1章 5話 少しはダンジョンらしく
自分で設定を作っておいて、ダンジョンポイントの計算が面倒だという……。
どこかで計算間違っていたらごめんなさい。
ダンジョンマスターとして生活してから今日で三日目になった。
朝起きた時に30ポイントが補充されていて、昨日は全部使い切ったので現在30ポイント。
朝、目が覚めてもまだベッドから出ずに考える。
明日は外界とダンジョン繋げる予定の日だから、本日の行動はとても大事になるはずだ。
まずはクッキーと水を朝夜に摂取するから、使用できるのは最大28ポイント。
まだ何もできていない1-Bにとりあえず転移する。
1-Bは現在1-Aに召喚したゴブリンが行き来するだけとなっていて、この部屋には宝箱しかない。
ポイントの低いモンスター召喚をするため、編集からモンスターの召喚を選ぶ。
今までで召喚したモンスター以外で、低いポイントで召喚できるモンスターにラットがある。
ラットの説明は以下のように表示されていた。
~ラット~
大きさは約30cm前後。ダンジョンで召喚できるラットは動物ではなく、魔物と言う分類である。
獣のラットは20~30日で子をなし繁殖するが、魔物のラットはわずか3日で繁殖する。また成熟期間もとても短く、2日で成熟する。
ダンジョンのラットは雄雌の区別がなく、2匹いれば繁殖が可能。
主なエサは、虫、ゴブリンズマッシュ、ワイルドアップル。
虫はダンジョン内に少ないため、虫を餌とすることは不可能である。
ゴブリンがダンジョン内にいれば、ゴブリンが食用として捕獲するため増え続けることはない。ラット自体はとても弱いため冒険者を攻撃することはない。
3日で繁殖って本当にやばい。
仮に2匹召喚したとして、3日後には3匹、6日後には4匹になる。
このダンジョンにはゴブリンを召喚したからいいだろうけど、いなかったら一か月も経てばラットだらけになってしまう。
あまりの繁殖の速さに驚きつつも、このダンジョンでは問題がないことにほっとする。
ラットの召喚に必要なポイントは1匹1ポイント。だが、1匹や2匹召喚したくらいではゴブリンにすぐ食べられて死滅してしまうだろう。
とりあえず5匹召喚する。それで様子を見ることにする。
これで残り使用できるポイントは23ポイントになった。
召喚によりラットが出現する。行動範囲を1-Aと1-Bに設定した。
出現したラットは一斉に動き出し、2匹が急に近づき交尾を始めた。流石驚異の繁殖力を持つだけある。
5匹の内1匹は、丁度1-Bに移動してきたゴブリンに追いかけられている。
ゴブリンの動きは素早いわけではないが、ラットも素早いわけではなかったからそのうち捕まえられて食べられてしまうことだろう。
次いで、ラットのエサとなるワイルドアップルを設置することにした。
ワイルドアップルの説明は以下のように書いてある。
~ワイルドアップル~
ダンジョンのみに生息する野生のリンゴの木。枝に生えた葉が周囲の魔素を取り込み実を成す。
つける実はとても酸味が強く甘味は一切ない。そのため味覚の存在する種族が食べることはお勧めしない。主にゴブリンやラットのエサになる。
どうやらワイルドアップルを見た目の通りリンゴの類とみてはいけないようだった。
早速ワイルドアップルを設置する。ワイルドアップルを設置する場所は、宝箱とは対角の場所だ。
ワイルドアップルは5ポイント必要としているため、残りは18ポイント。
出現したワイルドアップルの形は現代でも見かけるリンゴの木と何も変わることはなかったが色合いが全体的に灰色染みていた。
赤い実をいくつかつけており、試しに1つ手にとって表面を服の袖で拭いて齧ってみる。
「ぺっ……すっぱい……」
これはまともに食べれたものではない。
