2章 32話 共闘
久しぶりの投稿になってしまいました。
「なあ、あんたらも魔術師なんだろ。
俺も魔術師さ、よろしく頼むよ。
今の内にダンジョンでの役割について
話を」
「人間の魔術師よ。
我らは人間と話す気はない。
ダンジョン内でもモンスターの討伐には
協力するが、こちらで勝手に攻撃させてもらう。」
ヨーゼフがダンジョン到着前に役割の話し合いを済ませようとエルフに話しかけたが、強く拒絶を示されてしまった。
「わしらもだ。
ギルドの用事で来ているだけじゃ。
今回のことが終われば街で会っても
声もかけんよ。」
近くを歩いていたドワーフからも同様に拒絶されてしまった。エルフもドワーフも、その後ヨーゼフからわざと離れて歩くようになってしまった。
その様子を前方で見ていたカタリナが、エルフとドワーフの態度に腹を立てていた。
「こっちは仕事のためにわざわざ声を
かけているって言うのに!!
あの態度ないよね!」
「カティ、声が大きいですよ。
聞こえちゃいますって。」
実はカタリナは敢えて聞こえるように大きな声で言ったのだが、当の本人たちは知らん顔であった。
彼らの実力がわからない上に、役割の協力もしてくれないのではどうしようもない。
連携がとれないと言うのであれば自分たちだけでフォーメーションを組まなければならない。
ヨーゼフたちは仕方なく前回同様の隊列を組むことにした。
先頭はカタリナ、次いでヨーゼフ。イーロ、ヘルミの順番である。
領都を出てからダンジョンに到着するまで、エルフもドワーフもヨーゼフたちから2mほど離れてずっと移動をしていた。
特に会話することもなくずっと歩き続けた結果、陽の角度がそれほど変わらない間にダンジョンにたどり着いてしまった。
「今からダンジョンに入る。」
大きく口を開けたダンジョンの入口の前でヨーゼフが声をかける。
相手が友好を求めていないため、最低限の連絡だけになった。無論エルフもドワーフも目くばせをしただけで反応さえしなかった。
たったの1刻でエルフやドワーフのそんな様子に諦めてしまったヨーゼフたちは、気にせずに決めた隊列でダンジョンへ侵入した。
ヨーゼフがライトを唱え、先頭を行くカタリナの前に光の玉を出現させる。光の玉に照らされたダンジョンの壁は前回と変わらず岩肌を露出させていた。
後ろではエルフの二人組がそれぞれ前後に光の玉を出現させていた。
そのままダンジョンの入口を進み、最初の部屋に差し掛かる。
念のため速度を落として注意深く侵入したものの、最初の部屋には前回同様モンスターはいなかった。
「なんとキレイなダンジョンじゃ・・・。」
全員が最初の部屋に入ると、無口だったドワーフが声をあげた。
ダンジョンの部屋を見て何か言わずにはいられなかったらしい。
「どこがキレイなんだ?普通のダンジョンだろ。」
今まで不必要な会話を全くしなかったドワーフがそんなくだらないことで声をあげたことにヨーゼフは苛立ちを覚え、きつく疑問を口にする。
「所詮は人間じゃの。このダンジョンから
何も感じないとは・・・。
よいか。
こういう岩肌のダンジョンであれば、
もっと自然な形になる。このような
明らかに部屋の形をしたダンジョンなど
ありえぬ。
人の手が入っていると言われても不思議とは
思わんほどだ。」
岩肌が露出しているので壁は平ではないとは言え、このダンジョンの最初の部屋は明らかに正方形の形をしていた。
ドワーフはそこにすぐ気づいたのだ。通常のダンジョンであれば、間違いなく正方形にはならない。円形ももってのほかだ。もっといびつな形になる。
「言われてみれば・・・。」
前回は緊張のあまりそこまで調査できていなかったヨーゼフ達は、部屋を確認して正方形の形を改めて確認する。
「じゃからわしらが来ることになった。
と言うことでもあるんじゃろうがの。」
ドワーフのもう一人がヒゲをさすりながら言う。
地の精霊と言う二つ名で呼ばれる彼ららしく、大地のことについてはとても詳しい。
「次の部屋からゴブリンが出る。
倒したら倒しただけ沸く。
さらに次の部屋への道を確保したら、
放って移動するからな。」
ヨーゼフはそれ以上言葉を交わすことをやめて、次の部屋への移動を促した。
皆が黙って次の部屋への通路に向かう。
通路を通り、通路の奥に部屋が見えてくると部屋を移動する影がカタリナの目に入った。
「やっぱりいるわ。
みんな警戒して。」
カタリナが4人だけに聞こえるような小さな声で警戒を促すと、ヨーゼフ達は黙って各々の武器を構えた。
エルフたちは自慢の耳でゴブリンの動きを察知したらしく、杖を構えた。
ドワーフたちは暗がりでも十分に見えるらしく、すでに影として動いているゴブリンを目で追ってさえいた。
部屋への入口まで歩いたところで、ヨーゼフが魔法を唱える。
「ファイアアロー!」
杖の先に3本の炎の矢が浮かび上がり、未だ影として蠢いているゴブリンへ向かった。
「ギャッ」
ヨーゼフとエルフたちが光の玉を部屋の中へ向かわせると、炎の矢の1本が腕に刺さり地面に倒れているゴブリンが近くに見えた。奥の方には2匹のゴブリンがおり、すでにこちらへ顔を向けていた。
「罠はないよ!
すぐ目の前のゴブリンを叩いて!」
カタリナが周辺に罠がないことを告げると、ヨーゼフの後ろに控えていたイーロが大剣を持ってゴブリンに振り下ろした。
後ろの方からはドワーフが駆けてきているが、動きが遅いためまだ近寄って来れていない。エルフたちは杖を構えてはいたが、未だ攻撃魔法を唱える気配もない。
イーロの大剣が痛みのために地面に横たわっていたゴブリンに降ろされると、ゴブリンはなすすべなく潰された。
すぐさま、ゴブリンが光の粒子となって消えると小さい魔石が現れた。
「魔石っ!」
未だ奥にゴブリン2匹がいると言うのに、エルフの二人は完全に意識を魔石に向けてしまっていた。
リネーアがゴブリンからドロップした魔石に近寄り、手に取った。
「ゴブリンから魔石が落ちるなんて・・。
小さいけど、純度も素晴らしい。
こんなことが・・。」
魔石を手にして無心に見ているリネーアに向けてヨーゼフは苛立ちをぶつけた。
「倒したら倒しただけ沸くっつったろ!
ぼさっとすんな!」
ヨーゼフの声にリネーアは我に返り、先ほど2匹のゴブリンがいた方に目を向けると、先ほどのゴブリンの分が補充されたのか、3匹のゴブリンがいた。
「自動召喚か!
やっかいなものを!」
マルクは最初のゴブリンが倒された瞬間、奥の魔方陣からゴブリンが現れるのを見ていた。
ただのダンジョンではない、とエルフとドワーフの4人が完全に理解するまでほとんど時間を費やさなかった。
大分間が空いてしまいました。
ほんと何をしているんでしょうかね・・。
書けるタイミングがまばらになってしまうかもしれませんが、書き続けるつもりでいますので今後もよろしくお願いします。




