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1章 44話 不備

今回少しだけ短いですが、投稿します。

続いてもう一話投稿……しようと思ってます。

(時間が許せば)


ベッドで目を覚ますと、シスが自身のベッドの上で俺のシャツを縫ってくれているところだった。

いつもなら俺を起こしてくれるのだが、今日は違った。


「サトル様、起こす前に起きてしまわれましたね。

 起こすのが遅くなり申し訳ありません」


シャツを縫うのを止めて謝ってくる。俺が起きている時間は俺に付き添い、寝て起きるまでの間の時間を使って、こうやって俺のためのシャツを縫ってくれていると思うと、謝る必要などないのだけど……。


「いつもシスにはいつも感謝しているよ。

 気にしないで欲しいどころか、感謝のあまりこちらが

 シスのために何かしないといけないほどだよ」


そう言うと、もったいない言葉です。ともう一度礼をされてしまう。

今縫っていたシャツはちょうど終えたところらしく、寝起きの俺にシャツとズボンを渡してきた。


「前のシャツとズボンはこちらで預かります。

 明日までにキレイにしておきますね」


俺が着替えた際に脱いだ服を受け取って、どうやったのかわからないが視界から消した。

不思議で仕方ないが、これを探ろうとすると乙女の秘密を……と言われかねないので忘れることにした。


今回シスが縫ってくれたシャツは前回とは色が正反対で黒いシャツだった。

同様にズボンの方は白色の綿で作られている。

俺の体のサイズを測ったわけではないのに、非常にマッチしたもの作る。今回も、ゆるくなく、かといって締まりすぎもしないと言った絶妙な状態に出来上がっていた。


「サトル様、今朝も凛々しくあられます」


美人メイドにそう言われると、やはり少しいい気分になる。おかげで、意識的にいつもより上品に朝食を食べたと思う。

朝食を食べ終えていつもの通り1-Dに向かう。いつもたくさんいるコボルトが今日は少ない。すでに1隊が1-Aまで巡回に向かっているのだとわかる。

俺の姿を見つけ、リーダーとキングだけが近寄って来た。


俺、シス、リーダー、キングの四人で毎度の騎士達を迎え撃つ打ち合わせを開始する。今日話すのは最後の仕上げについてだ。

モンスターの召喚は残すところ後オーガ8匹。

ダンジョンの作成で残っているのは、聖騎士を落とすための落とし穴と、その先にある部屋の作成。そして1-Dに繋げるオーガ達を待機させる部屋だ。

今朝食事まで済ませた時点で残りのポイントは346であり、必要なポイントはオーガ8匹が160、落とし穴が50、部屋の作成で15、そして通路で5で、合計240である。100近い余裕まである。

じゃあ、召喚から……と思った瞬間、シスが前に出てきた。


「サトル様、騎士達がダンジョンを攻めてきました」


俺達は全員驚いた。相手がいつ動くかが確定していなかったので、確かに今日現れたとしてもおかしくはなかったのだけど、前回ダンジョンに訪れた時間は昼前だったので、今回も昼に訪れると勝手に思っていたのだ。


前回、前々回とダンジョンに冒険者、騎士が来るタイミングを村で確認していたのにも関わらず、今回それを完全に怠っていたのが失敗だった。

騎士達がまだ領に戻らず村にとどまりダンジョンに再度攻めて来る、と言う情報だけで満足してしまったことを今になって悔しく思い、唇を少し強く噛む。

しかしすでに騎士たちは攻めてきているので、いつまでもミスに捉われているわけにもいかないのでマップで騎士達の居場所を確認する。騎士達はまだ1-Aに入ってきたばかりだった。

前回同様、今回も牛歩戦術のようだ。一度調査したダンジョンだからと言って、一気に1-Dまで攻めて来るような短慮なことはしないのは流石だと思う。


正直騎士たちのその行動に助けられた。時間的猶予が生まれたので、すぐ思考を切り替える。

まず1-Dの真下に部屋を作成する。この部屋を2-Aとする。その後、1-Dから2-Aへと繋がる落とし穴を作成。この落とし穴の場所は、コボルト達が隠れる落とし穴の端にする。コボルトたちが隠れている穴だと思わせることで、ここに下の階まで続くような落とし穴があるようには思われないはずだ。

しかしコボルトが潜む穴の端に作ってしまったため、リーダーに話してコボルト達に落ちないように伝えてもらった。

また、キングにも落とし穴の位置を目で確認してもらい、奥の手発動時にはこの落とし穴に聖騎士を落すように伝える。

キングは緊張した面持ちで黙って頷いた。普段は豪快であるのだが聖騎士と言う強い人間相手になると緊張までしてしまうらしい。


続いてオーガ達の待機部屋を1-Dの隣に作成し、通路で1-Dと繋げておく。

キング達にこの待機部屋1-Eに移動してもらうと、すぐに残りのオーガ10体を召喚した。時間がないので、オーガのことはキングに任せることにした。

1-Dに戻るとリーダーはすでに準備が出来ていて、こちらに向かって黙って頷いた。

演習を数度こなしたからか、急に騎士たちに侵入された割にコボルト達にはそこまでの動揺等は見られない。


後は任せたぞ。とリーダーに伝え、俺はダンジョンマスターの部屋に戻った。


サトルの残りのポイント106。

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