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1章 17話 続ダンジョンの強化

前回、1章16話だったのを間違えて17話と書いてしまいました。

その影響で自分で書いてる内容も混乱があり・・・と言う結果、投稿が遅くなりました。



朝目が覚めると、ダンジョンマスターの部屋の天井ではなかった。二回目の経験だ。

まだ異世界にきてからどれほども経っていないが、ダンジョンマスターの部屋の天井とは違うと思うことが基準にある時点で異世界に慣れてきているのがわかった。

朝食をとるために1階の食堂に向かう。まだ朝も早く食堂にはほとんど人がいなかった。

カウンターに座ると、店主が厨房から出てきて話しかけてきた。


「おはようさん。昨日はどうだったかい?」


どうとはもちろん居酒屋での情報収集のことだろう。

情報収集をするのにいい冒険者を教えてもらったりして、居酒屋の店主に助けてもらった旨を伝えると店主は我がごとのように喜んでいた。


「あの野郎とは子供の時からの知り合いでよ。

 お互い関連する仕事をしてることもあって、

 互いに客を紹介してんのよ」


「本当にいい人を紹介してもらったよ。

 ありがとう」


改めて店主に感謝をすると、照れていた。

朝食だろ、今持ってくるからよ。と銅貨を受け取る前に厨房に引っ込んでしまった。間違いなく照れ隠しだ。仕方がないので、トレイを持ってきた時に渡すことにしてテーブルの上に銅貨を準備した。

少ししてから朝食のトレイを持ってきたのは店主ではなく、小間使いの少女だった。店主はまだ照れが終わってないのか?と思うが、どうしようもないので店主に渡してくれるよう頼んで銅貨を渡した。

朝食のメニューは前回と同じだった。唯一違ったのはベーコンがないくらい。

しかし、ベーコンがないだけとは言ってもダンジョンで食べるライ麦パンだけの食事よりもずっと美味しい。


食事も終わったので、部屋に戻って出発の準備を済ませもう一度1階に降りてきた。店主が今度はカウンターにいたので、鍵を渡して発つ旨を伝える。


「そうか、もう行っちまうのか。

 何してるのかわからねえが、この村で何かしてるんなら

 またすぐに会えるよな。また来いよ。

 次は、また新しいことを教えてやるからよ」


店主にそう言われ、俺は手を振って足早に宿屋を出た。

少しでも早くダンジョンに戻りたい気持ちが足を速く動かした。

前回同様、正門へ行き村を出る馬車の後について門を出る。

その後、門が見えなくなったタイミングで道を外れ、ダンジョンに戻った。


ダンジョンに戻ると、真っ先に声をかけてきたのはゴブリンロードだった。

本日の朝に戻ることを伝えていたから、待っていたんだと思う。


「マスターお帰りなせい。

 村での情報収集はばっちりですか?」


俺はロードの問いにニヤっと笑って応えた。情報はバッチリだ。

早速村で得た情報をロードに伝える。

今度ダンジョンを訪れる冒険者パーティは4人組で、短剣使いのレンジャーがリーダー。癒しと攻撃の魔法が使える女魔法使い、巨漢の斧使いの戦士、そして三人の役割を少しずつこなせる万能な弓使い。

