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1章 3話 モンスターの食料事情

RPGやるときに、主人公たちはご飯食べなくて平気なのかな?って思ったことありませんか。

自分の好きな古いゲームで、食事と水の摂取をしないと持ち物を持てなくなったり、ダメージを受け続けて死んでしまうゲームがあります。個人的にそういう現実的なゲームは好きです。


体がだるい、首が痛い、疲れが取れていない。

柔らかいベッド、布団、枕に慣れてしまえばこうなるのは当然か、と朝起きて最初に思った。

ベッドから起きて体を捻るなどして動かし、凝りを少しでも取り除くことに懸命になった。

その後昨日も食べた不味いクッキーと水を再度作成し、憂鬱な気持ちで朝食をこなした。そこで、気づくことがあった。

 

「あれ?手の傷の跡がない。

 服が昨日と違う?!」


昔深く傷つけてしまい痣になっていた箇所が、傷などなかったかのようにキレイになっていた。

他にも手や足の大きさも小さくなっている。そして服装までも昨日と違う服に替わっていた。


『サトル様、お伝え忘れたことがありました。』


自分の姿に驚いていたサトルにシスの声が聞こえた。

急に脳内にシスの声が響き、驚いてしまった。


「シス?!」


『創造神様からの言伝があります。

 今サトル様は16歳のお姿になっています。

 少しでも新鮮な気持ちでこの世界を楽しんで頂くための

 計らいだそうです。

 また、服についてはこの世界で馴染んで頂かなくては

 ならないので、現代における服をこの世界の同等の価値の

 物にしたそうです」


怪我は高校の部活の時の危険なプレイで残ったものだったから、16歳に戻ったのであればまだついてなかった傷だ。

服についてはそれほど安い服を着ていなかったおかげか、この世界でも高すぎもしないが安すぎもしないと言う感じの服になっている。

靴は動物の皮をなめした物にしっかりと油をなじませ、その後に縫い合わせた物だ。ズボンは麻の原色のままの布を2枚縫い合わせたものに、同じく麻の原色のままの布でできた紐をベルト代わりにしたもの。服も同じく麻の原色のままの布を縫い合わせたシャツ、そして動物の毛皮でできたベストになっていた。


『着てた服や靴が安物でしたら、目も当てられない格好に

 なっていたでしょう。歩くたびに足が痛くなるような

 粗悪品を身に着けていたかもしれません』


声しか聞こえないが、俺を可哀そうと思っている感情が声にのって感じられる。


「それにしてもひどくないか……現代からの転生者には

 厳しすぎるぞ。ペナルティかと思うくらいだ。

 食べ物なんて現代の底辺ランクだぞ」


食べ物も服もあまりにひどく、シスに少し愚痴をこぼした。


『サトル様。

 ダンジョンマスターにはレベルがあります。

 20日もダンジョンマスターを続ければ、

 レベルは2に上がり作成できる食べ物のランクも

 上がります。服も作成できるようになります。

 ゆくゆくはあなたがおられた世界と同等、

 それ以上の生活をすることも可能なのです』


シスの話を聞いて、レベル2に上がれば救いがありそうなことはわかるが、現代と遜色ない生活をするためにはレベルをいくつまで上げればいいのか、考えただけでも頭が痛くなりそうだった。

そしてまだレベル2に上がる方法もわかっていない。

通常のRPGはモンスターを倒す側だから、ひたすらモンスターを倒してレベル上げをすればいいんだろうけど、ダンジョンマスターが自分で召喚したモンスターを倒すとは思えない。


「なあ、どうすればレベル2に上がるんだ」


『ダンジョンマスターとしての経験を積めばいいのです。

 冒険者の侵入、冒険者に倒されたモンスターの数、

 その他冒険者関連で得ることのできる経験値を元に、

 ダンジョンマスターのレベルが上がります。

 ですから、ダンジョンの完成を優先させてください』


シスはそれだけ言うと消えたようだ。


「侵入って、冒険者は空き巣か何かかよ……」


未だいいことが全くない。将来性があることだけはわかった。

朝から落ち込んでいても仕方がないので、昨日召喚したモンスターを見るために転移した。




(スライムが昨日より小さい?)


