2章 47話 冒険者と魔術師の葛藤
長らくお待たせしました。
最新話更新します。
ちょっと短いですが、今後は一話2000文字超えるように書いていきたいです。
ヨーゼフ達は前回に引き続き冒険者ギルドの支部長に呼ばれていた。
「何度もお前たちに頼んで悪いが、
前回パーティを組んだ魔術師ギルドの二人と
もう一度パーティを組んで、ダンジョンに
潜って欲しい」
冒険者ギルドの支部長は冒険者たちの上司のような存在である。つまり、明らかに嫌な顔をするなんてことはマナー違反に当たってもいいのであるが、支部長はその理由がわかっていたため、流すことにした。
なお、パーティメンバーで最も嫌そうな顔をしていたのはカタリナだ。
「カティ、露骨に嫌そうな顔をするなよ。
支部長、今回の依頼には何か理由が?」
カタリナとは違い、意見をしっかり汲んでくれようとしているヨーゼフには支部長は頭が下がる思いだった。
ヨーゼフは普段お茶らけていることも多いのだが、こと依頼に関してはとても真面目で冒険者ギルド員の覚えもいい。当然支部長にもよく思われている。
「いや実はな。
なんと魔術師ギルドのマスターから直接謝罪があった。
貴殿らも外の掲示を見ただろう。
今後の冒険において、魔術師どもの態度がどう変わるのかを
知りたい。
だから、魔術師ギルドの幹部クラスの者を連れて行って欲しい」
外の掲示板のことは、すでにヨーゼフ達も知っていた。そして、あの掲示の内容と、魔術師ギルドのギルドマスターの印が本物であることをヨーゼフが皆に伝えていたので、あれが真実であることはわかっていたのだ。
カタリナ,ヘルミ,イーロはそれぞれ支部長の言葉に頷いたが、今度は逆にヨーゼフだけは黙ってギルドマスターを見つめ返していた。
「それだけですか?」
何度も言うが、ヨーゼフは真面目である。そして真面目である理由はパーティの皆のことを考えてのことだ。もしパーティの皆に危険そうな依頼であれば、すぐに依頼を断るくらいの度量は有している。
よって、ギルドマスターは深くため息をつく。
「お前には敵わないな。ほんと普段は適当そうなのに……。
実はな、領主から頼まれたんだ。
ダンジョン産の魔石と鉱石を領都の主流の産業にしたいらしい。
冒険者ギルドとしては、主流の産業に一枚噛めればと
思っている」
「つまり、報酬は多いと言うわけですね?」
ヨーゼフはニヤリと笑った。
「そうなんですか!?」
ヨーゼフの後ろから、金に目が眩んだカタリナが乗って来る。
「待て待て。
今回の報酬自体はそれほど高くはできない。
領主からの依頼を公にできないからな。
だが、当然重要なクエストだ。
よって、お前たちの将来に対して保証しよう」
「具体的には?」
「私がギルド職員への推薦状を書く」
ヨーゼフの後ろから、おおおおおと歓声が沸き上がった。
冒険者ギルドの職員と言う仕事は人気が高い。手当などの面に優れていて、給料も高く安定的であったからだ。それに、元冒険者と言う肩書があれば、冒険者も素直に従ってくれるため発言力がある。
それだけにヨーゼフたちのやる気も高まった。
「クエストは明日からだ。
頼んだぞ」
それだけ言い、ギルドマスターは応接室から出ていった。
翌日、領都の門前にヨーゼフ達は集まった。
メンバーは、前衛にイーロカタリナ。中衛としてヘルミとヨーゼフ。後衛に、前回一緒にパーティを組んだエルフの兄妹のマルクとリネーアだ。
二人は前回のようにヨーゼフ達を蔑むような眼はしていなかった、むしろ焦るようだった。二人からすれば、ギルドマスターであるセルマに下された悪い評価を返上しなければならないのであるが、ヨーゼフ達はその事実を知る由もない。
「一応、もう一度自己紹介をしておく。
俺はヨーゼフ、このパーティでリーダーをしている。
普段はパーティで後衛の魔術師をしているが、今回は
中衛をさせてもらう。
あんたらのほうが魔術が強力だろうからな。
重装の戦士はイーロ,軽装の方がカタリナだ。前衛をする。
カタリナは斥候も兼ねているから、危険な目に逢いやすい。
是非カバーをしてやってくれ。
最後に、治療師のヘルミだ。治療師は珍しいからな。
雑には扱うなよ?
機嫌を悪くされたら回復してもらえないからな」
冗談を言うヨーゼフに、ヘルミはそんなことしないわよ! と反論する。
「わかっている。
こっちは私がマルク、そして妹のリネーアだ。
……よろしく頼む」
掲示の内容のせいか、エルフの二人の態度が軟化していることが皆わかった。
だが、言葉だけ軟化していても仕方ない。冒険者は冒険で態度を示さなければいけない。
「では行こう。
目的は、前回同様新しくできたダンジョンだ」
魔術師ギルドのギルド員が冒険者に混じってダンジョンへ赴くことはダンジョンが発見されてから度々あったが、少しでも一致団結したパーティとして向かうのはこれが初めてとなった。
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