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2章 12話 五国五種族

遅くなりましたが、この世界の話第一弾です。

ヒルダがサトルにこの世界の話をしてくれます。


食事を終えたヒルダはレオンと一緒に部屋に戻って来ていた。

この宿屋は王都や領都の宿と比べると大したことはないが、それでも質の良い食事ができるため重宝している。

サトルと部屋の前で会った時からずっとレオンと一緒に行動しているため、今まで自由に行動する時間がなかった。部屋に戻ったレオンは領主であり父親であるヴィムに送る手紙を書くためテーブルに向かっている。ヒルダは今のうちに、と部屋を抜け出すことにした。

手紙の内容に集中しているレオンはヒルダが出て行ったのにも気づかなかった。仮に気づいたとしても、手紙を書いている間なら問題ないと判断したに違いない。


とりあえず、1階からしらみつぶしに探すことにした。

階段を下りて1階に行くと、宿の店主がカウンターにいた。一人で歩いているヒルダを気にして近づいてくる。


「ヒルダ様。いかがされましたか?」


「いえ、昼に少し失礼をしてしまった相手がいまして。

 軽く声でもかけようと思ったのです」


昼間の一件を持ちだして、相手を探していると言えば深く追及はされまいと思い、伝える。

店主はそれを聞いてそれ以上追及はしてこなかった。


「そうですか、見つかるといいですね」


そうですね。と返して店主の前を失礼する。

この宿の一階は食堂と、受付、そして小さいが待合所兼用のくつろぐ部屋がある。

まずは待合所に向かうが、流石にこの時間は使われていない様子で誰もいなかった。

次に食堂に向かう。

食堂に入ると、店員がすぐに近づいてきた。


「どなたかと待ち合わせをされてますでしょうか」


夕食後の食堂など貴族の女性が一人で来る場所ではないため、店員は誰かとの待ち合わせと判断し聞いてくる。

すぐには答えず、食堂内を見渡すと一番奥のテーブルに座ったサトルが軽く手を挙げているのが目に入った。


「奥のテーブルの方とです」


「わかりました。飲み物は何かお持ちしますか?」


「では、果実酒をできるだけ薄めたものを」


「すぐにお持ちします」


店員が厨房の方へ戻ったので、ヒルダはサトルのテーブルに向かった。


「お兄さんからようやく抜け出せてきたのか?」


サトルの服装は、以前ダンジョンで会った時とは上下が反対の色に変わったものだった。

しかし、以前の服と遜色ない装飾のシャツに上級貴族らしさを感じる。


「そうなの! 何かと一緒にいようしてくるの。

 今も、もの書き中の兄を尻目に部屋を脱出してきたところよ」


少しレオンの行動にうんざりしていたヒルダは、そう愚痴って向かい合う形で席に座る。

お互いに、今日は何をしていたと言う簡単な話をしていると店員が果実酒を持ってやってきた。

ヒルダの前に果実酒の入ったカップを置くと、ごゆっくりと言って去っていく。

カップを持つと、二人で軽く乾杯をした。カップは当てずにお互い軽く掲げるだけだ。

口に含んだ果実酒は、果実の甘さを残しつつ酔わないように薄めてあるのがわかった。


「ヒルダに大事な話がある」


ヒルダがカップをテーブルに戻した時だった。サトルが突然言ってきた。

大事な話だと改めて言わないといけないほどの話なのだろう、すごく真剣な顔でこちらを見ている。


「実は、俺はこの世界の人間ではない。

 他の世界からやってきたんだ」


サトルはそう言う。

ヒルダにとって他の世界と言う意味がわからない。サトルにすれば、SF小説やファンタジー小説が多いので当たり前のようにそういうものがあってもおかしくないと思っているが、この世界には小説は本当に数少ないし、ジャンルも限られているのだ。


「他の世界って何?」


ヒルダはキョトンとした顔で応える。

まさか他の世界と言う言葉に対して疑問を持つとは思われなかったのか、サトルは驚いていた。

しかし、驚いた顔はすぐ戻り淡々と話し始めた。


この国とは別に違う国があるように、この世界の隣や遠く離れた場所にも他の世界がある。

国と言う身近な礼を出されたおかげで、なんとなく理解できる。

サトルはその別の世界からやってきたと言う話なのだ。


「サトルはどうやって他の世界から

 この世界にやってきたの?」


ごく簡単な質問だ。しかしサトルは困ったように目を背けた。


「わからないんだ。

 まず俺は今の年齢でこの世界にやってきた。そして、来た時点で

 すでにダンジョンマスターだったんだ。

 ダンジョンマスターとして生きるには困らなかったから、旅なんて

 したことはない。

 俺の知ってるこの世界はあのダンジョンとこの村だけなんだ」


寂しそうにそう言うサトルにヒルダは教えてあげることにした。この世界に生きるものなら誰もが知っている5つの国のことを。

まずこの世界には5つの国があることを伝えた。

1つ目は今いる人の王国。王都ホーリィセントラルを中心に、北方、東方、西方、南方、それぞれにアイス、アース、ウィンド、ファイアの4つの名誉名を持つ貴族が治める領地がある。

