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序章 異世界転生

初めての投稿になります。

国語力がないため、生暖かい目で見守ってくださると嬉しいです。



とある会社の建物の一室に徹夜で働いていている者がいた。土曜の夜からずっと働いており、現在フロアには彼一人しかいない。

部署には20人ほど在籍しているが、彼だけが休みももらえずに上役の指示で働かされていた。

所属している男性は残っている彼と上役の二人だけ。上役は若い女性が大好きなので、毎年多くの若い女性を部署に入れていた。数年経ってある程度仕事ができるようになると、他の部署へ移動させられてしまうため結果として若く仕事のできない者しか残らない。他の部署からしたら仕事がある程度できるようになった人間が配属されるわけなので、当然新人を1から育てるより楽である。これが異常な状態であることは客観的に見れば誰の目にも明らかなのであるが、他の部署からはこの部署の内情をわかりくく巧みに情報操作されており、会社全体としてこの仕組みが受け入れられてしまってた。


そんなわけだから、平日に部署でこなしきれなかった仕事は上役により全て彼がやらされていた。

彼も今までずっと従うだけじゃなかった。何度か業務の理不尽さを訴える通達をしたが、上司は会社社長縁者であったため全て会社に取り下げられてしまっていた。

残されている彼は最初は健気に頑張り続けていたが、終いにはこう思うようになっていた。


(こんなクソみたいな上司ならいらない。

 若い女性でも部下なんていらない。

 今とは全く関係ない仕事を一人で気軽に始めたい)


その思いは彼の中でどんどん強くなっていったが、いつまでたっても現実になることはなく彼は徹夜明けで眠い目をこすりながら仕事をしていた。


彼は薄っすら目を開けてディスプレイを眺め続けていたが、次第にまぶたが重く感じるようになった。

気づくと幾分体も動かしにくい。連日の徹夜で体は疲れているし精神的にもボロボロ、当然睡眠時間は足りてないが決して眠いわけではなかった。

まぶたの重みに耐えきれなくなり完全に閉じ切った。体もまったく動かせなくなった。

ただ目を瞑ったのとは異なり、宙を浮いているような感覚を感じていた。


『お前の願いを聞き入れた。お前を我が世界に受け入れよう』


誰とも知れない声がクリアに響いた。

彼はまぶたを閉じていたはずなのに、仕事をするために机に座っていたはずなのに、気づけば目を開けて何も見通せないほどの暗闇の中に立っていた。ビルの外の雑音も全く聞こえなくなっていた。

真っ暗な視界の遥か遠くには小さな光を感じる。声はそこから響いているように感じられた。

体はすでに動かすことができるようになっていたので、試しに片足を踏み出すと体が移動しているのがわかった。

彼は声が響いてきた光の方へ歩き出した。


『まずお前の願いを叶えた。

 お前を先ほどの世界から連れ出してやったぞ』


また声が響いてきた。遠くに見えた光に近ずくとさっきよりも声がよく聞こえる。

謎の声は彼の願いを叶えたと言っているが、何を叶えたのか彼にはわからない。

焦るように彼の歩く速度は少しずつ早くなっていった。

遠くに見える光は、ほんの少しずつ近づいているもののまだかなり遠かった。


「叶えたってなんだよ!ここはどこだよ!」


小走りになっても光に全然近づけず、焦りが限界に達したのか声の響いてくる方に向かって叫ぶように問いかけた。

謎の声は更に響いてきた。


『我はお前を元の世界から連れ出しただけだ。

 お前の願いは常に我には聞こえていた。

 だからお前の願いを叶えることを決めたのだ。

 いいか、これから我が世界にお前を連れて行く。

 お前には創造の力、ダンジョンマスターの力を与えよう。

 これから移動する世界でお前はダンジョンを育てるのだ。

 そこには上司はいない。

 お前を助けてもくれない部下もいない。

 これからはお前がダンジョンの主となり、

 お前が望むように生きるのだ』


遠くにあった光は急激に彼に近づいてきた。

彼の手が届きそうなところまできて、その光の中の声のする方に彼の手が伸びるが、光は触られることを拒むように急に強く輝き、あまりのまぶしさに彼が目を瞑るとそのままもう一度目を開けれることなく彼の意識は薄れていった。




彼が目覚めて目を開けるとそこは暗闇の中だった。しかしなんとなく気配が前と違う場所だ。

辺りを探るように周りに向かって手を動かしたが、手の届く距離には何もない。

足を動かすと足元の状態から地面が土であることだけがなんとかわかった。


立ち上がって擦り足で移動し、手に何かが当たるまで周りを探り出した。

彼が擦り足で移動しているときに、真っ暗な視界の隅に青い記号のようなものがあるのに気づいた。

手の位置がこの記号に重なると少し大きくなる。頭を動かそうが目を瞑ろうが決して消えないし離れない。視界に固定されているらしい。


彼は記号に手を重ねてみることにした。距離は関係なくアイコンに重なったまま手を留めるとその記号はさっきより青く輝き、大きくなった。

記号に手を重ねたままスイッチを押すように押し込んだ。

その瞬間彼の頭の中に機械的な音声が聞こえた。


『コノセカイへヨウコソ ダンジョンマスター』

 

彼は機械音声からダンジョンマスターと呼ばれた。


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