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第10話 腹の音?/お腹すいた……

「「うわあああああああああああああああああああああああ!!」」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

「「「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」」」


 ……何なんだろう、あの『ドラゴン』は? ……何で、ドラゴンのくせに……群れて走ってくるのよ!? しかも翼が生えてないし、すごく小型だからなのか早く走ってくるし、何なのよ!? ゼクトにもでっかいトカゲって言われてるし! ……いや、確かにトカゲに見えなくもないわね。


 私の知ってるドラゴンは、数少ない上級の魔物で高い知能を持つものが多い。翼で空を飛び、鋭い爪と牙と角を持ち、住む場所によって様々なドラゴンブレスを吐く。縄張り意識が高く、群れることは滅多にない。


 だけど、今私達を追いかけてるドラゴンは群れを成している。姿に関しても奇妙。翼と角が無く、大人の人間の5倍程度の大きさしかないくらい小型だ。しかも、ドラゴンブレスを吐く様子もない。どういうこと? 生態系の変化がここまで変えたのかしら?


 私が封印された場所から下の階に進み続けてから、10階層のところまで来たら目の前に森が広がった。非常に広い森で辺りは外の森と見間違うほどの景色だった。ゼクトと私は、思わず呆然としてしまったんだけど、そのすきを突かれて変なドラゴンに追われる羽目になってしまった。……ずる賢い知能ね。


「くそお! いきなり魔物の大群が相手かよ! ふざけやがって!」

「と、とにかく! あいつらを倒さないと! ゼクト、走りながら魔法を打てる!?」

「できる! そういう訓練もしたからな!」

「なら一緒にやりましょう! わが怒りは火に変わり敵を打つ! 憎悪魔法・ファイヤーシューティング!」

「チェイサースラッシュ !」

ボオオオオオオオ!! ザクッ! ザクッ! ザクッ!

「「「グ!? グルアアアアアアアアアアアア!?」」」


 憎悪魔法・ファイヤーシューティングは、指定した相手に当たるまで追い回す火の玉を出す。速度も速い。そんな私の魔法は見事に変なドラゴンを焼いて倒す。さらに、ゼクトの魔法も奴らを切り刻んでいく。少し残酷だけどね。


「「「ギッギエエエエエエエエエエエエエエエ!!」」」ッ

「やった! 半分くらい倒れたぞ!」

「この調子ね! さあ! あと一押し……あれ?」

「え? あいつら逃げていく?」

「「「ギエエエエエエエエエエエエエエエエエエエン!!」」」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


 仲間が倒されたのに、恐れをなしていく様子を見ると、ゼクトの言った通り大きなトカゲにしか見えないわね……。それにしても、お腹すいてきたわね。封印から解放されたおかげでこんな感覚を久しぶりに感じたわ。でも、のんきにしていられないわ。遂に本格的な戦いが始まったんだから。


「ふう、いきなり出てきた割には、案外、楽に倒せたな」

「ええ。あの様子ならもうかかってこないでしょうね」

「にしても、まさかこんな森が出てくるとはなあ。ここからやっと本格的な戦いを強いられるんだろうな」

「ええ。だから気を引き締めていかないと……」


キュウ~


 ……一瞬何が起こったか分からなかった。何なの? 何で私のお腹から変なことが出るの? 気付いた時にはもう遅い!!


「……あ、あの~、さっき気を引き締めないとって言ったのは……」

「こっ、これは仕方のないことよ!! もう、何時間もダンジョンの中にいるんだから!! ゼクトだってお腹すいてるでしょ!! そうでしょ!! そういってよ!!」


 いっ! 嫌ー!! こ、こんな恥ずかしいことってあるの!? 私が言おうとしたことを私自身が有耶無耶にしちゃった!! しかも、お腹の音で!! やだやだやだやだ!! どうにかして誤魔化さないと……! 


「ま、まあ、確かに言われてみれば、俺もなんか食いたい気分になったな……」

「そ、そうでしょ! あ、そうだ! さっき倒したドラゴンを調理して食べましょう! 休憩を兼ねて食事よ! さあ、行くわよ!」

「え? あ、おいちょっと! 待ってくれよ! そんなに急がなくても……」


 そりゃ急ぐわよ! すぐにでも話題を変えたいし、本当に食べたいんだもの!

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