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第二の人生は好き勝手やらせていただきます  作者: 秀作殿
一章 覚醒編
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八話 道中


——馬車のカーテンの隙間を覗くと、四つの鉄の檻があった。


大人でも、丸まれば寝れるくらいのスペースで、ところどころ錆びている

箇所があるため、魔法さえ使えるのなら

逃げ出せるかもしれない。ただ、逃亡を防止するために

あらかじめ魔力を封じる手枷をはめるのが奴隷商人の常識である。

希少な種族や綺麗な女性、特に、バージンは高値で取引されるため

その分警備も厳重になるものだが、目の前の女性たちの乱雑な扱いをみると

価値が低いと判断されているのだろう。

それでも買い手はいくらでもいるので売るに越したことはないといった感じだ。



中には、あまり生気を感じられない女性が閉じ込められており、もとは白かったであろう

服が埃などの汚れで所々黒くなっている。


奴隷・・・・奴隷商人か・・・・


「あの、助けていただきありがとうございやす」


黒いローブを羽織っていて左腕がない、歯が何本かなく顔の骨格が

多少右寄りに傾いている中年の男だった。


もちろんこの男を助けるために動いたのではなく

そこにいる奴隷たちを解放するためなのだが。


「その奴隷たち、おれが買おう」

「えっ、でも、それは・・・・」

「なんだ、ダメなのか?せっかく助けてあげたのにな~~」


俺は、わざとらしく頭を掻いて残念そうな表情を作る。

断られたら力づくで奴隷を奪うつもりだが、交渉で済むならそれに越したことはない

しばらく間をおいてから男は折れた。


「わっかりました・・・・旦那が助けに来なかったら死んでましたんで正金貨一枚で手を打ちましょ  う・・・これでもかなり安くしましたぜ?」


男は、手をこすりながら気持ち悪い笑みを浮かべている。



———————意外と安く買えたので内心ホッとする。


「ほらよ。それにしても『魔物除け』もってなかったのか?」

「へへへ・・たしかに。それが、ちょうど効果が切れてしまいやして・・

 ケチって新しいの買わないアッしが悪いんですがね・・・・」


なるほど。

こういった話はよくある。通常『魔物除け』の効果は2~3日間続くが

値段がそこそこするために、こういった者が多数いる。

しかし、アレなしでここを通ろうとするのはあまりに無謀だ。



護衛もつけないなんて、何考えてんだか・・・・


あまりの、計画性のなさに少々あきれてたが

リンには関係ないことなので黙っていた。


「そういえば、隷属魔法と手枷は解除できるか?後のことは自分でやる。

 あまりここに留まるとまた襲われる可能性があるからな。ちゃちゃっと済ますのが得策だろ」

「っはい、今すぐやりますんで・・・・」


『隷属魔法』は、かなり縛りの強い魔法だ。そのため、隷属させるのにそれなりの魔力がいる。

腕の立つ魔術師なら余裕だろう。なので、奴隷商会に数人は熟練の専属魔術師が必ずいる。

通常の商人では、「隷属魔法」は解除することは不可能である。そのため、あらかじめ商人側に錠を外すための解除魔法を仕込んだ札を渡しているのが定石だ。



テイマーも基本的には『隷属魔法』を使う。

———————ただ、俺の場合は『契約魔法』を用いる。


『契約魔法』は、『隷属魔法』と違い、予め、誓約を提示した上で契約をする。

つまり、『隷属魔法』よりは、向こう側の自由が保障される。

その分、潜在能力を最大限にまで引き出すことが可能になり

契約獣たちは本領を発揮できるというわけだ。


言うまでもないが、格上の相手には通用しない。



************



———————隷属魔法と拘束具を外してもらい男は去っていった。


獣人が一人と人間が三人・みな少女か・・・みると相当怯えているようだ。

おまけに、コホッコホと咳をしており状態があまりよろしくない。

病気もちは、いくら顔が良くても高く売れない。

簡単な話、感染リスクもあるし、すぐ死んでしまいもったいないからだ。


「俺は、今から王都に向かう。お前らも一緒にこい、もちろん危害を絶対に加えないと誓う。

 そこでお前たちを解放してやる——そこからは、好きにしてくれて構わない

 それと、ちょっとこっちにきてもらえるか?」


その言葉を聞いて少し安心したのか、警戒しながらもリンの元へやってくる。


すぐに『鑑定眼』を発動し、少女たちの状態異常をみる。


—————『毒草 ママロ』による状態異常


ヘロインのような一種の薬物草による症状と分かった。

この上ない多幸感が味わえるというが、副作用は酷いもので

肉体面における依存、いわゆる禁断症状としては、身体中の関節に走る激痛、死ぬまで止まる事ない咳、身体中に湧き上がる強烈な不快感と倦怠感を感じるようになる。



「ッチ。あのクズどもが・・・・」


ちょうど、邪竜を倒した時に習得した魔法を思い出し少女たちで試してみる事にした。

上手くいく自信はあまりなかったが、やらないよりはマシだろう。


<闇魔法 邪竜の悪食(ルブスエルファ)


手を少女の頭にのせると、紫色のオーラーが

自身の手に吸い込まれるように消えていった。


「ど、どうだ?」

「すっごいー!お兄ちゃんなにしたの??治っちゃったーーーー」


少女はピョンピョン跳ね回り、健康的に走り回れる事を歓喜しているようだった。

他の子達も同様に状態異常を解いてあげることができた。


「おにィちゃんありがとーーー」

「ありがとうなのーーーー」

「神様みたい」

「やったーーーーー」


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