2章 22話 訪領都
書いた文章がぴったり2000文字でした。
それだけです・・・。
朝、御者が出してくれた食事をしていると商人がやってきた。
昨日長話に付き合ってくれたお礼を言うと、すぐに馬車に戻り領都とは反対方向に向かって行った。
領都と鉱山を行き来していると言う話だったから、これから鉱山に鉱石を仕入れに行くのだろう。
しかし、昨日はろれつが回らなくなるほど飲んでいたと言うのにたくましいことである。
朝食をとったのかどうかわからないほど急いで移動していった商人とは反対に、サトルはゆっくりと朝食を摂る。
間違いなく今日中に領都へは着くわけだし、仮に到着が1,2時間前後したところで問題ないからだ。
食事が終わり、お茶を飲んでゆっくりしていると御者がサトルのそばにやってきた。
「貴族様。本日の予定を簡単に説明します。
昨日順調に進みましたので、本日昼頃には
領都に到着します。
領都に入る前に、門で身分証かもしくは
通行費の支払いを求められますが、貴族様は
身分証になるものはお持ちでしょうか。」
御者に言われて鞄の中に手探りでヒルダからもらった石があることを確認してから、頷く。
「わかりました。では、馬車で領都の停留所まで
移動します。」
そう言うと、御者は頭を下げて馬車の準備に取り掛かった。
お茶も全て飲み終わったため、サトルが立ち上がって伸びをしていると
御者がテーブルを片付けにやってきた。
特にこれ以上何もなければ出発します。と言われたため、そのまま馬車に乗り込む。
シスもサトルを追ってそのまま馬車に乗り込んだ。
馬車の中では、昨日同様シャドウウィップの操作の練習をしていた。
だが、昨日の時点で操作が上手くいくようになっており、3本の操作に関しては全く問題がなく、4本での操作も
それほど問題は出ないようになっていた。
途中、シスがわざと石を変な方向に投げたり、投げた石が低かったりもしたが、難なくキャッチできた。
「もう完璧ですね。
流石としか言いようがありません。
今回の練習は他の魔法でも役に立つはずです。」
シスからのお墨付きももらい、一息ついていると御者から領都が見えてきました。と告げられる。
御者の近くに寄り、進行方向を見ると高い壁に囲まれた街が見えて来た。
壁は結構な高さがあり、壁から見えるのは高い建物や領城だけである。
領城は青白く、とても美しい様が遠目にもわかった。
領都が見えて来たので、辺りも見渡すとほぼ平原であり、途中木が何本か生えている状態である。
流石にこのあたりにダンジョンを作ると、警戒されてしまうかもしれない。
更に馬車が領都に近づいていくと、門のようなものがあり、そこにかなりの人が並んでいるのがわかった。
門に並んでいると言うことは、通行の許可待ちと言うことだろう。
馬車は列には並ばずに、その横を通り過ぎていく。馬車は並んでいる冒険者や商人、旅人の視線のいい的になる。
門の前まで来ると御者が馬車を止めた。
すると門の横の通用口から、帯剣した身なりの良い若者が出て来た。
「私はこの門の責任者です。
主に貴族の方々の担当をさせて頂いています。
身分を証明できる物か、あるいは通行費の
支払いは可能でしょうか。」
責任者はとても柔らかい口調でサトルに聞いてくる。
若いのにここまでしっかりしているし、御者に対しても扱いがとても丁寧であるので好感が持てる。
サトルはヒルダからもらった石を提示すると、責任者はそれをしっかりと目で見ると驚いて更に目を大きく見開いた。
「これは失礼しました。
この門の兵士には話を通しておきますので、
今後ご自由にお通り下さい。
すいませんが、お名前を聞いてもよろしいですか。」
「サトル・サウザンツだ。
こっちは俺のメイドでシスと言う。
こっちも通してくれると助かる。」
「わかりました、サウザンツ様。
私は普段この門に詰めておりますので、
何かありましたらお呼びつけください。」
ヒルダがくれた石の効果は凄まじかった。
御者も責任者の対応に驚いていた。きっとサトルがただの貴族ではないと改めて思ってくれたことだろう。
許可が出たので、馬車ごと領都に入る。
領都に入るとすぐ舗装された大通りで、多くの者が行き来していた。
馬車はそんな中、入ってすぐの馬車の停留所に入り止まる。
「貴族様。領都に到着しました。
これで私たちの仕事は終わりです。
もしまたご利用されることがありましたら、
その際はよろしくお願いします。」
御者が後ろを振り返り、恭しく頭を下げた。
「いや、こちらこそ助かった。
とても快適な旅だったよ。
また頼むこともあるかもしれない。」
御者に向けて軽く手を挙げ、馬車を降りる。
領都に着いたら最初にやることを決めていたサトルは、大通りを歩き出す。
シスは当然のように一歩後ろをついてくる。
まずは冒険者ギルドで情報収集だ。
ダンジョンに訪れる冒険者について調べる必要がある。村でそう学んだのだ。
冒険者ギルドは最も都合のいい場所にある。つまり、大通りを歩いていれば絶対にたどり着く。
そう確信をもってサトルは歩いていた。
次は冒険者ギルドで情報のやりとりが始まります。
その後は・・ようやく本題のダンジョンマスターです。
大分ダンジョンから遠ざかってしまいましたね。




