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下之坊の茶粥
春の風に。。
桜の花びらが舞っていました。。
開け放たれた寺の縁側で
碁を打つ僧侶。。
その二人の周りにも。。
桜の花びらが舞い落ちておりました。。
その傍に ちょこんと座り。。
碁盤を真剣に見つめる
幼い男の子の姿がありました。。
「これ!りつ もうちっと下がり!」
寺の和尚が声をかけました。。
「でも。。おおっさん。。これ おもろい!」
りつと呼ばれた男の子は。。
眼を輝かせて 応えました。。
「ご坊。。失礼をお許しくだされ。。
この通り。。少し変わったヤツでして。。」
寺の和尚は 頭を掻きながら。。
向かいに座る
ご坊と呼ばれた男に謝りました。。
「いやいや。。なかなかおもろい子やないか。。
こんな年頃で 碁に興味を持つやなんて。。
なあ。。坊。。」
りつは満面の笑みを浮かべて。。
嬉しそうに頷きました。。
「ハハッ。。かいらしい坊やないか。。
わしは ぜんぜんかまわんが。。」
「そう おっしゃって戴けたら。。有り難い。。」
和尚は 嬉しそうに。。
ご坊と呼ばれた男に笑いかけました。。