この人の王国はこの世界の最も東にある。


次にドワーフの王国アンダーグランドエンパイアだ。200年生きていると言われるドワーフの皇帝が治める国で、人の王国の西側にある大山脈にある。国自体は山の鉱脈を掘りながら作られたもので、表には全く出ていないため他の種族のものが出入りできないようになっている。

鉱脈に恵まれた山脈が国なので、金属が豊富にあり鍛冶の産業が発達している。ドワーフによって作られた武器や防具は無骨だが、とても頑丈で価値が高い。

ドワーフ族は基本的に種族だけで生活しており、他の種族との関わりを持とうとしない。但し、若いドワーフや地底暮らしに飽きた変わり者のドワーフが国から出てきて、他の種族との接触を持つことがある。

実際人の王国にもドワーフが構えた鍛冶屋がたまにあったりする。王都や、北方の領都にもある。


三つ目はエルフの王国、ディープフォレストだ。ドワーフの国からちょうど真北にあって、人の国の西方、ウィンドの土地とも少しだけ領地が接している。国全てが光を遮る深い森に覆われているのが国名の由来だ。

エルフとドワーフは非常に仲が悪い。理由は至極簡単で、何から何まで正反対であるからだ。

ドワーフの体は小さめで、しかしとても筋肉質である。骨も太く、重い物を運んだりするのが容易で、ずんぐりした感じである。反対にエルフは男女共に背が高く全体的にほっそりしている。体格的に近接戦闘が向かず、弓や魔術での戦いを得意としている。

エルフの国で最も発達している産業は装飾である。木彫り石彫り宝飾と、種類は問わない。エルフの王都にある城は、エルフの装飾師達が人生を費やしたと言われるほど凝っており、美しいと言われている。またその装飾には魔法の効果が宿ると言われており、魔法武器、魔法防具と言ったものがエルフの国から人の国に入ることもある。

ドワーフと同じで他の種族との接触はほとんどなく、何か目的を持ったエルフが稀に森から出てくることがある。

その際はエルフであることを隠すために、全身をローブで覆っているとのことだ。エルフでなくても冒険者にはそう言った者もいるため、そこまで不審がられたりすることはない。


4つ目は獣人の王国エルドラド。ドワーフの国の真南に位置している。

豊沃な湿地帯を主な生活場所としており、作物や動物の飼育等がとても盛んである。

獣人族は様々な動物を模した姿となっているが、動物と人間との入り混じり方で呼ばれ方や派閥が異なる。

まず、ほとんど動物の姿で服を着て言葉を発し二足歩行するようになったトゥルー。体のどこかに満月を模した痣がある。野性味があり、知能は獣人族の中では低めであるが動物の能力をふんだんに受け継いでいる。

次にデミ。目,耳,鼻などに動物の特徴が表れていて、またトゥルーほとではないが体毛がある。体のどこかに半月を模した痣がある。知能は獣人族の中では普通。

そしてクォータ。体の一部のみに動物としての能力を宿している。特徴が顔に現れない限り、ほとんど人族と同じに見える。三日月を模した痣が体のどこかにあり、知能は獣人族の中で最も高い。

獣人族は全般的に他種族との関わり合いは強めである。特に武闘系のイベントになると多くの獣人族が詰め寄る。

人族の騎士で行われる騎士の選抜戦等にも参加をしたいと言う者が現れるほど戦闘に対してただならぬ意識の高さがある。この村にはいないが、冒険者としてもかなりの実力を持ち参加している者もいるらしい。


最後が魔族の王国ホライゾンである。

魔族の国でわかっていることは、ドワーフの国の西側にあるが山脈から見える範囲には何もない。

よってついた名前がホライゾンである。

魔族はここ1000年の間、世に出てきていない。もしかしたら出てきているのかもしれないが、そういう情報は露出していない。

1000年前に出てきたと言うのは、この世界でもおとぎ話になっている各種族の戦争に出てきたのだ。

1000年前の戦争は原因不明で、各種族が全て敵対する形で各地で戦争が行われていた。

5つの種族の関りが薄いのはこの戦争が原因である。

なお、魔族はその戦争後見かけることがなくなってしまった。


ヒルダはそこまで話すと喉が渇いて果実酒で潤す。

サトルはヒルダの話を聞いて深く考えているようで、顎に手を当てている。


「どうしたの?」


サトルが何を考えているのがわからず、思わずヒルダは聞く。


「俺がいた世界には人族しかいなかったから、

 他の種族を見てみたいなと。

 どうしたら会えるのかと思っていたんだ」


「なら、レイアムにおいでよ。

 レイアムならエルフも、ドワーフも、獣人もいるよ。

 魔族は流石にいないけどね……」


サトルはヒルダに北方の領都レイアムに来ることを誘われた。


事前にまとめていたことを小説としてまとめるのに少し時間がかかりました。

(朝→昼までやってた)

なお、書きまとめている最中に面白いことを考えてネタとして盛り込むことにしました。

後日書くので気づかれたら、すごいなと思います。


ちなみに、名誉名のアイス,アース,ウィンド,ファイアは・・もしかしたら気づいた人もいるかもしれませんが、海外の有名なアーティストさんをネタとさせてもらいました。

使っても全くおかしくもなかったので。

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