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2章 39話 魔術師ギルドと冒険者ギルド

だいぶ間が空いてしまいました。

色々とあって空いてしまいましたが、今後は許す限り続けて行こうと思っています。

もし待っていた方がおられましたら大変お待たせしてしまい申し訳ありません。


食事を終えたサトルとシスは冒険者についての話の続きをワイン片手に始める。


「改めて、今回の冒険者の話だ。

 連携が悪い理由を確認できるかどうかはわからないが、

 まずは冒険者ギルドに行ってみる。

 もしかしたら、仲間割れの瞬間に立ち会えるかも

 しれないからな。」


「では私はそこにいてはお邪魔でしょう。

 店を見て回りたく思います。」


シスが別行動を申し出てくる。

これは単に、また服飾屋に出入りしたいからだろう。


「わかった。

 じゃあ明日の朝は別々に行動して、用事が終わったら

 宿で待ち合わせよう。

 どうせだ、昼過ぎまでじっくり町を見てくるといい。

 俺もそうする。」


そう言ってシスに銀貨を数枚渡す。


「どうせお前のことだ。

 何か買ってくるつもりなんだろう。

 今のままでは金が足りないだろうから渡しておく。」


「流石サトル様ですね。

 間違いなくお役に立つものを買ってまいります。

 ご安心ください。」


シスは手に持った銀貨を裾に入れると、銀貨はさっと消えてしまった。

どういう仕組みになっているのだろうか。相変わらず謎が多い。


この日はこれで寝ることにした。

シスがサトルのベッドにもぐりこもうとしたり、自身のべッドをくっつけてこようとしたので部屋の反対側の壁に運んでおいた。

ついでに、"そこで寝ろよ"と言うのも忘れない。




翌朝、起きたサトルは着付けや支度をシスに手伝ってもらってから食堂へ向かう。

食堂では朝早いと言うのにテーブルはほとんどが埋まっていた。

空いているテーブルに着くと昨日給仕してくれたウェイトレスがやってくる。


「おはようございます、貴族様。

 朝食はメニューがありませんので1種類のみとなります。

 サラダ、スープと卵を炒めたもの、後バゲットです。

 飲み物は何になさいますか。」


「朝だからな。

 果実水を2つ頼む。」


鞄から銅貨を2枚出してウェイトレスに渡す。

受け取ったウェイトレスは笑顔で厨房へ向かった。


「サトル様。

 今日も渡す量が多いです。

 朝食の時は銅貨1枚で十分ですよ。」


今回も渡した銅貨が多いとシスに言われてしまった。

この辺りの相場観がないのでサトルにはどうしようもない。

それほど時間もかからずウェイトレスが朝食の乗ったプレートを持ってきた。

夕食とは異なり、朝食はごく一般的なものだった。味は悪くはないが際立つわけではない。

朝食も終わりシスとともに部屋に戻り片づけをする。


部屋を出てカウンター前でシスに支払いを任せ、サトルは先に宿を出た。

冒険者ギルドの場所は領都の城へ向かう大通りの途中にある。大通りを真っすぐ歩くだけでいい。

まだ朝も早いので大通りを歩く人は多くはない。すでに行動を開始している町人や商人、そして朝早くから冒険に出発するのだろう冒険者が数人いる程度だ。


しばらく歩くとビルディングのような建物が見えてきた。冒険者ギルドの建物だ。

こんな時間でも開けているらしく、冒険者が何人か入っていくのが見えた。


冒険者ギルドに入る。しかし、まだ職員も準備中の者がほとんどのようで受付のカウンターも活動できているのは一人くらいだった。

そんな中、以前来た際に見た依頼書のカウンターに目を細めた者が立っている。確かカレン・グラシアと言う名前のはず。

話しかけてキョドられても困るので、まずは依頼書を確認しに行く。

依頼書の掲示板の前まで行くと依頼書の数は前回に比べて貼られている数が多かった。そしてそのほとんどは魔石の納品だ。

サトルのダンジョンが見つかったことで魔石を大量に仕入れる目途がたったことが理由に違いない。

銅鉱石の採集も依頼書として貼られているのが確認できる、やはり領都から遠い鉱山で採取するより近場で手に入ることはとても大きい話であるのがわかる。


「貴族様、今回はどのような用事でいらっしゃいましたでしょうか。」


急に後ろから声をかけられた。

振り向いた先にいたのはギルドマスターだ。隣にはカレンが控えていた。


「ちょっと依頼の傾向を見てみたくてな。

 魔石の納品が多いようだが、魔石を入手する方法・・・

 モンスターの大量発生でも起きたのか。」


何も知らない振りをしてサトルはギルドマスターに問いただす。


「いえ。

 もう知っている方も多いのですが、領都の近くにダンジョンが

 新しくできたのです。

 そこのダンジョンは少し特殊で、魔石を落とす率が高いようでして。

 また、鉱脈も発見されています。

 冒険者ギルドにとってはありがたいことですね。」


ギルドマスターの口が少しだけ上がった。

間違いなくギルドマスターにとってサトルのダンジョンはありがたい存在なのだろう。


「それなら、さぞ魔石を入手したことだろう。

 冒険者ギルドから買い取ることは可能か?」


この質問にはギルドマスターは少しだけ顔をくぐもらせた。


「いえ・・それがですね・・。」


「おい。近くにできたダンジョンに行くパーティを俺に斡旋しろ。

 急げ!」


ギルドマスターの言葉を遮るかのように、カウンターのほうから大きな声が聞こえた。

サトルとギルドマスターが同時にそちらを向くと、列を無視してカウンターに詰め寄るローブ姿の男がいた。


「またか・・・。」


ギルドマスターが大きくため息をついた。

今度は感情を押し殺すことはできなかったようだ。

うつむいた姿から直ると、そのままローブ姿の男に向かって進んでいく。


「おい、そこの魔術師協会の者。」


ギルドマスターがドスの聞いた声でローブの男に声をかける。


「なんだ貴様は。

 俺は魔術師だぞ。早くパーティを俺に斡旋しろ。

 全く役に立たないな、冒険者ギルドは。」


ローブの男がギルドマスターに向き直り、あろうことか職員同様に


「知らないようだから教えてやろう。

 私はこの冒険者ギルドのギルドマスターだ。

 お前ら魔術師ギルドは、ギルドマスターからして

 人に対する礼儀と言うものがなっていない。

 それどころか冒険者や町の者に迷惑をかけてばかりだ。

 このまま迷惑をかけるようであれば領主に陳情を提出するぞ。」


ギルドマスターと言ったこと、そして領主へ陳情を提出すると言ったことでローブの男は焦りだした。


「くっ・・貴様がギルドマスターか・・。

 貴様のせいで我が魔術師ギルドは・・・。

 今日のところは帰る!」


早口に言い立て、男は逃げるように入口に向かって行ってしまった。


「貴族様。これが原因なんです。

 今冒険者ギルドには、魔石を求めて魔術師ギルドの者が多く

 やってくるのですが、あのように毎回自己中心的な物言いをして

 冒険者、わがギルドの職員ともうまくいってないのです・・。」


またも大きくため息をつき、ギルドマスターはうなだれてしまっていた。


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