下級冒険者であるが実力的には中級と言ってもおかしくない。

とても素行が悪く、下手をすると殺人をしているかもしれないと言う噂の類までロードに伝えた。

全て伝え終わった後でロードの顔を見ると、流石にゴブリンの顔から感情を読み取ることはできなかったがまずそうな雰囲気を感じた。


「随分とまずそうな奴らですね……

 まあ、なんともならないことはありはしやせんがね」


「やばいやつらが来るとわかったから急いで

 戻ってきたんだけど、なんとかなりそうなの?」


「いけますぜ。

 万が一のことまで考えて準備を始めていましたからね。

 勝負は明日でしょう」


俺が村で情報収集をしてる間にロードは何かをしていたようだ。

ロードの作戦を共有するためロードに作戦について聞く。


「ロードの作戦を教えてよ」


「作戦って言ったってそんな大したもんじゃ

 ありませんが、一応言うと……その冒険者たちを焦らせて、

 罠にかけるんでさ。

 罠にかかったら、みんなで周りから攻撃する。

 とまあこんだけのことで」


「具体的には?」


「できれば1-Bの部屋から更に続く1-Cを

 作ってもらいやす。その1-Cの入口に罠をしかけ、

 そこにハマるように仕掛けやす。ゴブリン以外の

 メンバーはそこで待機して、罠にハマったタイミングで

 襲いかかるって言うすんぽうで」


1-Cまで作ろうとするとポイントが足りない。それを考えた上で勝負は明日と言ってるんだとわかる。


「しかし、相手は斥候役のレンジャーもいるんだ。

 そう簡単に罠にはかかるとは思えないぞ?」


「ええもちろんで。なので、1-A,1-Bの地面に

 1日かけて仕込みをしやした。

 泉の水を撒いてぬかるみにしてやす。

 ついでに、地面は凹凸を結構つけたので、

 冒険者はそれだけで歩きにくくて気分を

 害するでしょうな」


俺はまだダンジョンの入口にいたので気づけなかったが、確かに1-Aの部屋は地面がぬかるんでいた。


「これだけ?」


「いいえ、違いやすぜ。ゴブリンどもにも仕込んでやす。

 冒険者がきたら泥や汚物をぶつけろと。

 魔素から作られてるモンスターは強者に対する恐怖ってもんが

 ありやせんからね。だからできる作戦ってのもありやすが」


ゴブリンは下級のモンスターなので、そのゴブリンに下手な真似をされればプライドが高い冒険者であれば血が上るかもしれない。


「ここまで徹底するなら、やる価値はありそうだね……」


納得してそう言うと、更に追加で告げられた。


「明日朝一で宝箱の中身も全部回収しておいてくださいな。

 苦労して見つけた宝箱が空ってのも、 少しは

 効くでしょうから」


出来ることは全てやる、と言ったロードの発言に感嘆した。

宝箱の中身は是非朝一で回収することにする。


「とりあえず召喚をするよ。

 ランサー2とシャーマン1でいいね?」


ポイントを使うのはモンスターの召喚と部屋作成のみで、かつ部屋の作成は明日に持ち越しのため、召喚をすべく準備をした。

数の確認をロードにすると、できればゴブリンも少々と言われたので頷いておいた。

召喚の一覧から召喚モンスターを選び、ランサー2とシャーマン1、ゴブリンを2召喚する。

召喚の光の中からが現れるとロードは早速近づいて指示を飛ばしていた。

ポイントの残りは14。例によって夜の食事で3ポイント使うので、後使えるのは11ポイントだ。しかし、今日はもうこれ以上使うことはないだろう。


召喚が終わった俺は、ロードが1-A,1-Bに行ったことの様子を見るついでに宝箱の中身を回収しにいく。先ほどロードが言っていたように、地面に凸凹ができていて足元を見ずに歩くと足をとられそうなことがよくわかった。

ヒカリゴケを削って明かりを減らしておけば、足元が更に見えなくなりなお有効だ。その上ゴブリンの体に泥をまぶしてかがんでおけば、光を直接当てられない限り気づけない。流石にここまではやらないようだった。

1-Bに移動すると、ところどころにワイルドアップの枝が刺さっていた。

当のワイルドアップルの木は枝を折られたため葉がなく、枯れた木のようになっていた。

これはよく考えられている。視線を動かす度に地面に刺さった枝がいちいち視界に入ってくるため、意識が強制的にそちらに向けられてしまう。

歩きながらそれを実体験させられ、時には転びそうになりながら宝箱へ向かう。

宝箱を開けると、今回は最下級ポーションと銅貨10枚が入っていた。それを全て鞄の中に入れて1-Aの部屋に戻る。

ロードがゴブリンたちに指示をしている途中だが、先ほどの思いついた話を告げると、そりゃあいい案ですぜ。とゴブリンに追加で指示を始めた。


ロードに指示を言い渡されたゴブリンたちは、ヒカリゴケを削り始めた。

削られ、地面に落ちたヒカリゴケは光が消えてしまった。どういう理屈なのだろう。


今日できることは全てロード達に任せてダンジョンマスターの部屋に戻ると、急にシスから話しかけられた。


「サトル様、お帰りなさいませ」


「なぜダンジョンに入った時じゃなくて今なんだ?」


「サトル様はゴブリンロードにご用事が

 おありのようでしたから、わたくしのような

 今回役に立てない者は引っ込んでおりました」


なぜか拗ねた言い方をしたシスに疑問を感じながら、質問をした。


「なあシス。明日このダンジョンに訪れる冒険者は、

 とても悪いやつららしい。村の中でも色んな者に

 迷惑……どころか、殺人まで犯しているという話の奴らだ」


「サトル様、それがどうかしましたか?」


「いや、もしそいつらの悪行が本当であったら

 殺すべきかどうかを考えているんだ」


直接殺すのは俺ではないかもしれないが、指示をすることで殺人の罪を絶対に感じると思う。なので、それを悩んでいることをシスに告げると、ため息をついたのか息を吐きだした音が聞こえた。


「それを悩むのはサトル様の中では大事なのでしょう。

 ですが、サトル様はその者たちが殺人を犯したところでも

 見たのですか?

 相手の善悪が確定しないと殺せないというのであれば、

 証拠がないのにすでに殺すことを悩んでると言う

 サトル様の言ってることは根本的におかしいですが」


シスにとても厳しい言葉を言われてしまった。

しかし、シスの言うことは正論だ。相手の善悪を元に殺すかどうかを決めるのあれば、確証が持てない今は答えは1つ。殺さないということにしかならない。

そして同時に気付いてしまった。もし悪であることを確定する要素があったとしたら、俺は相手を殺すことに肯定的だったのだ。

俺が悩んでいたのは、おそらく悪人を殺すことに肯定的だった自分に、と言うことだと気づいた。

先日、目の前で冒険者見習いが死にそうになっていたのを見たと言うのに、このような状態であったことにひどくショックを受けた。


「サトル様が元いた世界では違うかもしれませんが、

 この世界では死はとても身近なところにあります。

 これからも似たことがあるかもしれませんので、

 お忘れなきよう」


シスはそれだけ言うと何も言わなくなった。

俺は葡萄酒とライ麦パンを作成し、何も言えずにただそれを摂取した。


今日の葡萄酒はとても苦く感じた。そして酔いも早くまわった。


次回、悪い冒険者パーティがダンジョンを訪れます。

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