5.北村颯斗
「私の好きなもの?広く浅くって感じだけど、本当に大好きっていうのは、やっぱり動物かな」
考えるまもなく発された言葉がちょっと以外で、それでいてとてもドキッとした。
「動物って、例えば?」
「犬や猫ももちろん好きだけど、特に好きなのはペンギンと馬なんだ。今なんか寝る前はいつもペンギンの写真集とメイケイエールの写真集を観てから寝るんだ。グッスリ寝れるよ」
「ペンギンと馬……」好きな動物の組み合わせが珍しくて言葉を詰まらせる。「確かにどっちも可愛いけど、なんで」
「何でって、ペンギンも馬も可愛いけどカッコいいからだよ。ペンギンは、というか一番好きなペンギンはエンペラーペンギンなんだけど子供を育てるために滅茶歩いてエサを取りに行ったりするのがなんかドラマチックだし、馬は競馬で走ってる姿がカッコよくてさ」
金町さんはとても目をキラキラさせて言っている。ただ、意外な一面が知れて面白かった。
「じゃあもしかしてウマ娘とかしてる感じ?」
「うん、してるよ。いやー、ドットが好きでね。ゲームでも育ててるんだ」そう言って笑っていた。すると金町さんはスマホを取り出して、ウマ娘の画面を見せてきた。そこには、育てた強いウマ娘が表示されていた。
「ガチ勢だ」僕は思わず呟いた。
「そ、そうかな。まあ、それじゃあ、このノリでウマぴょいでも歌おうか」
「え、うん」僕は返答した。なんだか、金町さんは思ったよりもオタクだった。