3章 8話 騎士のためのダンジョン
2000文字を下ってしまいました。
今回は少し短めです。
俺はヒルダとシスと三人で、騎士のためのダンジョンの話をしていた。
ヒルダの婚約者問題は、新たに誕生した上級貴族に嫁ぐと言う話で無事解決。つまり、俺の嫁になると言うことが決まった。
そしてあれから、ヒルダは俺のダンジョンに度々訪れるようになった。
以前ヒルダに魔力の花を見せた時に使った家は、ヒルダが入った時だけ発生する魔法陣を設定してあるのでそこから訪れている。
で、今回満を持して騎士達の訓練用にダンジョンを解放する話になったのだ。
「やっぱり、通常のダンジョンでは訓練としては物足りないわよね。
あのレイドって言うのは素晴らしいけど、騎士の訓練のためにレイドを占有しちゃうのはちょっと違うよね?
……騎士の訓練用に新たに作れる?」
「作れないことはないけど、あんまり不信感を抱かれるような事態にはしたくないかな。
ここのダンジョンだけ他のダンジョンと違いすぎるってすでにかなりの噂になってるみたいだし」
「まあ、レイドシステムなんてものを持ち出した時点で手遅れ気味ですけどね」
俺とヒルダの話し合いに、後ろに控えているシスが割り込んで来る。
シスとしては、今回のことにはさほど興味がないみたいであんまり発言はしていないが、なぜかちょいちょい突っ込んで来る。
そんなところもシスらしいと言えばシスらしいのだが。
「入口を別にして、新たにダンジョンを発見したってことにするのはどうだろう?」
「ダメよ。そもそもダンジョンなんてそんなにぽんぽん見つかるものじゃないのよ?
それこそ怪しんでくださいって言ってるようなものよ。
それに、うちの領だけ新たにダンジョンが2つも発見されたなんて、今まで隠していたとか何か別の思惑を勘繰られるわ」
何かいい案はないか、と二人で唸っているとシスがため息をついた。
「ヒルダ様のご友人に、聖騎士の方がおられますよね。
それも、レイドシステムに興味津々の方が。
その方に試しにどんなことをしたいのか聞いてみてはいかがですか?」
「エリ姉……エリス・アンバー・ソイルのこと?
確かに、まだ数日は領都にいるって言ってたかも。
明日あたり、聞いてくるね」
シスの提案したのはマーケティングだ。
実際にダンジョンを使う側の意見を聞き、それに適したものを出せばいいのだ。
しかし、あまりにも意見を尊重しするのも考え物なので、内容は当然吟味する必要がある。
「ところでサトル様。
ダンジョンのレベルもそろそろワンランク上げた方がよろしいのでは?
北領の冒険者たちのレベルが上がってきて、一部の者にはすでに今のダンジョンが物足りなくなってきているようです」
俺のダンジョンに毎日通う者は、ステータスが上がっている者が多い。
何せモンスターが無限に沸くからな。経験を積むのに効率がいいのだと思う。
実際、北領のエースなんて呼ばれてきている冒険者たちは、当初と比べて1.5ランクくらいのステータスになっていた。
「じゃあ、新たな道を作ってそこに新しいモンスターを作るか。
新しく道とするところはハリボテにしておいて、偶然新しい道が見つかるようにしておけばいいよな」
テーブルを指でとんとん叩きながら新しい道のイメージをしていると、目の前のヒルダが手を組んでもじもじとしていた。
「ね、ねえ……サトル。
私もダンジョンに挑んだりしたら……ダメ?」
今までの流れから、ヒルダはダンジョンの運営側として参加してくれるのだと思っていたのだが、元聖騎士としてはやはり戦闘をしてみたいのだろう。
「別に構わないけど、なんで?」
「ほら。私って元聖騎士だし、これでも腕にはちょっと自信があるし。
そ、そりゃサトルのダンジョンで罠にはめられたけど、腕はなかなかのものなのよ!」
「ヒルダが強いのは知ってるけどさ。
どうしたい? 一人で攻略する?
それとも、誰かと複数人で参加のほうがいい?」
「サトルと……は無理だろうから、そうねえ。
そろそろ貴族としての生活に嫌気がさしてそうなエリ姉と参加したいかも」
「なら、ちょうどいい。
さっき言った、新しい道へのハリボテはヒルダとエリスの二人で 開いてくれよ」
「それくらい、いいわよ。
エリ姉も既存のモンスターより新しいモンスターの方が燃えるだろうし」
エリス・アンバー・ソイルは確かに熱血漢っぽいところがあったし、力を試すのも好きそうだなと思う。
「じゃあ、それでいこう。
決行はいつ?」
「多分、明後日。
話したらすぐ行くって言いそうだけど、流石に当日の用事も決まっていて、それを台無しにはできないだろうから。
それに、個人的なダンジョンアタックに聖騎士の装備は持っていけないから、準備もしないといけないし。
明日、エリ姉の滞在してるところを訪ねて話してくるね」
「わかった。それまでに準備しておくよ。
内容は……内緒にしておいた方がいい?」
「うん、内緒にしておいて欲しいな。
私だって、楽しみたいもん。
ダンジョン」
こうして、この日は話を一旦中断しダンジョンの作成に取り掛かることにした。
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