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電脳大乱記  作者: 水室二人
5/6

スバルさんの配信

 この世界は飢えていた。

 日々進化する技術。

 迫力のある映像?

 本物そっくりの世界?

 未知の体験と言ううたい文句を繰り返し、消えて言った数々の作品たち。

 五感を感じるフルダイブゲームが発展し、電脳世界は一つの巨大な産業となった。

 世界中に情報が広がり、新しい何かを探している。

 eオリンピックが認められ、世界一を決める色々な競技が産まれた。

 ブレードと言う、スケートの様な物を使った色々な競技が誕生した。

 色々な要素があって、人気のジャンルを確立した。

 その日本代表に、スバルと言う女性がいた。


 火星大乱のクローズβに、運よく参加できた彼女は、このゲームが自分にあっていると実感した、

 ブレードを取り入れたゲームは、数多く存在する。その中でも、これは違った。これで遊んだ後で、ブレードの動くが飛躍的に伸びたのだった。

 先日の、日本選手権では、個人戦で総合優勝を勝ち取れた。

 チーム戦では、他のこのとの連携ミスで優勝は逃したが、良い結果を残せた。

 だから、今の彼女は有頂天だった。

 日本選手権で、大金をゲットできたのも大きい。eスポーツの世界は、何かをお金が絡んでいる。

 人をやる気にさせる物、それは欲望。

 きれいごとは言わない。欲望に正直になれと、フルダイブ技術を作り上げた集団は、最初から利権に大きく絡んでいた。

 賛否両論あったけど、それが受け入れられる社会になっている。

 

 こんな時に、色々となぞに包まれている新作ゲームの配信を、スバルが開始すると公式サイトで発表があった。

 オープンβが始まった初日、動画の配信を始めた人はそれなりに存在していた。

 ゲームの雰囲気は、それより前に色々と情報が出ているので、今更と言う内容のが多かった。

 プロゲーマーも何人か参加していたが、彼らはまだ配信をしていない。一度撮影したのを,加工してから配信する予定だったので、出遅れた形になる。

 

「この場所では、はじめましてのスバルです!」

 時間になり、配信が始まる。簡単な挨拶からの放送だが、視聴者数が、恐ろしい事になっていた。

 リアルタイムで、100万人を超えいた。スバル本人の人気もあるが、新しい大乱シリーズとあって、世界中が注目していた証拠だった。

「流石、大乱シリーズの新作ですよね。私も気合が入ります」

 内心、かなり焦っていたけど、鋼の心臓の持ち主なので、表面上は冷静だった。

「今回は、即席チームでの戦闘です。この子達が、今回のメンバーです」

 配信を見ていた人たちは、そのメンバーを見て驚く。

 スバルは知らなかったけど、3人とも有名人だった。

 J2である、リング・リング・リング。ゲーム内ではミツワ。

 生体コンピュータを、3つ繋げて存在する電脳世界の住人。男の子か、女の子なのか、一部では熱く論議されている。脳科学研究所の所属で、電脳戦国大乱の、プロ部門での日本記録所持者。

 J2は、ゲームの参加に関して色々と制限がある存在だった。長時間接続できれば有利になるVRMMO系では、上限時間を決められている。人権は認められるけど、色々と制限を受けた存在だ。

