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ドジな天使

作者: Ken Ohnaka

ドジな天使は存在する。

誰かって?なにを隠そう僕のことさ…!

昨日もとんでもないドジを踏んでしまった。


天使にキスされたら恋に落ちるって聞いたことあるよね?

初恋の男の子が大好きな彼女に恋心を打ち明けられずに思い悩む日々を過ごしていたのを見た僕は、彼女にキスをして彼の初恋を成立させようと思った…。


彼女から天使の僕は見ることができないのだが、僕には彼女がよく見えている。問題はキスのタイミング、彼女が少しでも彼のことを考えた瞬間がベストタイミングだ!


先輩天使からも、そのように教わってきたから。僕にとって初めてのキスなのでミステイクは許されない…!


天使の僕はずっと彼女の左肩に寄り添って、そのタイミングを見計らう。と、その時!彼の左肩にマヌケな悪魔が寄り添ってキスしようとしていた…!?


「オイオイ!ちょっと待ってくれ!」


マヌケな悪魔はこちらに振り返ると、ニヤリと意味深なスマイルを送ってきた。


「お前の初恋キスを邪魔してやろう!」


「なんて奴だ…!」


マヌケな悪魔は彼の左頬にディープなキスをかました。

焦った僕は何も考えず彼女の左頬に軽くキスをしてしまった。

彼女は彼のことなど全く考えておらず、彼もまた彼女のことなどこれぽっちも考えていなかった。


数年後…。

彼は同い年の少年と公園のベンチで指を絡めて見つめ合っていた。そして彼女には年上の女性が寄り添い手を繋ぎ歩いていた。


ドジな天使と…!

マヌケな悪魔のせいで…!


時は流れて…!

ドジな天使は公園のベンチで指を絡めて見つめ合っている少年二人と、手を繋いで歩く二人の女性を眺めて深いため息をついた。


「あ~あ、マヌケな悪魔のせいで二人の人生を狂わせてしまったよな…」


同じ頃。

公園の大きな檜の上でリンゴを噛じりながら、

その光景を見ていたマヌケな悪魔。


「ふふふのふ…!これからあの二組がどうなって行くのか楽しみや!」


数年後…!

少年二人は新宿2丁目のゲイバーで超売れっ子になっていた。

ちなみに二人のコンビ名は、ドジな天使達である。


彼女と年上の女性は、ドジな天使達が働くゲイバーにほぼ毎日通う常連客となっていた。ちなみに彼女と年上女性は、毎年幕張メッセで開催されるコスプレイベントで悪魔コスプレが大ウケして、日本のみならず海外でも超人気コンビでもある。そう!二人のコンビ名はマヌケ悪魔達である。


ドジな天使と…!

マヌケな悪魔のせいで…!

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