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1章 38話 貴族然

6時過ぎたけどなんとか7時前には投稿です!

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20180212

改行を36行制限から自動改行に変更しました。

これで少しは読みやすくなるかと思います。


酌婦に腕を取られて、二階へ行こうと言う誘いに今日は乗ろうとしていた。

そんな風に考えてサトルが立ち上がったとき、大きな音を立てて開かれたドアに驚いた。

反射的にそちらの方を見ると、そこに一人の人がいるのがわかる。

道場破りならぬ酒場破りか等とくだらないことを考えていると、その人物が口を開いた。


「この泥棒猫があああああああああああ!!!!!!!」


シスだった。

怒りの表情でこちらを見ている。いや、正しくは酌婦の方を見ている。

酌婦は急に現れた人物の怒りの対象が自分であることをなんとなく察すると、なぜこのようなことになったのかわからずに慌てていた。

二人は完全に他人であるのだから、当然だろう。

シスが怒りの表情のまま店に入ってくると、店内の明かりでシスがメイドの恰好をしているのがだんだん見えてきた。そのままサトル達の方に近づいてくる。

シスが近づく度にプレッシャーを感じたのか、酌婦はだんだん腕を組む力を弱めていき、終いには腕を下ろしてしまった。

酌婦がサトルから離れた後、シスが間に割って入ってサトルを遠ざける。


「サトル様、帰りますよ!」


サトルの背中を押して店から出て行こうとするシスのプレッシャーに押されながら、なんとかサトルは口を開いた。


「ま、待てシス。支払いをしてからだ・・。」


カウンターに今日の料金と、心ばかりの詫び料を置く。

さっきまで騒がしかった店内が、シスの登場によってみんな静かになってしまっているのだ。これくらいはしないといけないだろう。


サトルが料金を支払うと、シスはサトルを店から追い出す。店のドアから出る前に酌婦の方を見て、あっかんべーをして再度ドアを強く締めた。

普段の真面目な態度とは違ってなんと子供じみていることだろうか。

帰り道、二人とも無言で歩く。シスがサトルの一歩前をライトで照らす。


サトルは先ほどのシスの態度の理由を聞くために、シスに話しかけた。


「シス、どうしたんだ。らしくないぞ。」


サトルの発言に一切反応せず、シスはずっと黙っている。

自称メイドを口にするこの少女にしてはらしくなさすぎる態度である。

それ以上サトルは何も言えずに歩き続け、とうとう宿屋についた。

そのまま3階へ上がると、シスが部屋の鍵を開けたので中へ入る。


シスがライトを部屋の天井へ放ち部屋が明るくなると、サトルのベッドの上に綿で作られた白いシャツと黒いズボン、革のブーツがあるのがわかった。

シャツを広げてみると、ただのシャツではなくボタンの掛け合わせの部分に目立ちすぎない程度のフリルがついていたり、腕の部分や腰回りの部分に絞りがついていてスマートに見えるようになっている。また袖口も広くなっていて、腕に窮屈さを感じさせない工夫まである。

ズボンはこれと言って意匠がほどこされているわけではないが、腰の部分を止めるための腰ひもは白い布が使われていて、更に両端が重ね縫いがされておらず広げてあり、結ぶと上品なリボンになるような仕組みでとても上品だ。

ブーツに至っては購入した時はとても地味なものだったが、返しがつけられ、履き易い様に紐で結ぶ形に変えられていた。

サトルが酒場で情報収集をしている間、シスはこれらの服、靴をサトルのために作っていたのだ。

それを知り、情報だけでなくあわよくば・・・と酌婦と同衾しようとしていた自分が少し恥ずかしくなった。

シスに向き直ると、シスは不安そうに下を向いていた。シス、と一声かけて抱き寄せ、頭をなでながら小さな声でありがとう。と言うと、シスは体をサトルに預けてきた。そして、私はサトル様のメイドですから当然です。と返される。先ほどまで緊張していた空気もなくなった。

少しの間そうしていると、さっきまでお互い無口だったのが嘘のようで、シスの緊張も解けてきたのがわかった。


「さて、じゃあ今日はもう寝るか。」


サトルがシスを抱きしめるのをやめてそう言う。

ベッドの上に置いてあった服をテーブルの上に置き、ベッドに入ろうとするとシスもついてきた。以前と同じように一緒に寝ようとしているのかもしれない。


「ダメだ。ベッドは別々だ。」


手を前に出し制止を示してそう言うと、シスは口を尖らせる。


「サトル様のいけずぅ・・。」


シスが呟くが、サトルは聞き入れない。それはそれ、これはこれ。である。

仕方なくシスは自身のベッドに戻ってライトを消し、寝るのであった。


翌日、シスの声で目覚める。


「サトル様、おはようございます。

 今日は服をお着換えになって下さい。」


ベッドから出ると、すでに部屋の中にはお湯の入ったタライがあり、レンの実も準備されていた。


「サトル様の支度をお手伝いさせて頂きます。

 体を拭きますので、服を脱いで下さい。」


サトルはまだぼーっとしており、シスの言うままに服を脱いでいると、お湯で濡らした布の端切れでシスが体を拭いてくれる。

体を一通り拭き終えると、今度は頭を簡単に洗ってくれる。洗ってくれている間に、だんだん目が冴えてきたサトルは今の自身の状態に気づき少し恥ずかしくなった。

シスの手が止まったので立ち上がると、昨日の服と靴をシスが差しだしてくる。

それを受け取り身に着ける。今まで着ていた服や靴の感触との違いに体が少し驚く。元々着ていた服と似たようなものなのに、ここ数日でこの感触を完全に忘れてしまっていたが、肌触りがなめらかでとても心地よい。

全て身に着け終えるとシスに椅子に座ってくださいと言われる。

椅子に座ると手に油のようなものを垂らしたしすが背後に立ち、髪の毛を整えてくれた。香りがいいので、おそらく香油か何かだろう。お湯の入ったタライと言い、香油と言い、これらもシスが事前に準備してくれたものだとわかると、改めて昨日のことに謝罪と感謝を心の中でする。


髪の毛を整え終わったシスがサトルの前に来て、改めて姿を確認すると満面の笑顔になり、


「サトル様素敵です。どこから見ても、上品な貴族です。」


そう褒めてくれる。

鏡がないのでわからないが、あのような服を仕立ててくれるシスがそう言うのだから間違いはないのだろう。


「よし、朝食を食べに食堂へ行くぞ。」


サトルがそう言って麻の鞄を肩に掛けると、急に現れたアンマッチさにシスが顔をしかめた。

これは帰りにまた革製品の店に立ち寄る必要がありそうだ・・。

そう思いながら、サトルは食堂に向かった。


服の描写が難しいです・・・。

ボキャブラリーの貧困な自分にとって、とても大変な作業でした。

1時間くらい、参考の画像をずっと眺めながらひたすら言葉を

選ぶ・・・。

皆さんどうやって表現してるんだああああ・・・・。

あ、もしかしてそこまで表現してないのかも?


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