四話 邪竜②
————ラムとゾフィ視点
彼らは、30階層まで戻ってきていた。この短時間でここまで
これたのは、魔物の数が来た時よりも少ないからであった。
「ハァハァ・・・どうやらうまく逃げれたようだな。アイツには悪いが勇者のオレの為だ——仕方ねぇよな。いくらオレ様でも、あんなの無理だ・・倒せるわけがねぇ・・」
「えぇ、うまく囮になってくれて助かったわ。おかげで、ここまでこれたもの・・・・・・はやく帰ってオイシイお酒飲みたいわ~」
二人は、リンが犠牲になってくれたことを喜んだ。
彼らにとって、使えないメンバーはただの捨て駒・・・・
むしろ、囮にしてあげた事を感謝して欲しいとさえ本気で思っていた。
ゾフィは、リンに嫉妬していた。最初の頃は、皆仲良くやっていたがレベルが上がるにつれて段々ともめごとが多くなった。
それは、ゾフィがリンによく突っかかるからである。
自分よりもレベルが高いうえに、器用に色々こなしてしまう。おまけに
偉そうに注意をよくしてくるので鬱陶しかった。
それと、自分より女にもてる凛が許せなかった。
特に、ソフィアは容姿端麗の女性だった——モノのしたいとずっと思っていた。
しかし、彼女はリンに好意を抱いていた。勇者の自分を差しおいて・・・・
「ソフィアもバカだぜ!!さっさと見捨てて逃げればいいのによぉ」
もし生きてたら、無理矢理、性奴隷にでもしてやるか・・・・
クッククク・・あのからだ・・毎晩抱きまくって孕ませてやる。
「さて、ギルドに帰って報告しなきゃな。リンは邪竜から俺らを逃がすために死んだってよ!!!ソフィアの奴が報告しないとも限んねーからな。捕まえて薬漬けにでもするかっ・・ハッハッハ」
「あんた最低ねー。でも、ソフィアにさっきのことを報告されたら面倒だし賛成よ
————そんなことより、あたしのことも帰ったらたっぷり抱きなさいよ」
ラムは、ゾフィに胸をおしつけ身体クネクネと動かす。
パーティーを組んだ時から彼女は、勇者に対しては異常なまでの好意を寄せていたが
テイマーの凛を酷く目の敵にしていた。何故、そこまで毛嫌いする理由は分からないままである。
「あったりめーだ!!あーーームラムラするぜ・・・・よし、そろそろいくか」
————————ソフィア視点
ズルズルと垂れてくる鼻水をすすりながら
ダンジョンの上層部を目指し駆け上がっていた。度重なる緊張でかなり疲弊していたため
足が鉛のように重く感じる。
一心不乱に進んでいると
途中————聞き覚えのある声がきこえ
走るのをすぐにやめた——忍び足で近くの壁まで近づき顔を半分程だし様子をうかがった。
それは、ラムとゾフィだった。
しばらくみていると
信じられない会話が耳に入った。
なんと、彼らはリンを見捨てたことを喜び
自分のことも始末しようとしていたのだ。
ソフィアは、怒りで頭がおかしくなりそうだった。
今にも爆発しそうな感情をなんとか堪え深呼吸をし落ち着く。
よくも、リンを・・・・・
私たちのために無茶な行動をしたのに・・・・許せない。
しかし、相手は腐っても勇者・・・・ここで感情のまま行動しても今の私じゃ勝ち目はない。
捕まってやられるのがオチだわ。
今は、ひとまずあいつらをやり過ごすのが先決・・・・・・
そうして彼女は、静かに進んだのである・