レモンよりもさらに酸味が強いだけで他の味は一切ない。思わず齧った部分を吐き出し、実を投げ捨てる。捨てた実にはラットが近寄り齧り始めた。
次に罠を設置することにする。宝箱と言えば罠。開けたら石化したり壁の中にテレポートさせられるような凶悪な罠は設置できないが、冒険を少し邪魔する程度の罠であれば最高の冒険のスパイスとなるだろう。
編集から罠の設置を選び罠の一覧を見る。
・ウッドアロー 5ポイント
・ピットフォール 50ポイント
・ウッドグレイブ 20ポイント
ウッドアローに、ピットフォールは……落とし穴か?それにウッドグレイブなんてものもある。
ウッドグレイブは木の槍?杭?凶悪そうであるし、これはスパイスどころか壊滅的なダメージを与えそうである。それに、ウッドアロー以外はポイント高いから設置は不可能だった。
ウッドアローを選ぶ。ウッドアロー1本の罠はデフォルトが5ポイント。
2本の場合は単純に2倍の10ポイントのようだ。
他の設置物と比べると、罠は必要なポイントが高く感じる。罠は発動条件毎に発動するので、1日と置かずに何度も発動するのが高い理由らしい。
ウッドアローで本数1本の罠を選ぶと、例のごとくマップがポップした。
今回は罠の発動位置とウッドアローの発射位置と方向を選ぶ必要があるらしい。
発動位置は宝箱も選べるようだ。宝箱を開けると罠が発動するんだろうが、2部屋しかないダンジョンで宝箱の中身も最下級の物なのに悪質な罠を仕掛けたくない。かと言って、宝箱に近づいた時に発動するような安易なのももってのほかだ。もしかしたら踏んでくれるかもと言う程度に考えて、宝箱の真正面より数歩横にズレて設置することにした。残りは13ポイント。
ここで部屋にいるゴブリンを見る。ゴブリンは手に何も持っておらず、武器を持つ冒険者を相手にするには厳しく思えてきた。
編集からアイテム作成を選び、武器の一覧を見ると今のポイントでも作成できそうなものがあった。錆びたナイフと腐りかけの木製のガーターだ。
錆びたナイフは表面が赤色に錆びており、刃が潰れている。かなりの低品質であることが見てとれる。
ガーターも負けず劣らずで、木製で全体的に湿っており、表面には苔が生え緑色に見える。端部がささくれてボロボロでだった。
ないよりはマシと言う程度だがアイテムを作成しゴブリンに渡す。
それぞれ5ポイントで、合計10ポイント。残りは3ポイントだ。
ゴブリンはそれを受け取ると早速手にした。武器を使う程度の知能は持ち合わせているようだ。
ポイントもほぼ使い終わり、冒険者を迎える準備ができた。
はこのタイミングでシスに声をかけた。
「シス、やれることは終わったぞ。
明日ダンジョンを外に繋げれるんだな?」
『まずはダンジョンの作成お疲れ様でした。
明日の朝ダンジョンを解放が可能になります。
ダンジョンと外を繋げる場所はどこにしましょう』
俺の前にマップが出た。
「1-Aの部屋で、1-Bとは反対側の壁がいいな」
マップに指定すると指定された位置がマーキングされる。
『では翌朝この位置にダンジョンの出口を作り
ダンジョンを解放します。
明日は冒険者がダンジョンに入ってくる"かも"しれませんから、
ダンジョンマスターの部屋でお過ごしください。
冒険者に見つかった場合攻撃をされることもありますよ』
かもと言う部分を強調して言われた。明日は冒険者が来ないとでも言いたいのだろうか。
ダンジョンに来る冒険者は決して善の冒険者であるとは限らないだろう。俺を害そうとする存在の可能性もある。
これで完全に準備は終わった。明日からダンジョンマスターとしての本当の1日目が始まる。
ダンジョンマスターの部屋に転移し、ベッドに横たわって明日を待つのだった。
明日は念願の四日目。冒険者見習いがダンジョンへ訪れます。