 なので、色々なゲームを渡り歩くJ2も存在している。

 宣伝や、色々とテストに協力する存在として、J2は有名だった。


 銀色の神の少女が画面に映った瞬間、視聴者の半数近くが歓喜した。

 のうけん所属の、フルーツ姉妹の末っ子。噂で、プロデビューが近いとあったので、ここにいると言う事は、デビューすると言う事かもと言う期待があった。

 幼い系の、可愛い子で、電脳戦国大乱の、アマ部門で活躍したほか、大人気パズルゲーム、ミリオンパズルの世界大会の記録所持者でもある。


 最後の1人、画面の端っこに少しだけ移った存在。スバルが意識していないので、画面に出る場面は少ない。

 黒っぽい、地味な感じの少年。目つきが、やや悪いので有名な、ムラサメだった。

 電脳戦国大乱の、アマ部門の世界一位のプレイヤーで、新参試合でプロに勝利した男。

 こっちも、プロに進むと予想されていたので、ここにいるのは偶然ではないと、見ている人は思ったのだった。


 視聴者の気持ちを知らずに、スバルの配信は続いていく。


「それではミッションを開始します」


 システムの声が、戦場に響く。

 スバルは、特に作戦を立てずに、出てきた敵を倒す事にした。

 ミツワには、側面から援護してとお願いして、残りの二人は自由に動いてくれればいいと伝えた。

 私の邪魔をしない事と言う条件をつけて。


「流石、チュートリアルだけあって、一撃で倒せるわ!」

 スバルの武器は刀。クローズ時代に開発した特殊武器だった。

 ビーム兵器ではないので、EQの消費は無い。耐久度があり、使い方次第では壊れる武器。

 それを、上手く使いながら、群がる蟻を、斬り捌く。

 ブレードの速度を上手く利用して、滑り込むように移動して、回りながら斬りかかる。

 常に移動して、留まらず、駆け抜ける。

 1人で突っ込むので、やがて大軍の中に取り残される。

 側面を、ミツワがガドリングの火力で削ってはいるけど、突撃しすぎて、周りを囲まれてしまう。

「これくらい、大丈夫!」

 敵に囲まれても、スバルは余裕だった。

「これぞ。燕返し!!」

 そう言いながら、ブレードのシステムを開放する。空中移動が可能になり、角度をつけて、飛び上がる。

「一つ!」

 Uの字に、空を駆け抜けながら、敵をかわす。

「3回転!!」

 そのまま、勢い良く回り続ける。刀には、EQを使う事で特殊な攻撃が出来る仕組みがある。

 刀身が伸びて、光の刃が産まれる。

「大回転!!」

 くるくると、上昇してから、燕のように地面すれすれを飛びながら、回り続けて敵を斬る。

 周辺の蟻は、次々と討ち取られ、数を減らしていく。


「ステージ2に進みます」


 戦場に響くシステムの声。

 調子よく敵を撃破しているので、難易度が変化した。

 ここまでのスコアは、スバルがトップだった。

 次がミツワで、スイカ、ムラサメの順番。

 特殊工作兵のスイカは、基本動けないので、ミツワが守る形になっている。

 ムラサメは、何か考えがるようで、攻撃に参加していない。ブレードを使うために、移動を繰り返しているだけだった。


「これなら、もう一回!」

 敵の動きに、大した変化は無いと判断したスバルは、同じような戦いをしていた。

 同じように突撃して、大技で敵の数を減らす。

 ここまでは、先程と同じだったけど、同じではなかった。

 最初はしとめられた敵が、半分くらい残っていた。敵の耐久度に変化は無い。

 これは、最初の敵のデータを、次の蟻が共有した結果。オープンβ最大の変化は、敵のAIの変化。

 これは、公式の情報ではないので、普通の人派知らない。

 その結果、攻撃を交避けたり、防いだ蟻がいた。

 その蟻たちが、一斉に酸を跳ばす。

 大技の後で、動きを止めてしまったスバルには、それをよける事は出来ない。

(失敗した)

 折角の配信で、情けない姿を見せる事になるとは、残念だ。

 視聴者の数が、なぜか500万と言う恐ろしい数字になっていた。

 これだけあれば、いくらか広告料が入るから、自棄酒をしよう。たまには、そんな日がある。

 そんな事を彼女か考えた次の瞬間、光が駆け抜けた。

 自分の正面から、巨大な光が迫ってきて、すぐ横をすり抜けた。

 その部分だけ、敵はすっぽりと消えていた。

 良く見れば、正面に、ムラサメという少年がいる。


「ちょっと、私を殺す気なの!!」


 助けられたと言うのは解るけど、そういわずにいられない。

 このゲーム、味方の攻撃は当たり判定がある。今の攻撃は、スバルのすれすれを通っている。

 その射線は絶妙で、スバルに当たる酸を見事に打ち落としている。巻き込んで敵の数も、大量だ。


「あれだけ、離れていたのに、苦情ですか?」


 だけど、彼はそんな事を言う。

 ふざけた事を言うと思ったけど、彼女が驚くのはこれからだった。


 距離零の悪魔。

 これが彼の二つ名。

 その事を、スバルはまだ知らなかった。



 まったりペースでの更新です。

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