九話 王国に着く
————————リン達は、しばし草原で休憩をとっていた。
一本だけポツリと生えている大樹が日差しを遮り陰を作り出し
心地よい風が頬を撫でる。
油断すると寝入ってしまいそうなほど快適な場所だ。
その大樹は、一体どれほどの年月を重ねているのか
想像が及ばない。
この場所は妙に神聖な空気を醸し出しており
仮に、神がでてきたとしても驚きはしないだろう。
そこまで博学でないので、この地の事はあまりよく知らない。
知っていることと言えば、この大樹で休んでいると視線を感じたり
急に吐き気を催したり、夜いくとオバケがでるなどという
胡散臭い噂話ぐらいである。
ただ、この大樹にはどこか惹かれるモノがあるので
時間があるときにでも、調べてみることにする。
あと少し歩けば王都にたどり着く予定だ。
少女達の疲労も溜まってきたところで、木の傍らで休ませることにした。
幸い、この地には魔獣はいない。
彼女達とは、だいぶ打ち解け笑顔を良く見せるようになったので
自身のコミュニケーション能力の高さを褒めてあげたい。
右隣に座って涼んでいる少女の名は、ノノン = バッティステリ 13歳
髪色は赤みがかった金色のミディアム。瞳の色は、桃色で端正な顔立ちをしている。
小柄でどこか上品さを漂わせている。
そして、左隣で肩にもたれかかって寝ている少女の名は、リリー = プラスロー14歳
髪の色は紺碧色のミディアムで カジュアル な ストレートでこちらも美少女。
目の色は紺碧色で、少しやんちゃだ。
リンの前でゴロゴロ転がっている少女の名は、ローラ = マラブレラ 12歳
髪の色は赤色のショートで カジュアル な ポニーテール。
目の色は銀色で、他の少女よりも少し身長が高くスタイルがよい美少女だ
最後になるが、救い出した時から好かれたのかやたら
艶っぽい声で甘えてくる猫耳・獣人の少女の名は、リーザ 14歳
生まれ時から親がいないらしく、祖母に育てられたがその育ての親も他界し
さ迷っていたところを盗賊に捕まったらしい。
髪の色が薄い青色のミディアム・癖毛で
目の色は、透き通るような青色で少女とは思えないくらい胸の発達が進んでいる美少女だ。
―*―*―*―*―
——————三十分ほど、歩きついに王都に到着した。
門兵に少女達と出会った経緯を話し、両親の元へ帰してもらうことになった。
少女達は、俺に手をふり「必ずお礼するから」と言い残し元の家へ戻っていった。
リーザーに関しては、身寄りがいないことから俺が引き取ることにした。
しばらくはゆっくり休んでもらい、ゆくゆくは護身の為にも
冒険者として育てるつもりだ。
その頃には、日もだいぶ傾き人通りも少なくなっている。
ギルドにいくのは、明日にし今日のとこは宿に泊まることにした。
リーザの服がかなり汚れていて、このまま宿に行くのに抵抗があったので
途中、洋服屋に立ち寄り
彼女に合う物をテキトーに見繕ってもらった。
パーティ御用達の宿は避け、別のところを探したところ
端の通りにある『楽園宿』にたどり着いた。
入口は、七色のイルミネーションが施されており
ラブホテルような少し大人の雰囲気を漂わせる四階建ての宿だった。
断っておくが、ただの宿だ。
決していかがわしい場所でない。
ちなみに、ロリコンでもないので誤解しないでいただきたい。
「あら、いらっしゃいませ~」
でてきたのは、身長が二メートルほどの筋骨隆々で黒髪長髪のオネエだった。
一瞬、冒険者ギルドの酒場かと勘違いしてしまった。
「二人・二泊で頼む。風呂にはいりたいのだがあるか?」
「は~い。お風呂ならあるわよ!!えっと、合わせて銀貨二枚ねぇ~~
大浴場は地下一階にあるから好きな時間にはいってくれて構わないわぁ~~~
お部屋まで案内させるわね!ミサちゃんよろしく」
支払いを済ませ
緑髪で、眼鏡がよく似合う秘書っぽい女性に三階の角部屋を案内された。
エレベーターはもちろんないので、階段で上がる。
部屋の中は、貴族部屋のように豪華ではないが
清潔感がある綺麗な部屋だった。
扉を背にして、左手には、クローゼットがあり、右手にはトイレがある。
奥に進むと左側にベットがあり、右側にテーブルとイス二つが備え付けられている。
前に、宿泊していた宿よりも広すぎず狭すぎずといった具合で
なんだかひどく落ち着く。
何日もダンジョンに籠っていたからだろうか・・・・
————身体が少しべたついていたので、大浴場に向かうことにした。
男湯と女湯でわかれており
リーザに身体を洗ってあげようと提案したら
顔を赤くして怒られたため、仕方なく別々に入浴することになった。
二十分ほど湯につかり、ほどよく筋肉がほぐれたのを感じたので出る。
お互いさっぱりしたところで
先ほど受付をした場所に食事処があったのでそこで食事をすることにした。
木製のテーブルと横に伸びた長椅子が六つほど設置されており
宿泊者たちが麦酒を片手に陽気に話している。
一席だけ空いていたので、そこに腰をおろす。
好きなものを食べるようにリーザに言うと
目を輝かせてメニュー表を見ている。
「っえ、リ、リン?」
背中越しに名前を呼ばれたので振り返ると
そこに、ソフィアがいた。