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作者:

 朝。それは目覚めの時間。ぱっと目を覚まし、時計を見ると、驚愕した。

 時刻は10時15分。約束の時間を1時間以上も過ぎていたのだ。

 慌てて起きたせいで、二段ベッドの天井に頭を打ったが泣くもんかと痛みと涙を必死に堪えながら着替えをし始めた。

 一階へ降りると自分の慌てように母は呆れながらも朝ご飯を用意してくれた。せっかく用意してくれた食事を無駄にはできないので、半ばお茶で流し込むようにご飯をものの数秒で平らげた。その際、熱々のお茶と、またまた熱々のみそ汁に口内を焼かれてしまったが、家を出る前に水を口に含むことで痛みを少し和らげた。


 外に出て、地面と同じ白い息を吐きながら目的の場所へ走る。普段は感じない少しの坂も、足場の悪さも相まって、ひどく疲れてしまう。はやる気持ちを抑えきれず、何度も足を取られながら走り続け、全力疾走の甲斐あって5分ほどで約束の場所にたどり着いた。

あきら!」


 空地の真ん中で、仰向けに倒れていたのは友人の1人、明だった。一瞬首をもたげた明はこちらを見てまた天を仰いだ。


「けっ。おせぇんだよ…」

 明の傍により顔を覗き込むと、笑っていた。

「ごめん…。太陽は?」

「少し前に見たときは、追われてたな。そんときに啓人が1人やっつけた。オレも1人相打ちにした」


 太陽は足が速くて体系が小柄なため隠れるのも上手いから、きっと生き残っているだろう。啓人は頭が良いが、運動は得意ではなかった。サポートタイプのあいつがバレてしまったら、きっとすぐに捕まってしまうだろう。


「これをもってけ。自信作だ」

 明が差し出したのは、ガチャガチャのカプセルの半分が四つ繋がっているベルトだった。それは彼が戦いのときにいつも使っているモノと同じに見えるが、彼の半分埋まった腰には同じものが付いていた。

 きっと、気付かれていたのだろう。いつも羨ましげな視線を向けていたのを。喜びに踊る胸を抑えながら、自分の腰に巻き付けてみる。基本は普通のベルトだからフィットするのは当たり前なのだが、なんだか内側から力がみなぎってくるような気がした。


「似合ってるぜ、相棒。あとは、頼んだ」

「おう!」


 かき集め、固めた玉をカプセルの中に入れ、こぼれないように蓋もしっかりと付ける。

 そして、オレは明を残して敵と味方を探しに行くのだった。




 とある雪の日の話。雪合戦だって、子供にとっては戦なのだ。


 



 

 

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