真っ先にそう思った。

部屋にいたスライムは3匹とも元の半分くらいの大きさになっていた。

見渡せば部屋にいるゴブリンも昨日に比べると動きが遅い。


「データ!」


データの機能を使い調べてみる。


モンスター名:スライム

HP:J級 MP:無 攻撃力:J級 防御力:J級 魔力:無 状態:減水


モンスター名:ゴブリン

HP:J級 MP:無 攻撃力:J級 防御力:J級 魔力:無 状態:空腹


初めて見るモンスターのステータス画面だったが、そこに表示されたものを見てわかった。スライムは水源がないため徐々に乾燥し、水分を減らし小さくなっていた。ゴブリンは食べる物がなく腹を空かせていたのだ。

クッキーを作成しゴブリンに与えてみるが、ゴブリンはクッキーを手に取ろうとはしなかった。またもや困ってシスを呼んだ。


「ゴブリンが空腹の状態なのにクッキーを

 食べないんだが」


『サトル様。

 ゴブリンは食べるものは決まっています。

 獣の肉かゴブリンズマッシュと呼ばれる、

 見た目と味がひどく悪いきのこ。そして、

 ワイルドアップルと呼ばれる野生のりんごです。

 獣の肉を与えたければモンスター召喚で、

 ラット等を召喚してください。ゴブリン達が勝手に

 食べるでしょう。

 ゴブリンズマッシュは地形作成で創ることが可能です。

 ゴブリンの飲み水やスライムの水分確保のために

 水辺も作成してあげてくださいね?

 スライムは動くときに水分を減らしますから。

 召喚の際にモンスターのアイコンから情報を見ることが

 できるので、今後は参考にしてください』


「ダンジョンのモンスターは食べ物まで管理しないと

 いけないのか?勝手に生き続けられないのか。」


『モンスターを含めた全ての生き物は、

 生きることで何かを消費しています。

 ダンジョンの中には微弱に発生している魔素と

 地形から発生するコケ等しかありません。

 モンスターによってはそれらを摂取して生きて

 いけるものもおりますが、そんなモンスターは

 ごくわずかです。

 ゴブリンであれば飲食物、スライムであれば

 水が必要になります。

 ダンジョン内でモンスターが生きていくための

 生活環境も整えるのがダンジョンマスターなんですよ』


やることが思った以上に細かく愕然となる。これはゲームではなくて現実となんら変わりない。


「とりあえず、ゴブリンとスライムについてはわかったよ」


『最初に私の説明を飛ばすからですよ。

 大事なことを億劫がる性格を今世では直した方が

 いいと思いますよ』


急に日本で生きてた時のことを言われ、シスに向かって思わず叫んでしまった。 


「うるさい!消えろ!」


図星を突かれたためイライラした気持ちを感じてしまった。

気持ちはまだ収まっていないが、スライムとゴブリンには湿地と水辺が急いで必要だ。

編集からゴブリンズマッシュと水辺の地形を作成することにした。

昨日使った分は、スライムとゴブリンで6ポイント。クッキーで1ポイント。

初期は30ポイントあって、残存23ポイント。

朝30ポイント補充されていて、早速クッキーで2ポイント使った。

つまり、現在51ポイント残っている。


薄汚れた泉(5ポイント)とゴブリンズマッシュの地形(5ポイント)を壁近くに作った。緑色の混じった汚れた泉と、紫色した毒きのこのようなものが生えた湿った土のエリアが出現した。

ゴブリンとスライムがすぐさま汚れた泉に向かう。ゴブリンはまず泉の水を手で掬って飲み、その後湿地帯に生えているきのこを掴んでは2~3本食べていた。

スライムは水辺に向かってゆっくり移動している。もう少し経てば泉に入っているだろう。これでひとまず安心だ。



ゴブリンズマッシュって自分で作りだした言葉(多分)なんですけど、ほんとに名前からして美味しそうなイメージが想像できませんね!そんなあたかも不味そうなものを創りあげた自分をほめてあげたいです。

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