木」と、彫られていた。
「遅くなってごめんな。暁斗がなかなか、帰してくれなくてさ。」
晴馬は、お墓に向かってひとり話しかける。
「相変わらず、暁斗は元気だよ。奈津美は、いつも俺たちを気にかけてくれてるし。」
「あ、そういえば、お前が好きだった高橋さんいるじゃん。今日、一緒のクラスどころか隣の席になってさ」
他にも、この一年の出来事を、色々と話した。
「ふぅ、毎日疲れるよ。分かってはいたけど、やっぱり、誰かの”フリ”をし続けるって大変だな」
「あ、俺そろそろ帰んなきゃ。じゃ、俺も色々頑張るから応援してくれよな!またな」
「”晴馬”」
どうも砂糖 黒です(^w^)
今回は、初めての投稿ということでとても緊張しています!
先程も書いたとおり、私自身、小説を書いたのは初めてで色々と至らない点があると思いますが、そこら辺は、大目に見ていただけたらなと思います。
最後になりますが、この作品は不定期更新のため、2週間に1話のときもあれば、1週間に2,3話更新されるときもあります。徐々に更新頻度を定めていく予定なので、そこのところご了承ください。
それではまた~^^