1章 27話 迎撃態勢
~あらすじ~
村で騎士団の数と騎士団の訪れるだろう日を知ったサトルは
ダンジョンに急いで戻り準備を始める。
残存ポイントは現時点で206ある。6ポイントは夜の食事として残さなければならないため、使用できるポイントは200だ。
まず、当初の予定通りの召喚を行う。
現在足りてないモンスターは、ランサー4,シャーマン1,オーガ2,ダンジョンウルフ2である。
オーガは今回初めて召喚することになるため、どのような姿なのかが未だわからない。召喚によってポイントが消費され、残り70。
光の中から2mを優に超える姿が現れた。
肌は緑色、黄土色の布を蔓を結ったもので肌がはだけないように止めている。手には太い木の幹でできた棍棒がある。この棍棒を剣で受け止めようものなら、相当な名剣でない限りその場で折れてしまうだろう。
ロードがオーガに近づいて指示を出していく。オーガはゴブリンと共生することもあるらしいから、ロードの指示を聞いてくれるのだろう。もしくは、オーガ種族だけで生きていくのはつらい理由があるのかもしれない。
ロードが近づいて話しかけてきた。
「すいやせんが、ラットを召喚してくれやせんかね。
こいつら、肉食なんで食うものがないみたいで」
なるほど、と納得する。
ラットを8匹召喚して、必要な時はまた改めてロードが伝えてくれることになった。残り62ポイント。
召喚も終わったことで俺がやれることはほぼ終わった。
最後にもう一度ロードと作戦のすり合わせをする。
前回冒険者に使った罠は効果的であったので、今回もまた使用することになった。
モンスターパーティの1つを1-Bに配置することにし、ゴブリン2匹を情報伝達のために1-Aと1-Bを行き来させて、騎士を見つけたらすぐ1-Bに戻らせることにした。同じように、1-Cにも1パーティ配置する。ゴブリンを1-Bと行き来させて情報伝達。そして1-Dにロード達のメインパーティが
配置され、同じように1-Cとの情報伝達を行う。
ロードは前回の罠を最も有効に活用するため、1-Cの罠近くに配置になった。
時間をかけてじっくりとダンジョンでの戦い方を話し合って、現時点で最も満足いく状態に仕上げられたと思う。
ポイントやダンジョンマスターとしてのレベルの関係もあって、これ以上を望むべくもない。
追加で雀の涙ほどの効果を期待して、1-A、1-Bにウッドアローの罠をしかけることにした。
1-Aに2箇所、1-Cに2箇所の合計4個所だ。今回は相当警戒して挑まれるだろうから、無意味になるかもしれないが、無駄に警戒して慎重すぎる行動をしてくれるかもしれないことを望む。これで残りのポイントは32。もうできることはなくなったに等しい。
ダンジョンからはわからないがもうすでに夕暮れであり、その日は騎士団は訪れないと判断して警戒態勢を解くことにした。また明日の朝から開始だ。
ロードにまた明日頼むと伝え、ダンジョンマスターの部屋に戻った。
俺は自分が戦うわけでもないのに、騎士団と言うまだ見ぬ存在に緊張しており戦いになるのは明日だと決定しているのに腕が小刻みに震えていた。
食事をとり、葡萄酒のアルコールが体に染みていくと自然と震えも止まった。震えが止まったのはアルコールの効果と言う一時的なものなので、また明日には震えが起きるだろうかと不安にもなった。
その日は久しぶりに夢を見た。
子供の頃、運動会前日に緊張しすぎていたこと。また、当日緊張をしていたせいで上手く走れず転びはしなかったものの、態勢を崩したことも相まって良い順位が取れなかったこと。とても悔しかったこと……。
次に日起きて、すぐに食事をとる。ポイントの補充も入れると残りは122だ。
1-Dに行くと、ロードが準備をして待っていた。
「ロード、今日は頼んだよ。
俺は戦いには関われないからさ、お前だけが頼みだ」
「ここは旦那が苦労して作ったダンジョンで、
俺は今ここのボスですぜ。
旦那に恥かかせるような真似だけはしやせん!」
気合の入った言葉を聞けて少し安心した。今朝になるとまた腕の震えが戻ってきたので、後ろ手にして隠している。
その後、ロードはモンスター全部を1-Dに集めた。
「お前ら! 今日はこのダンジョンで最も苛烈な戦いとなる。
旦那が常に俺たちを見ていてくれている。安心して戦え!
騎士を撃退して旦那が作った俺たちの強さを知らしめるぞ!」
「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」」」」
ロードが鼓舞をすると、それに応じてモンスター全員が唸り声をあげる。
モンスターの数は合計で36、ダンジョンの部屋の中で反響してもっと多くの数が叫んでいるように大きく聞こえた。
次回、騎士との開戦です。
ダンジョンって入ってるのになかなか戦闘がなくて本当にすいません。
明日は個人的にも書くのが楽しみなのです。
(今日の夜かもですが)




