ルークの決断
「来年は、いよいよルークも16になりますね。」
食卓にシスターアビーの声が響く。
「そうだね」
俺、ルーク・エンフィールドはアビーの言葉よりも目の前に広がる豪華な食事に気を取られていた。
「ところで、ルークには何かやりたい事とか、なりたいものはあるのですか?」
うわぁ、うまそう、早く食べたい。
「ルーク?聞いているの?」
その言葉にハッとして、
「え?あぁ、うん。 やりたいことなら勿論あるよ。」
「まぁ、何かしら?」
うぅ、まだかな?早く食べたいんだけど
そう思っていた矢先に、神父アドルフが声をかけた
「アビー、その続きは食事の後にしよう。ルークが腹を空かせて、うずうずしている。」
「そうですね、分かりました。食事にしましょう」
グッジョブ!アドルフさん
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「それで?やりたいことってなんですか?ルーク」
「えーっとね、俺サンタになりたいんだ」
「そうですか、サンタにな…って、え?!サンタってあの?」
「そうだよ」
「考え直した方がいいですよ!危険だわ」
アビーが狼狽えるのも無理はない
サンタというのは、クリスマスの前夜に子供にプレゼントを届けるわけだが、それはあくまで仕事の一部。
凶悪な犯罪者や悪魔、吸血鬼といった有害な奴等を退治する役目も負っているのだ
「神父も何か言って下さい!」
アドルフじじいは、俺を見据えて言った
「そうか、サンタか…死ぬなよ、ルーク」
「うん!」」
「いや、そうじゃなくて!…はぁ、分かりました。でも、サンタを目指すということは、ニコラス学園に?」
「もちろん!」
「試験は、確か面接だけでしたよね?」
「らしいね」
「で、試験ていつでしたっけ?」
「明日」
「はい?なんで、もっと早く言わないんですか!そんなんで大丈夫なんですか、準備とか」
「持ち物は、特にないみたい…ただ、場所が遠くて」
「それなら、あの石を使えば、いいだろう。」
石?なんの話だ⁇
「あ!もしかして、移動石のことですか?」
「移動石?それってなに?
「移動石というのは、文字通り、遠くへ移動するものです。ただ、一回の使用で使えなくなるので、あまり
使われないんですよ」
「なんで?便利なのに」
「一つ、5万ルーフスするんです。」
「ご、5万!?そんなの使っても大丈夫なの?」
「使い道もないし、5年経つと効力が切れるんです」
「そうなんだ、ありがとう。使わせてもらうよ」
「うむ」
「それよりも、ニコラス学園は全寮制でしたよね、学費は?」
「卒業後に協会に入って、6年間現場で働くことを受諾したら免除なんだよ」
「それって悪魔達とかと戦うってことですか?」
「分かんない。でも!とにかく俺、サンタになるから」
「応援はします、頑張ってくださいね」
「あぁ、必ずサンタになってみせるよ!!」