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2章 36話 停滞

いよいよ冒険者たちがダンジョンへ訪れてくる!といきこんでいたサトルに手痛い話。


 ダンジョンに訪れた冒険者:160ポイント

冒険者に倒されたモンスター:30ポイント

       冒険者の吸収:0ポイント

           合計:190ポイント

   次のレベルアップまで:725ポイント


冒険者たちが去った後、今回と前回の成果を合わせて確認すると上記のようになっていた。

モンスターのポイントの分担を変えたため、ポイントの還元率が悪くなっている。

また、エルフやドワーフのような強者が訪れたにも関わらず、経験値の入手は以前に比べると少ない。

改めてレオンやエリスがどれほどの強者だったかと言うことがわかった。だが彼ら程の強者が訪れることは今後も含めてほとんどないだろう。

今後は冒険者の訪問量が大事だと言うことがよくわかるデータだった。


とりあえず、倒されてしまったコボルト3匹を追加で補充する。

52ポイントで残った日から、日付として2日経っていた。最奥の部屋に中級と下級の宝箱を1つずつ設置していたのと2日間(朝夕)の食事、そして本日の朝食で、残りのポイントは778だ。

コボルト3匹を召喚して、残り748になった。

召喚を終えて部屋を見渡すと、ドワーフによって削り取られていた壁はすでにコバルトブルーに戻っていた。

鉱脈をコバルトにすることはコボルトにとってかなりの習性だった。


準備を終えて、サトルは冒険者の訪れを楽しみにしていた。




その日の夜。サトルは荒れた。


「あの冒険者どもは一体なんなんだ。

 お互いの邪魔ばかりして、連携もできず。

 結局コボルトの部屋で活躍できた者は皆無じゃないか。

 ゴブリン部屋でほとんど力を使い果たし、休憩部屋まで

 なんとかたどり着いたパーティもあったが、コボルト6匹を

 見る限りすぐに逃げ出しやがって・・・。」


本日ダンジョンに現れたのは3パーティ。

初日にしては多かったのではないか、そう思える数である。

しかし、ダンジョンでの戦い方はお粗末だった。

3パーティとも4人から5人のパーティだったが、そのうち連携が取れているのは2人か3人で、1人~2人は必ず足を引っ張っていた。

足を引っ張られると、連携が良かった者もどんどん悪くなっていき、しまいには瓦解してしまう。

ゴブリンに冒険者が倒されることはなかったのだが、傷を受けるのもためらわないと言う体の逃げ出し方をしてしまっていた。

楽しみにしていた冒険者がそのような状態で、サトルはあまりのひどさにワインの少し飲みすぎてシスに愚痴っていたのだ。


「村のダンジョンの時に訪れた高ランクの者とは違い、

 あのような低級の者はサトル様のダンジョンに

 適さなかったのです。

 そのうち、ダンジョンで活躍できるようなパーティが

 やってきますよ。」


シスはサトルに酌をしつつなだめていた。この日のサトルの荒れようは夜遅くまで続いた。




「頭が痛い・・水を・・・・。」


当然のように次の日は二日酔いになっていた。

なんと昨日は上級葡萄酒を6杯もサトルだけで飲んでしまったのだ。

アイテム作成から作成した水を飲む。しかしだるさはなくならない。

あまりの体調の悪さに、昼過ぎまで寝てすごしてしまった。

改めて水を飲んで一息つく。

そして、今日あったことを思い出した。

本日昼過ぎまでに訪れたパーティは3パーティ。昨日より多い。

だが、魔法使いはゴブリンに攻撃はせず前衛が突っ込んでゴブリンにチャージをしても後が続かない。

何人かが走る中、歩いてモンスターに近づいてろくに攻撃しない者もいる。

そんな者の多くが落ちた魔石に一喜一憂し我先にと拾いにいく。そして宝箱の部屋までたどり着いた際には宝箱を開けに行くのだ。


「こんな状態、見てられん!

 シス、俺は町に行く。原因を追究してくる!」

 

サトルは再度町に行くことを決めた。

そうとなれば、こんなところで待っていられない。さっさとダンジョンを出るに限る。

しかし、革のカバンを手に取ったところでシスが袖を掴んできた。


「サトル様、お待ちください。

 今のダンジョンの出口は1つです。

 今出れば、ダンジョンから出たところを冒険者に

 見つかってしまう可能性があります。」


なんと、夜になるまでダンジョンから出られなかった。


「なんだと・・夜まで待たないといけないのか。

 シス、いい方法はないのか。」


「今のところはありません。

 我慢なさいませ。後数刻です。」


仕方なく夜までダンジョンを出ることを我慢することにした。

そして、冒険者のひどい戦いを数刻見せられるという苦行を乗り越えた後だった。


「サトル様、どうやら冒険者の足も潰えたようです。

 今ならダンジョンを出ても誰に見られることもありません。」


シスに言われ、革のカバンを手に取った。

中には、中級宝箱から抜いた銀貨が数十枚入っている。少し重くなったカバンを手に持って転移しようとしたところ、シスが持っていた。


「なんだその荷物は?」


「サトル様のお着換えですが?」


シスが自前で作ったカバンはそこそこ膨らんでいた。

明らかについてくる気で準備していたのがまるわかりだった。


「お前、もしかして自分も行きたかっただけじゃないのか・・。

 準備をするために、もしかして夜にならないと出られない等と・・。」


「そうとも言います。」


シスは細められたサトルの目から逃れるように横を向いた。



2日間でのダンジョンでの成果は下記。

  ダンジョン訪れた冒険者:120ポイント(5パーティ30人)

冒険者に倒されたモンスター:20ポイント(ゴブリン20匹)

       冒険者の吸収:0ポイント

           合計:140

     レベルアップまで:585ポイント


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