2章 25話 ダンジョン構想
ようやく題名のダンジョン関連の話に戻ることができました。
かなり遠回りした感じがします・・・。
領都の外に出るため、今度は大通りを逆に進む。
この時間はほとんどの人は領城側に向かって進んでいるため、すれ違う人たちばかりである。すれ違う人は何人かがサトルの顔を見てくる。
門まで来ると先ほどの騎士の青年がまだおり、頭を下げて門から出るのを見送ってくれた。
「貴族様。危険を承知で外出なさると思いますので、
一応伝えさせて頂きます。
この時間からの外出は危険ですので、お気をつけ
なさいますよう。」
青年の権限ではサトルを止めることができないことを悟って、注意だけを促してくれた。
この青年は本当に人や場にあった言い方をしてくれる。将来立派になるだろう。
「ありがとう。」
サトルはそれだけ伝えると、そのまま門の外に出る。
一般的に貴族をメイドと二人で外に出すことは危険以外の何物でもないが、ことサトルとシスに限って言えばそんなこととは無縁だった。
城から歩いて離れること3時間ほど。
領城の明かりが遠目見えるくらいの距離までは離れた。
暗くなってきたのですでにシスがライトの魔法で辺りを照らしてくれている。
領城から北西の方向に進んできたものの、一度もモンスターや動物を見かけることはなかった。
冒険者たちはさぞ苦労して生活しているのではないか。そう思えるほどだ。
サトルは立ち止まり考える。これ以上離れては他のダンジョンに対する優位性が薄れてきてしまう。
かと言ってここの平地にダンジョンを作るのは不自然ではないか。そう思う。
「シス、この平地にダンジョンを作るのは
流石に不自然すぎる。
地形を変えられたりしないのか。」
「それでしたら、ダンジョン作成時に
地形が変わります。
まずは作成画面から確認なさいませ。」
シスに言われた通り、メニューのダンジョン作成を押す。
前回はダンジョンが最初からあったので、この機能を使うのは初めてだ。
ウィンドウがポップし、作れるダンジョンを選択するようになっていた。
1つ目は、前回同様洞窟型ダンジョン。これを作成すると、平地に穴が広がり地下へ続くスロープが作成されるようだ。別ウィンドウにそうイメージされたものが出てくるためとても分かりやすい。
2つ目は、迷宮型ダンジョンで石のレンガで出来た壁や地面が特徴的だ。入口にも門構えのようなものが出来、地下へ続く道は階段状になっている。
3つ目は塔型ダンジョン。文字通り塔が生成される。特徴は地下地上の両方に広げることができることらしい。
4つ目は城型ダンジョン。塔より更に大きいものになっている。こんな城のダンジョンができたら、モンスターの王が現れたとか思われかねない。今後選ぶこともないかもしれない。
1つ目以外は全て全てダンジョンポイントが追加でかかる上に、サトルが作りたいダンジョンは雰囲気として1つ目のダンジョンが合う気がしているため、1つ目を選んだ。
更にウィンドウがポップする。
”この場所にダンジョンを作ります。よろしいですか”
迷わずYESのアイコンを押すと、地面が揺れて平地に大きな穴が開く。そして穴が開いた先は下り坂が続いていた。
入口に近づくと、懐かしさがこみ上げる。数日ダンジョンと接してなかった程度だったが、ここが自分の居場所だと告げてくれているようだ。
「お帰りなさいませ、サトル様。」
シスがサトルとダンジョンの間に入り、サトルに向けて告げる。シスにそう言われたことで、改めて自分はダンジョンマスターなのだと思い出される。
下り坂を少し下ると、壁にヒカリゴケの繁殖が見られた。
スロープはそのまま1分ほど続いた。スロープの終わりが見え、たどり着いた部屋は20m×20mほどの広間だった。地面は土で出来ており、壁は岩のごつごつとした感じが出ている。
今回はこの部屋を1-1ーAとした。これはサトルがやりたいことのために必要なことである。
今回のダンジョンは前回とは構成を大きく変える。
まずエリアを大きく4つに分ける。
1つ目のエリアは、初心者エリアだ。ダンジョンの入口からがメインとなるこのエリアは、基本スライムとゴブリンしか出さない。強くなってきた冒険者はゴブリンロードに挑めばいい。そういう部屋を準備するつもりだ。
ゴブリンロードに通じる道とは分けて、休憩部屋を作る。この休憩部屋の次の部屋から、3つのエリアにそれぞれ繋がる道を作る。
2つ目のエリアは、鉱脈エリアだ。出てくるモンスターのメインはコボルトである。
部屋のところどころに鉱脈を設置することで、鉱脈目的に来る冒険者も増えるはずだ。今領都の商人は鉱山までわざわざ鉱石を取りに行ってるのだから、少量だとしても近くでとれるのは良いに越したことがないはずだ。
3つ目のエリアは、探索エリアだ。部屋内のモンスターを倒して、宝箱を開けて報酬を手に入れる。そういう部屋をいくつも作り、冒険者達に何度も挑んでもらう。ここにはゴブリンより強い敵を置くことにする。
4つ目のエリアは、ボスへ通じるエリアだ。前回はボスと呼べるモンスターの召喚は出来ていなかった。
しかし、レベル7になった今なら・・まだ見ていないモンスターに期待をしたい。
ボスモンスターを倒した冒険者達には当然宝箱を褒章として出すつもりだ。
これらのエリアを作ることで、他のダンジョンと比べて遜色ないどころか上位にあるダンジョンとして存在することができる。
以上のことをサトルの今回作るダンジョンの構想としてシスに伝えると、
「サトル様。素晴らしいお考えです。
問題は、どうやって冒険者に
ダンジョンを見つけてもらうか、ですね。」
言われて思い出した。前回の村でもそうだったが、週に一度くらいの頻度で冒険者ギルドが近くの散策を行い、その際にマップを更新すると言う。要はその時まで待たなければ、ダンジョンに冒険者は訪れないだろう。
しかし、今は3ヵ月後のヒルダの戻りを待つまで特に急いですることもなかったので、それでも問題なかった。
とりあえず、ゆっくりダンジョン作成を行うことにした。




