第22話 襲われてる!?/襲う!
※数時間後
私達は十分話し合った後、すぐに外に出て行かなかった。何故なら、最後の部屋には左右にも部屋があったからだ。気になって調べてみたら、驚くべき発見があった。
右の部屋には、人が住んでいた跡があった。平らな石造りの床に、いろんな家具が置いてあり、書類や本が並べられた本棚がある。ここは、初代様の家か隠れ家だったのかな? 疑問に思った私達は本棚の書類や本を調べてみて、ものすごい発見をしてしまった。
「ゼクト、これ日記みたいだけど、どうやらここって初代様たちのアジトだったみたい」
「ここが? わざわざダンジョンの奥に隠れ家を作ったのか?」
「順序が逆。隠れ家をそのままダンジョンの最後の部屋にしたのよ」
「あ~あ、なるほど~。流用ってやつか。ん? それじゃ、この地図はなんだろ?」
ゼクトの見ていたのは地図。何やら目印が書いてある。目印の数は九つ……九つ!? もしかして!?
「それってもしかして、初代様のダンジョンの位置を示してるんじゃないの!?」
「え!? まじで!? そういや、この場所と地図の目印の位置が一致してる!」
「だとしたら間違いないわ! この目印を目指せば初代様のダンジョンに行けるわ!」
「やったぜ! もう手掛かりが手に入った! ……こんなとこにもあんのかよ」
「あれ? どうかしたの?」
「いや、何でもない。他に何があるのか探そうぜ」
この後見つけたのは過去の世界の魔法や技術についての書物! しかも、超禁術シリーズの原点に繋がる魔法の試行錯誤の記録まで! ああ、もう! ここは宝の山だわ!
「すごい! すごすぎる! ここは知識の宝が詰まってるわ! 生きててよかった~!」
「……ヤバいもん見た気がする、けどな……ところで、左の部屋は何があるんだ?」
「そうね~、もう疲れちゃったけど、左も見てみる? 危険は感じないし」
「……危険がないなら見てみようぜ。その後で寝よう」
左の部屋は別の意味で驚かされてしまった。そこで私達が見たものは……
「お、お、温泉だー!」
「温泉? 温泉……! これが!?」
ゼクトは興奮して『温泉』だと言って、私も後から気づいた。そう、温泉が湧いていたのだ! 私は初めて見るから分からなかったけど、これが温泉か! 気持ちよさそう!
「奇跡だ! ここで温泉があるなんてよ! 疲れた日に温泉に入れるなんて最高じゃねえか!」
「入るのゼクト?」
「あったりまえだろ! やすむのにうってつけだ、使わない手はない!」
「っ! そうね! 入りましょう!」
ゼクトは疲れた体を癒すために温泉に入るが、私は全く別の狙いで入ることにした。ここには私たち二人しかいない。そこに温泉があり、寝所がある。……ということで!
「「初代魔王様、使わせていただきます!」」
※…………
ゼクトが先に温泉に入ることになったが、私はそんなことは納得しない。ゼクトが温泉に入っている間に私も服を脱ぐ。そして、
「ゼクトー、湯加減はどおー?」
「ん? おお、ちょうどいいぞー。てか、最高だぞー」
「そう、良かった。それじゃあ、私も今から入るわねー」
「おう! 分かっ……え?」
ためらいなく、左の部屋の温泉を目指す。
ガタンッ
温泉に肩まで浸かっているゼクトの姿がある。後頭部だけど。
「本当に湯加減はよさそうね!」
「っ!?」
ゼクトが勢いよく、こちらを振り返った。すると……
「きっ、きぃいいやぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
かわいらしい悲鳴が響きだした。
「もう! どうしてそんな悲鳴を上げるのよ! 驚きすぎでしょ?」
「ミミミミミミ、ミエダっ!? お、おまっ、なんで!?」
「一緒に入りたいんだけど?」
「だっ、だけど、何で、はっ、裸!? タオルは!?」
「汚いタオルなんて拭くのは仕方ないけど体に巻きたくないんだけど?」
「ええー!?」
普通なら巻くんだろうけどそんな気になれない。ゼクトと繋がるのに邪魔だから。
「そう照れることないでしょ。こういうのはこれから慣れていかないと大変でしょ」
「ミ、ミエダ!? それで……」
「ついでに寝るときも一緒のベッドよ。異論は認めません。私達はコンビ、パートナーなんでしょ『アニキ』」
「っ!」
外に出る前に『アニキ』って呼んじゃった。外に出てからと決めてたのに。でも、そんなことはいいか。私はこれから、ゼクトを襲うんだから。
「ねえゼクト」
「はい!」
「もっと私を見てよ」
「はい!?」
「私はゼクトのものなんだからさぁ」
「は、は、は……?」
私は湯船から立ち上がり、ゼクトの目の前に移動した。ゼクトの姿は、結構鍛えられていて所々に小さな傷がある。私に出会う前のものと出会った後(怪人戦後)のものだろう。逞しく見えて惚れ惚れする。私の理性がもう持ちそうにない!
「ゼクト……もう我慢できない!」
「ミ、ミエ……!」
我慢できなくなった私は思いっきり抱き着いた! 若くして鍛えられた体の感触が直に感じる。硬く、それでいて人のぬくもりを感じる。胸が熱くなる。下のほうも……。
うまく考えがまとまらない私は、そのままゼクトの顔を引き寄せ口づけを交わす。
そして、頭の中で何かが外れる音がした。
※…………
この後、私は『女』になった。




